2020年3月に新型コロナによる肺炎で、突然この世を去った希代のコメディアン、志村けんさん(享年70)。志村さんが亡くなってから5年が経過しているが、遺族の相続問題もようやく一段落ついたようだ。
この豪邸は、今から30年ほど前に女性週刊誌の芸能記者だった筆者が連日張り込みをしていた思い出深い場所でもある。当時、志村さんと親密な関係にあったのが歌手で女優のいしのようこ(57)だった。いしのとのなれ初めについて、長年、志村さんと仕事関係にあり、飲み仲間でもあった番組制作会社プロデューサーのA氏はこう話す。
「石野真子の妹としてデビューした、いしのが出演していたドラマを見た志村さんが、『あの子、いいね』と気に入ったことで共演が実現しています。『ドリフ大爆笑』にゲスト出演したいしのの才能を見抜いた志村さんが、87年スタートの『志村けんのだいじょうぶだぁ』に誘ったところ、『コントなんかやったことがない』と初めは渋っていたようです。その後、相手役に抜擢され、『志村けんのバカ殿様』でもコメディエンヌとしての才能を開花させました」
志村さんとの「おハナ坊」のコントや夫婦コント、変なおじさんにいたずらされるOL役など、息の合ったやりとりを披露したいしのとは、プライベートでも“18歳差交際”が報じられることに。
■破局後にいしのを舞台に起用
「しかし、当時、志村さんには『志村けんのバカ殿様』で共演していた渡辺美奈代との噂があり、いしのも男性俳優と交際の噂がありました」(ベテラン芸能ライター)
実際、阪神大震災の当日、東京・青山の携帯ショップに現れた志村さんが、渡辺に頼まれて携帯の機種変更に来ていたという証言を得ていた筆者は、志村さんの豪邸を1週間ほど張り込んでいる。しかし、大型のワゴン車から志村さんと一緒に降りてきたのは、渡辺ではなくいしのだった。その後も2人は、自宅近くのゴルフ練習場やスーパーでも目撃されている。
「志村さんは気に入った女性にとことん尽くすところがあり、いしのや渡辺のほかにも、優香やみひろなど、数多くのタレントと浮名を流していますが、交際を認めたのはいしのだけでした。しかし、結婚秒読みと言われたいしのとも破局を迎えることになります」(前出のA氏)
結婚より仕事をとったと言われる志村さんの懐の深さを思い知らされたのは、破局後のことだ。
「いしのは破局と同時に志村さんの番組を降りています。普通、別れた女性との仕事は避けるものですが、志村さんは自らの舞台『志村魂』にキャスティングして、久しぶりの共演を果たしています。いしのの仕事を心配していた志村さんなりの思いやりだったと思います」(前出のA氏)
志村さんが急逝した際、いしのは「数年前、志村魂の舞台でおハナ坊のコントをさせて頂き、18年前と何も変わらずできたことに驚きと喜びを感じたことを思い出します。若かりし頃に教えていただいた数々の事、忘れません」とコメント。亡くなった直後に放送された「志村けんさん追悼特番 46年間笑いをありがとう」(フジテレビ系)にも出演し、懐かしいVTRを見ながら、涙を流していた様子が印象的だった。
(本多圭/芸能ジャーナリスト)