戦後80年関連企画として8月に放送されたスペシャルドラマ「シミュレーション~昭和16年夏の敗戦~」(NHK)を巡って、NHK局内がザワついているという。


 騒動の発端はドラマでモデルとなった旧日本軍の軍人の遺族である飯村豊氏が、「祖父の人格を毀損するように描かれた。

歴史を歪曲し、捏造して伝えるのは遺憾」だとしてBPO(放送倫理・番組向上機構)への申し立てを検討している意向を明らかにしたから。飯村氏は「総力戦研究所」の初代所長・飯村穣陸軍中将の孫にあたる人物だった。


 NHKは「番組はドラマとドキュメンタリーで構成され、ドラマは実在した総力戦研究所に着想を得て、所長はフィクションとして描き、ドキュメンタリーで史実や関係者の実像について伝えた」とコメント。しかし民放のドラマ関係者はこう話す。


「普通、この種のドラマで遺族からBPOの申し立てなんて聞いたことがありません。制作スタッフが遺族の納得がいかない形で資料を借りたのでは、と邪推されてもNHKサイドは抗弁できないのでは」


 しかし、NHKが頭を悩ませているのは、もうひとつ別の理由が絡んでいるからだという。今回、トラブルが発生した同ドラマで主演を務めたのが、来年2026年に放送される大河ドラマ「豊臣兄弟!」でダブル主演を務める池松壮亮(35)と仲野太賀(32)だったからだ。


「ただでさえ、この『シミュレーション』は撮影中の事故でケチがついている。4月に京都でのロケで火薬装置が誤作動し、出演者の一人が鼓膜を損傷するケガを負ったんです。さらにBPOに申し立てされたら…。遺族の怒りは相当のもので、訴訟という最悪のケースも想定できる。来年の最重要プロジェクトである大河ドラマに飛び火しかねない案件なので上層部は大慌てですよ。」(NHK関係者)


 当初このドラマには映画化の構想もあったようだが、今回の件でそれは完全に吹き飛んだという。


「『豊臣兄弟!』で豊臣秀吉と秀長を演じるのが、他ならぬ池松と仲野。今回のドラマで主演を張ったコンビがそのまま大河の主役にスライドする形になったわけですよ。視聴者が色眼鏡でこの2人を見るリスクがある。特にFM3層(50歳以上の男女)はこの種の話に敏感ですからね」(前同)


 BPOの審議は、結論が出るまでには数カ月から1年近くかかるケースも珍しくなく、来年の大河ドラマの放送期間中も、この問題がメディアで報じられ続ける可能性があるという。


「最悪のシナリオは、『豊臣兄弟!』の放送中に、BPOからNHKに対して“放送倫理違反があった”などの厳しい勧告が出されることです。そうなれば、大河ドラマそのものの権威も失墜しかねない。視聴者が素直な気持ちで大河ドラマを楽しめるのか。現場はまさに冷や汗ものでしょうね」(前出=民放ドラマ関係者)


 火種はくすぶり続けているようだ。


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