来週22日告示(10月4日投開票)の自民党総裁選への立候補を決めている5人のうち、姿を見せず“沈黙”を続けている高市早苗前経済安保相(64)。17日は国会内で陣営の打ち合わせに臨んだが、それ以外は部屋にこもって政策作りと支持を呼びかける電話をしているそうだ。

周囲には「保守をしっかり取り戻す」と話しているらしい。


 そんな高市氏は、19日正式に出馬を表明する記者会見を開く。


 自民党議員やメディア関係者が注目しているのは、会見で出るであろう「首相になっても靖国神社に参拝するのか」という質問に高市氏がどう答えるのか、だ。


 これまで高市氏は終戦の日や春と秋の例大祭に靖国神社に参拝してきた。閣僚在任中も変わらず参拝し、もちろん今年の8月15日も参拝している。


 昨年の総裁選では、「首相になっても靖国神社への参拝を続ける」と明言。テレビ出演時に「適切な時期にきっちりと普段通り淡々とお参りをしたい」「靖国神社は戦争を美化する施設でなく、外交問題にされるべきではない。自分の気持ちに正直でありたい」と発言していた。


 しかし……。


「昨年の総裁選の決選投票で高市さんが石破首相に敗れたのは、『首相になっても靖国参拝』と明言したことで、議員票が逃げたのが一因と言われています」(自民党関係者)



日和れば岩盤保守が逃げていく

 それは本人も分かっているようだが、昨年11月、保守系のインターネット番組で敗因として指摘されると、「そこは自分で反省していないので。また叱られるでしょう」と答えていた。今回の総裁選でも「参拝する」と明言するのか。


「小泉農相も終戦の日に毎年、靖国に参拝しているが、昨年の総裁選では、首相に就いた場合の対応について、『適切な判断が必要なことだ』と曖昧に答えた。今度の総裁選は、自民党から離れた保守層を取り戻す戦いではあるものの、リベラル寄りの『石破票』を含め、幅広い支持層の取り合いになる。小泉さんも加藤財務相を選対本部長にして右へウイングを広げているし、小林元経済安保相は自らを『穏健保守』と言っている。中韓へのハレーションなどを考えたら、高市さんが靖国に参拝すると明言すれば、議員の支持は集まらないだろう」(別の自民党関係者)


 高市氏もウイングを広げるためか、穏健保守路線を求める岸田前首相の事務所に挨拶に出向いた。化粧を“ほんわかメーク”に変え、ソフトイメージを打ち出そうともしている。しかし、高市氏の主要支持層はガチガチの岩盤保守。靖国参拝で日和れば、大事な党員票が逃げていく。


 もっとも、高市氏が師と仰ぐ安倍元首相は第2次政権時、就任1年の2013年末に靖国参拝を強行したものの、米国から「失望」と表明され、その後は参拝しなかった。小泉元首相は毎年のように参拝したが、終戦の日に行ったのは退陣直前の就任5年後だった。外交問題化は必至で「首相になっても参拝」はハードルが高いのだ。


 さて、高市氏は質問にどう答えるのか。


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「ポスト石破」を狙う各議員の思惑や権謀術数については、関連記事【もっと読む】【さらに読む】などで詳しく報じている。


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