後半に差し掛かった自民党総裁選は、大本命の小泉進次郎農相がステマ騒動で失速。ここぞとばかりに、リードを取りたいのが高市早苗前経済安保相だ。
28日配信のユーチューブ番組で、高市氏は参政党や日本保守党との連携について「この政策だったら一緒にできる、と協力するのは立法府全体の責任だ」と発言。政策協議にも前向きな姿勢を示した。少数与党下での連立拡大をめぐり、極右的な主張が目立つ両党に秋波を送ったのだ。
ここまで高市氏は、従来の保守強硬色を抑えた穏健路線を打ち出し、「ほんわかメーク」でキャラ変。柔和なイメージの演出を図ってきたが、やはり本性は隠せない。
すでに告示日(22日)の所見発表演説会で「奈良公園の鹿に外国人観光客が暴行している」と根拠不明な発言が飛び出し、SNS上などで<排外主義につながりかねない>と大炎上。この日は、刑事事件を起こした外国人を巡っても「警察で通訳の手配が間に合わず、不起訴にせざるを得ないとよく聞く」と語っていた。
実はこの言説、参政党を支持するインフルエンサーなどがしきりに主張しているものだ。こちらも<真偽不明の情報だ>との批判がSNSで相次ぎ、26日付の毎日新聞では、司法分野の通訳育成に携わる識者が「実態と異なる」と苦言を呈していた。
「岩盤保守層」食い止めに必死
もはや高市氏はなりふり構わず、自民を離れて参政党や日本保守党に乗り換えかねない「岩盤保守層」の支持を食い止めるのに必死のようにしか見えない。ただ、こうしたアピールは諸刃の剣だ。
自民党内では「実現可能性の低い政策ばかり訴える参政党と、責任政党を掲げる自民党では根本的に性質が違う」(旧安倍派関係者)などと、参政党に否定的な声も少なくない。
そして本人だけじゃなく、高市“応援団”も暴走しているようだ。
「一部の自民党議員の事務所に、高市さんの支持者とおぼしき人たちから『高市さんに投票しないとオマエは政治家じゃない』などと、脅しめいた電話やメールが来ています。秘書やスタッフは困惑しきり。ネット上でも、高市支持者は過激な投稿を繰り返し、SNSを荒らしている。議員はもちろん、党員・党友の心証も損ねてしまう。結果的に、高市さんへの投票を躊躇する要因になりかねません」(自民党関係者)
ちっとも「ほんわか」していない高市氏のギスギスした総裁選。この大暴走はどこまでエスカレートしてしまうのか。
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