最終盤に伸び悩みだ。4日投開票の自民党総裁選で、高市早苗前経済安保相陣営の戦略に狂いが生じてきた。

頼みの綱である党員・党友の支持に急ブレーキがかかり、ライバル陣営を引き離せずにいるのだ。小泉進次郎農相、林芳正官房長官との「三つ巴」の展開で決選投票に残れなければ、高市陣営は「究極の選択」を迫られる。


 全国の自民党員・党友と答えた人を対象に、独自の動向調査を行ってきたのは日本テレビだ。9月29~30日実施の最新調査(対象1210人)で高市氏は支持率35%とトップ。進次郎氏は28%、林氏は23%にとどまったが、高市陣営は落胆の色を隠さない。23~24日の前回調査から1ポイントしか支持が伸びなかったためだ。


選挙期間中に得意の論戦で他候補を圧倒し、党員票で引き離す戦略でしたが、低調な論戦が災いしてか、終盤戦で想定以上に伸び悩んでしまった。党員からの猛烈な後押しがなければ、奪えるはずの国会議員票も奪えません」(高市陣営関係者)


■進次郎氏、林氏両者との遺恨


 党員票でぶっちぎりで勝利し、地すべり的に議員票を獲得する--。高市陣営の一発逆転シナリオが破綻しつつあり、相変わらず国会議員からの支持は広がりに欠ける。きのうの毎日新聞では高市支持の議員は40人と、トップに立つ進次郎氏の82人とはダブルスコアの大差をつけられた。


 一方、林氏は毎日調査で議員60人の支持を得て、日テレの党員調査では前回から6ポイントアップ。猛追する林氏に態度未定の“難民票”が雪崩を打てば、高市氏が決選投票に残れないこともあり得る。


 その場合、決選投票は進次郎氏と林氏のどちらに「高市票」が流れるかで雌雄を決する展開となるが、それこそ高市陣営には「地獄の選択」だ。


「総裁選後の人事をにらめば『勝ち馬』に乗るのが得策ですが、高市陣営は林、進次郎両陣営ともに遺恨がある。高市さん支持の議員のほぼ半数は、旧安倍派です。彼らが慕う安倍元首相と林さんは父の代から因縁の仲。中選挙区時代から地元・山口の覇権を争ってきた両家の“下関戦争”は有名な逸話です。安倍さんの死後、その地盤を林派が奪ったとみなす声もあり、熱烈に安倍さんを支持した議員ほど、林さんに票は入れにくい。一方、進次郎陣営は例のステマ騒動で『ビジネスエセ保守』と高市さんをコケにしたばかり。あっさり勝たせればメンツにかかわります。そう簡単には両者の軍門に下るわけにはいきません」(自民党関係者)


 進次郎vs林になれば、両陣営に推薦人を送って保険をかけた旧岸田派にも想定外の事態だ。岸田前首相の側近が陣営中枢を固める進次郎氏を取るのか、旧派閥のボスの座をうかがう林氏を取るのか、難しい判断となる。はたして、あすはどのような結末を迎えるのか。


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