【あの頃、テレビドラマは熱かった】


「セーラー服と機関銃」
 (2006年/TBS系)


  ◇  ◇  ◇


 木曜の地下鉄は“0円”雑誌「R25」だらけだった東京の2006年。会議室からは灰皿が消えていた。

こっち1人、相手4人の打ち合わせで、相手側全員がノートパソコンでずっとカチャカチャしているのがマウントを取られているみたいだった。丸腰じゃいかんと思った帰り道、1万円ちょいの中古のPDAを衝動買いしてしまった。


 ノーパソが“機関銃”なら、型落ちのザウルスMⅠ-Eシリーズは水鉄砲だったけど。


 そんな06年は、SMAP香取慎吾(当時29)が主演の「西遊記」(フジテレビ系)で幕を開けた。初回29%台、全11話平均23%台はこの年最大のヒット。小学校低学年の子がシンゴ孫悟空の真似をして友達を「なまか」と言い合っていた。


「西遊記といえばマチャアキの悟空と夏目雅子の三蔵法師だろ」と1978年の日本テレビ版こそ本家だと思う世代にしてみれば、懐かしくもあり、物足りなさもあり。少し前に「白い巨塔」のリメークがヒットしたからって、「しかも“フジ月9”でって、どうなの?」という思いもありつつ。


 ベトナム人にも透明人間にもママにもなるシンゴちゃんって凄い。


 そしてこの年の秋、TBS系金ドラで「セーラー服と機関銃」が始まった。そう、薬師丸ひろ子の「カ・イ・カ・ン」に撃ち抜かれ、ラストの赤いハイヒールにドキッとした世代にとっては大事件だ。


 主演は長澤まさみ(当時19)。

04年の映画「世界の中心で、愛をさけぶ」のスキンヘッドが話題になった美少女。既に“おぢ”だった僕には「ジュビロの監督の娘なのか~」って認識だったのだけど。ただ、財前五郎を演じた唐沢寿明、孫悟空を演じた香取慎吾とは比べものにならないほどの重圧がかかっていたことは、容易に想像できた。


 薬師丸版では生コン責めだった場面が、水責め拷問という「テレビならでは」の緩さはあったのだけど、“組長になってしまった女子高生”を体当たりで演じていた。


 最終回、機関銃を手に緒形拳に向かって絶叫する場面では“のど〇ンコ”が見えそうな熱演。そして堤真一(当時42)の“佐久間さん”との悲しい再会後に見せた、放心顔の色気。思えばあれが“ダー子”のルーツだったのかもしれない。


「カ・イ・カ・ン」も赤いヒールもない新たな“星泉”。星泉名義で歌ったあの名曲も、たまにYouTube(当時は「ようつべ」って言ってた)で聴くと、いい味出てる。


 スマホ上陸前夜、SNSもミクシィみたいにクローズ気味だった時代。ネットの脅威を感じながらも“地デジ”に向けて進むしかないテレビは、アナログ時代の名作の力に頼っていた。まあ、今も“懐かしもの”頼りだけど。


(テレビコラムニスト・亀井徳明)


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