テレビが同じニュースばかり取り上げる理由とは。「大下容子ワイド!スクランブル」(テレビ朝日系)で、京都の男児遺体遺棄事件について「これ以上扱わない方がいいんじゃないかな」と見解を示したのが、コメンテーターの池上彰氏(75)だ。

この番組放送は4月20日だったが、5月6日に殺人容疑で男児の父親が逮捕されたことでさらに報道が過熱しつつある。


「最近は、特に同じニュースばかり扱っているように見えるでしょうね。その理由はいくつかあります。まず、報道や情報番組の数が増えているし、時間も長くなっている。元SMAP中居正広氏の引退で『だれかtoなかい』が終了しましたが、フジテレビはその枠を宮根誠司の『Mr.サンデー』の時間拡大で埋めた。今春の改編でも、和久田麻由子MCの『追跡取材 news LOG』(日本テレビ系)や『上田晋也のサンデーQ』(TBS系)などの番組が始まっています」(テレビ局関係者=以下同)


 今と比べ、昭和や平成初期は相対的にニュースの時間が短かった。朝は「ズームイン!!朝!」(日本テレビ系)が人気。ニュースも伝えていたが、列島を中継でつなぐスタイルが中心だった。昼は「笑っていいとも!」(フジテレビ系)が圧倒的な視聴率を取っていた。夕方はドラマやアニメの再放送が占め、ニュースは午後6時台に限られた。


■少子化の影響でドラマやアニメの再放送が減少


「今は朝から長時間のニュース番組が続き、昼もTBSやテレ朝は情報番組を流して数字を取っている。夕方はドラマやアニメの再放送がほとんどなくなり、午後4時前からニュースを放送していますからね。

これは少子化の影響も大きいですよ。夕方の学生向けのドラマやアニメの再放送がなくなったのは、子供が少なく、数字が取れないから。もう1つ、権利関係やコンプライアンス順守の問題も大きいですけどね。昔のドラマは、現代では不適切な表現が混ざりがちで放送しづらいですから」


 テレビ局が朝から晩まで同じニュースを放送する理由の1つに、数字の問題があるという。


「今、週間視聴率ランキングで上位に来るバラエティーは『ザワつく!金曜日』(テレビ朝日系)や『笑点』(日本テレビ系)など数えるほどしかない。ドラマも2ケタに乗るのはNHKの朝ドラと大河ドラマくらい。バラエティーやドラマは大コケの可能性があるが、ニュースは確実に数字を計算できるので、1局が何本もの報道・情報番組を抱え、放送分数も増えている」


 テレビ側からすると、「視聴者が興味を持っている(視聴率が高い)から放送している」という理屈が成り立つ。だが、ニュース番組過多で、放送分数も長いため、視聴者は「一つの出来事をずっと放送している」ように見えてしまう。


「かといって、上層部や編成がニュース番組で『何をどのくらい扱いなさい』という細かな指示は出せない。もしそうすれば、『他の情報番組はあの事件を何分も扱っているのに、なぜウチの番組は3分しかダメなのか』となりますからね。横並び体質も、同じニュースばかりになる理由の1つでしょう。あるニュースを取り上げた時、毎分視聴率が跳ね上がったとなれば、他の番組はマネをしますから」


 池上彰氏の発言はくしくも、現代のテレビの構図的な問題点を指摘したようだ。


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