フジテレビの親会社フジ・メディア・ホールディングスは2025年度の通期決算で、本業の儲けを示す営業損益が、182億円の黒字だった前年から一転、87億円の赤字となった。元タレント中居正広氏による性加害問題へのずさん対応に始まり、セクハラやコンプライアンス問題、企業体質を問題視され、CM出稿を取りやめるスポンサー企業の動きが雪崩を打ったからだ。


「不祥事と経営問題が影響しているのは確かでしょうけど、それだけじゃない」と、ある芸能プロデューサーがこう言う。


「すでに報道もされていますが、予算縮小に発注キャンセルで取引先の制作会社やスポンサーとの間に緊張が広がり、制作や編成に影響が出ていますね。スポンサー離れと、かねてからの視聴者離れが同時進行していて、制作力の低下がコンテンツの質の低下となり、さらに視聴者が離れていくという負のループが止まらない状況です」


 そんなフジテレビで、3月に終了した情報番組「サン!シャイン」などに出演してきたタレントのカズレーザー(41)がテレビ衰退の理由について言及したと報じられた。このほど更新されたYouTubeチャンネル「カズレーザーと松陰寺のチルるーム」でのことで、お笑いコンビ「ぺこぱ」の単独ライブのオープニング映像などが少人数かつAIを活用した低コストで高クオリティーの作品を実現したと聞いて、こう言ったのだ。


「凄いですね、少人数で何でも作れるんですね。でもテレビメディアって、それが難しいっすよね。人が多すぎますもんね。あんなに人件費がかかるメディア、そりゃ立ち行かなくなるよな」


 前出のプロデューサーが言う。


「無駄と言えば、同一コンテンツの繰り返し放送でしょう。番組枠や放送回数の操作で制作コストを下げるという代わりに、制作会社や下請けの再編集や差し替えが頻発し、彼らの仕事が無駄に増えていくばかり。社員の人材流出が報じられていますが、制作会社や下請けの経営を悪化させている。協力体制にヒビが入り、長年培ってきた番組制作のノウハウが損失しかねない状況だと聞いています」


■「問題は広告減だけじゃない!現場で起こってるんだ!」


 フジテレビは「楽しくなければテレビじゃない」と、長年掲げたスローガンからの脱却を打ち出しているが、清水賢治社長は5月12日の会見で「改めて見つめ直した結果、やっぱり僕たちは楽しいものをお届けしたいというのが社員一人一人の中にしっかりある」と強調していた。

だが、関係者らの証言や報道によると、番組制作に当たる社員、外注スタッフ、タレントらが「楽しい」と思っていない可能性がある。フジテレビの大ヒットドラマ「踊る大捜査線」シリーズで、織田裕二扮する湾岸署の青島刑事はこんな名セリフを吐いたことで知られる。


「事件は会議室で起きてるんじゃない! 現場で起こってるんだ!」


 それは今、フジテレビのスタジオなどからのスタッフたちの叫びなのかもしれない。


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