第79回カンヌ国際映画祭で、日本人初の女優賞受賞となった岡本多緒(41=写真右)。受賞作の主演映画「急に具合が悪くなる」は、2021年公開の「ドライブ・マイ・カー」などで国際的に高い評価を受けている濱口竜介監督作品だ。
「急に具合が悪くなる」は、《介護施設で理想の介護の在り方を探求するマリー=ルーと、独創的な演劇の演出家でステージⅣのがん患者である真理。同じ名前を持つふたりが偶然に出会い、友情を超える絆を結ぶ物語》(公式サイトより)だ。岡本は演出家の真理を演じた。
「日本人女優の受賞は快挙で、映画界も祝福ムード。とはいえ、岡本さんの日本での知名度はそれほど高くないのが本当のところでしょう。でも、13年公開のヒュー・ジャックマン主演の米映画『ウルヴァリン:SAMURAI』でヒロインのマリコ役といえば、ピンとくる人も多いのでは。喪服姿が印象的でした」(映画配給会社関係者)
「ウルヴァリン:SAMURAI」公開時の岡本の出演名はTAO。モデル時代に使用していた芸名である。
「『ウルヴァリン』の舞台は日本で、日本人俳優も何人か出演しており、あの真田広之さんも出ていました。が、特に岡本さんの凛とした佇まいは印象的で、『さすがは14歳でモデルデビューし、パリコレでトップメゾンのショーにも多数出演してきただけある』と感じ入った記憶があります」と話すのは、芸能ライターのエリザベス松本氏。さらに、こう続ける。
「23年に拠点を日本に移して『岡本多緒』に改名。話題になったのは、その年の福山雅治さん主演の連ドラ『ラストマン―全盲の捜査官―』での演技です。美貌のセラピスト・葛西亜理紗役でゲスト出演した岡本さんは、176センチの長身が映える華やかな衣装で颯爽と登場。気になった視聴者も多かったのでしょう、ネット上には《亜理紗役、誰?》なんて書き込みもありました」
「急に具合が悪くなる」の医療監修を担当した「三軒茶屋ブレストセンター」(東京都世田谷区)の志茂新院長は、試写会で鑑賞した感想をこう話す。
「上映時間が3時間16分ありますが、すぐに主演の岡本さんとヴィルジニー・エフィラさんの演技に引き込まれました。静かに進む会話劇で、人と人が支え合うということについて考えさせられ、鑑賞後は長く余韻に浸りました」
女優賞受賞を機に、日本での今後の活躍が期待される岡本だが、ある映画ライターからはこんな声も。
「この受賞で今後は海外からのオファーが多数かかるでしょう。当然支払われるギャラも待遇も日本とは段違い。日本と海外、どちらの作品に出たいかと言われたら……推して知るべしでしょう。しかしこれから先、日本の俳優が日本のエンタメ界をスルーしていく、なんてことにならなければいいのですが」
同じ濱口監督の「ドライブ・マイ・カー」も、第74回カンヌ国際映画祭で日本映画初となる脚本賞などを受賞。寡黙な専属ドライバー役を演じて注目を集めた三浦透子(29)は現在、フジテレビ系月10ドラマ「銀河の一票」(カンテレ制作)に出演中だ。果たして岡本は……。
「急に具合が悪くなる」の日本公開は6月19日。日本人初の快挙である岡本の演技を映画館でじっくりと楽しみたい。
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