昨年の自民党総裁選と今年の衆院選で、高市首相の陣営が対立候補を中傷する動画を作成・配信したとされる週刊文春の報道を巡って、5日の参院予算委員会で質疑が行われた。前日の衆院予算委員会に引き続き、公設秘書が関与していた可能性を問われ、高市首相はブチ切れ答弁を連発。

ムキになり過ぎたのか、重大な“落とし穴”が露呈する結果となった。


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 中傷動画を巡る焦点は、動画作成を主導したとされる松井健氏と首相秘書の木下剛志氏のやりとりの有無。高市首相は、自身と木下氏は「松井氏と会ったことがない」と答弁していたが、文春オンラインが木下、松井両氏によるウェブ会議の音声を有料会員向けに公開。野党は前日の衆院予算委で音声を基に追及したが、高市首相が「文春オンラインの有料会員になりたくない」「音声を聞いてない」とトンデモ答弁を繰り返したことから、追及の舞台が5日の参院予算委に移ったのだった。


 この日、質問に立ったのは立憲民主党の岸真紀子議員。「音声を聞いたか」と確認すると、高市首相は表情をこわばらせ「昨夜遅くに聞いた」と言い、「広く国民の声を聞くにはどうしたらいいかという内容だった。総裁選で他候補を批判する動画に関するものではなかった」と聞かれてもいないことを答弁。ウェブ会議は昨年12月17日のことで、同年10月の総裁選の中傷動画について打ち合わせするわけがない。無関係な話を持ち出して論点をズラしたのは明白だ。


 さらに、音声の主が木下氏か否かを問われると「あのような音声で判断するのは難しゅうございます」と発言。「秘書の声ですが、私と会話している時よりもかなり高い声でハキハキとしゃべっていたので違和感があった」と、まるで生成AIで作られたものと言わんばかりだった。


■「なぜ危ない答弁を連発させたのか…」


 さらに不可解だったのは、現代ビジネス(6月4日配信)の記事内容を否定したことだ。

記事では、現代ビジネスがこれまで、暗号資産「サナエトークン」を巡って松井氏と木下氏がやりとりしていた実態を指摘。高市事務所は回答書で、木下氏が昨年12月17日に松井氏とウェブ会議でやりとりしたことを認めている。当会議は文春が公開した音声と同じ日付でもある。


「松井氏と会ったことがない」というこれまでの答弁が崩れているのは明らかで、その点を岸に追及されると、高市首相は「回答書は事実と違うと(木下氏が)申していた」と答弁。高市事務所の回答書の中身が「ウソだった」ということなのか。さすがに、言っていることがメチャクチャだ。


「総理はなぜあんな危ない答弁を連発させたのか。文春の音声の主が木下氏だと証明されたり、現代ビジネスへの回答書を公開されたりしたらどうするのか。ムキになって否定したのだろうが、ツッコミどころが多く、リスクが大きすぎます」(官邸事情通)


 攻めどころ満載で“落とし穴だらけ”。いよいよ、本性を現し始めたようだ。


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 答弁で苦しい言い訳に終始する様子については、【もっと読む】高市首相の「品格と矜持」は? 中傷動画投稿疑惑を巡る「有料だから確認できない」は「田久保る」顔負けの言い逃れでも報じている。


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