博多を拠点に活動するコスプレイヤーの「ぐりこ」さんは、アニメやゲームのキャラクターに限らず、タイツやラバー、エナメルといった質感のある衣装を追求してきました。『エヴァンゲリオン』のアスカやレイのプラグスーツをはじめ、ピチテカとした艶感や体にフィットする曲線美を生かした表現で注目を集めています。


コスプレはキャラの再現だけでなく、いわゆる創作ジャンルもあり、フェチ系は特に選択肢が多い中、ぐりこさんはとりわけラバースーツへの偏愛で知られています。その活動は海外メディアにも取り上げられるほど盛り上がる一方で、ラバーはゴム素材ゆえに汗を吸収しない熱中症の危険性、締め付けの強さ故に肌を傷める……といった安全には配慮しつつも、身体を削ってきた裏側があります。まさに求道者として突き進むその姿――彼女はなぜこうも偏愛を貫き、自らの体を“偏体”させてしまうのか。その生き様を追いかけました。

今回は、2025年春のインタビューから1年を振り返りながら、この1年間の活動や衣装への思いを聞きました。

ーー2025年春のインタビューから今日までを振り返って、1年間のコスプレ活動はどんなことをしましたか?

ぐりこ:2025年はコスプレ写真集を作るなど作品づくりに力を入れたほか、関東の即売会にも参加するなど、新しい挑戦を重ねた1年でした。撮影は月4~5回ほど行っていて、以前よりも表現の幅が広がった実感があります。

ーー中でも特に印象に残るコスプレ3着を教えてください。その衣装を選んだ理由や、撮影時のエピソードも聞かせてください。

ぐりこ:いちばん印象に残っているのは、10月中旬に大牟田市の世界遺産・万田坑の屋外で撮影した『エヴァンゲリオン』のラバー撮影です。写真集の中でレイ、アスカ、マリの1人三役をやりたいと思い、1日で3着を着用しました。全身ぴったりのラバーにオイルをつけて着るだけでもかなり体力を使いましたが、30度を超える猛暑の中で大量の汗をかきながら、熱中症にならないよう必死に撮影しました。
命懸けではありましたが、2025年で一番大変だった分、良い写真が残せたと思っています。

ーーラバースーツは壊れてしまうケースも多いそうですが、この1年で破壊してしまった衣装は何着ありますか? また、その時の状況を教えてください。

ぐりこ:今年は3回ほど破損しています。イベント前に焦って着てしまい、手に力が入りすぎてラバーの一部を破いてしまったこともありましたし、爪で裂いてしまうこともありました。焦るとだいたい破けるので、普段から爪は短く切ってやすりをかけています。破いたスーツは、すべて自分で修復しています。

ーーラバーやエナメルスーツの撮影中に「命の危険を感じた」場面は何回ありましたか? 具体的にどんな状況だったのでしょうか?

ぐりこ:大牟田市の世界遺産・万田坑の屋外で撮影した『エヴァンゲリオン』のラバー撮影が、まさにいちばん危険を感じた場面でした。真夏の屋外で、全身ラバーを何着も着ながらの撮影だったので、汗も体力もかなり消耗しました。水分を取りながら、熱中症にならないよう細心の注意を払っていました。

ーー真夏の撮影での体調管理について、これまでで最も危険だと感じた瞬間はいつですか?

ぐりこ:真夏の屋外でラバーを着た瞬間は、太陽でジリジリと焼かれているような感覚があります。黒いラバーのときは、本当に火傷しそうだと思ったこともありました。救急車を呼ぶ寸前というところまではありませんが、外撮影に慣れているぶん、こまめに日陰へ入ったり休憩したり、水分補給を徹底しています。
周囲に迷惑をかけないよう、体調管理はかなり意識しています。

ーーラバー、タイツ、エナメルスーツのコスプレは、日本と世界でどちらが流行っていますか? 日本でもプレイヤーは増えていますか?

ぐりこ:ラバーは圧倒的に海外で流行していると思います。ただ、国内のプレイヤーも最近は増えてきたと感じています。

ーー新しいラバー、タイツ、エナメルなどのスーツはどこで見つけていますか?

ぐりこ:ラバーは主に中国のメーカー「latexcatfish」でオーダーしています。ほかにも海外ECサイト「AliExpress」で買うことがあります。エナメルは「Amazon」や「mob bunny」で購入することが多く、「Taobao」も利用しています。

ーーメーカーとのコラボも増えたようですが、どういった層が買い求めるのでしょうか?

ぐりこ:私をきっかけにラバーやエナメルに興味を持ってくださって、「ラバーに触れてみたい」と購入してくださる方もいて、とても嬉しいです。

ーー1年前と比べて、日本国内でのラバー・エナメルコスプレへの認識や反応は変わってきましたか?

ぐりこ:あまり変わっていないですね。私はマイペースに、着たいものを着て、自分のフェチに忠実に発信して楽しんでいるだけなので。

ーーSNSでの反応や、オフラインイベントでの周囲の反応に変化は感じていますか? ポジティブな反応とネガティブな反応の両方について聞かせてください。

ぐりこ:ポジティブな反応としては、私がピチテカに特化して活動しているので、同じようなものが好きな方がアカウントを見てくださり、「この衣装いいね」「このコーデいいね」と褒めていただけるのがとても嬉しいです。反対に、Xをメインに写真投稿しているのですが、黒い艶感の写真がバンされてしまうことがあるのは残念です。


過酷さすら魅力に変えながら、ぐりこさんは今日もラバーの世界をまっすぐに走り続ける。その一着一着に刻まれるのは、偏愛ではなく、もはや覚悟と呼びたくなる輝きだ。

写真提供:ぐりこ(X:@Glico_happy)
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