人生後半戦、待ち受けるトラブルには先手必勝! 何歳ごろに何が起こりうるかをデータから読み解き、病気・金銭の両面から対策を。時を待たず、健康なうちに始めることで、ダメージを最小限に抑えようーー。

老後に起こるトラブルの多くは、今から健康を大切にすることで回避できます。老後の大きな経済損失は医療費と介護費だからです。個人が一生涯に負担する医療費の実質額は約200万円。さらに介護費用となると、自宅介護を選ぶ場合でも、5年間で約500万円かかります。これらの負担が、年金収入しかない70歳を過ぎると一気にのしかかってくる。老後資金を減らさない最善の防御策は、心と体の健康を維持していくことに尽きるのです」

そう話すのは、老後問題解決コンサルタントとして、これまで1,000人以上の相談を受けてきた横手彰太さん。

「定番ですが、ウオーキングなどの適度な運動、質の高い睡眠、栄養バランスのとれた食事を心がけて、病気をよせつけないこと。老後に向けて今から毎日、心身ともに健康な自分を作る意識をもつだけで、トラブルが起きたとしても、ダメージを小さくできるのです」

そこで、次に紹介する75~90歳以上までの注意点をもとに、人生後半戦に高まるリスクを把握し、病気とお金の両面から今すぐにでも対策を始めよう。

■75~79歳

病気:認知症の6割以上を占めるアルツハイマー病の発症者が急増する【※1】
お金:夫の介護が始まる【※2】

【※1】預貯金がおろせなくなることも…家族信託や任意後見制度が安心

50歳前後から脳に蓄積したタンパク質のゴミが、神経細胞を死滅させていくことで発症。認知症の6割以上を占める。現在、根治的な治療薬はなく、脳活性化リハビリの非薬物療法と認知機能障害に対する薬物療法が行われる。介護保険を使用しない場合、外来医療費が月3万9,600円(厚生労働科学研究と慶應義塾大学の研究チーム試算)。

「認知症で預貯金がおろせず財産凍結する前に、家族信託や任意後見制度を検討しておくべきです」(横手さん)

【※2】自宅介護だと5年で500万円民間施設利用で2,000万円かかる

介護施設に入る平均年齢は85~90歳だが、介護状態になる人は、75歳の後期高齢者以降に増加。3人に1人が要介護認定者になる計算だ。突然、夫を介護する老老介護が始まるかもしれない。

「平均的な家庭で自宅介護を5年間するだけで約500万円が必要といわれています。また、民間施設に入所するとさらに上乗せされて、介護費用の合計は2,000万円に上昇します」(横手さん)

老老介護は心身ともに疲弊する。公的な介護施設に入れる選択肢があれば、夫婦お互いにとって幸せなケースも。とはいえ、高齢者の10%は亡くなる間際まで元気な状態で過ごしているという事実も覚えておきたい。

「多少の病気は抱えながらも、健康寿命を延ばす生き方を目指してください」

■85歳では認知症の有病率が5割超え!

■80~84歳

お金:夫が平均寿命を迎える/認知症で財産が凍結する

■85~89歳

病気:認知症の有病率が5割を超える/サルコペニアになる【※3】
お金:介護施設に入所する

【※3】介護リスクを先延ばしにするなら今すぐ生活習慣の改善と運動を!

「サルクス(筋肉)」と「ペニア(減少)」の造語。

「年齢とともに低下する筋肉量は、70代でひざや腰を患い活動量が減ると低下のペースが速まり、介護予備群のフレイル(虚弱)に。しかし、筋肉は何歳になっても鍛えられるのです」(医療経済ジャーナリスト・室井一辰さん)

今すぐ適度な運動、質のいい睡眠、栄養バランスのとれた食生活、社会的に孤立しない環境を作ることで「サルコペニア→フレイル」の悪循環を断ち切り、介護リスクの上昇を少しでも先延ばしにしよう。

■90歳以上

病気:寝たきりになる

50歳以降は病気と医療費との闘い! 今すぐそなえて穏やかな老後を迎えよう。

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