「三笠宮家の彬子さまは8月5日に退院されましたが、皇室の方々にも新型コロナウイルスの猛威が降りかかっています。宮内庁でも感染者は急増していて、すでに110人を超えました。

これは職員の1割以上に当たります。こうした状況下で、雅子さまも緊張を高められています」

こう語るのは、ある宮内庁関係者だ。8月に入っても、日本国内の新規感染者が連日20万人を超え、皇室でも“感染爆発”ともいうべき状況になっている。こうした状況に、雅子さまも心を痛められていて――。

「彬子さまのほかには、妹の瑶子さま、三笠宮妃百合子さま、高円宮家の承子さまと、すでに4人も感染されており、行事日程にも影響が出始めています。

天皇ご一家の警護を担当する護衛第一課の護衛官が感染したときには、宮内庁の職員たちにも相当な焦りが広がりました。

こうした状況下で、天皇陛下と雅子さまは基本的な感染防止策を徹底されていて、できることを着実に取り組む努力を重ねられています」(前出・宮内庁関係者)

雅子さまは、昨年12月の誕生日に発表されたご感想に、こう綴られていた。

《一歩ずつではあっても、我が国、そして世界の人々が着実にこの試練を乗り越えていくことができるよう願っています》

願われるばかりでなく、雅子さまは“皇后の大任”を着実にやり遂げようとされている。8月1日、両陛下は日本赤十字社の清家篤社長らのご進講を受けられた。

「日本赤十字社は戦後、皇后が代々名誉総裁をお務めになりました。初代は香淳皇后、2代目は美智子さまです。これまでも同社は定期的に活動についての説明を行っています。

しかし今回は、8月10日に開催される第48回フローレンス・ナイチンゲール記章の授与式について、両陛下に対してご説明があったと聞いております。

同章の授与式は隔年で開かれており、前回の2019年の次は2021年に開催される予定でしたが、コロナ禍のために中止されていました。3年ぶりの開催に向けて、雅子さまも意気込まれていると拝察しています」(前出・宮内庁関係者)

■美智子さまの所作に目を凝らされて…

フローレンス・ナイチンゲール記章は、近代看護を確立したナイチンゲールの功績を記念して、1920年に創設された。紛争や災害時の看護活動、公衆衛生や看護教育などに貢献を重ねた世界各国の看護師のなかから、2年に一度、赤十字国際委員会が受章者を決める。

日本から選ばれた看護師には、名誉総裁である皇后がお手ずから記章を授けられてきた。いわば、皇后の存在なくしては開催できない行事ともいえる。

この授与式の意義を、皇室ジャーナリストの渡邉みどりさんはこう強調する。

「受章者だけではなく、雅子さまにとっても形だけの儀式ではありません。明治天皇のお后であった昭憲皇太后が国際赤十字社に下賜された寄付は、現在も基金として赤十字の活動に寄与しています。以来、皇后さまと日本赤十字社の関係は代々受け継がれているのです。

皇后さまは慣例的に名誉職をお務めになりませんが、日本赤十字社の名誉総裁だけは例外とされてきました。ナイチンゲール記章の授与式は、皇后さまが単独で出席される公務のひとつ。

もうひとつが全国赤十字大会ですから、非常に重みのあるご公務なのです」

日本各地で、医療体制の逼迫が叫ばれ、医療従事者は絶大な負担に苦しんでいる。こうした状況下だからこそ、受章者を称えることで全国の看護師を激励したいという決意が、雅子さまのお背中を押したのに違いない――。

「8月4日にも両陛下は、内閣官房の孤独・孤立対策担当室長を御所に招かれ、コロナ禍のために孤立を深める社会的な弱者をめぐる状況などについてお話を聞かれました。

困難な状況におかれている人々を支える活動をサポートしたいという思いを、雅子さまはさらに強めていらっしゃるのでしょう。

医療の現場で国民のために苦労する看護師たちを労い、国民を代表してお礼を伝えたいというお気持ちも、そうした思いの表れなのだと思います」(皇室担当記者)

医療の最前線で日々奮闘する看護師を激励するというお務めへのご自覚は、皇太子妃のころからお持ちになっていた。

「2017年の授与式では、当時名誉総裁だった美智子さまが記章を授けられていました。

皇太子妃は日本赤十字社の名誉副総裁を務めるので、雅子さまは美智子さまのお傍で、美智子さまの一挙手一投足を見逃さないように、目を凝らしてご覧になっていたことが印象に残っています。

所作一つ一つを頭の中に入れようとする必死さが漂っていました。そうしたたゆまぬ努力があったからこそ、2019年の授与式でお務めを見事に果たされていたのでしょう」(前出・渡邉さん)

雅子さまは感染爆発に屈することなく、“皇后の大任”をやり遂げるため、3年ぶりの授与式に臨まれる。