「全26作におよぶ『家政婦は見た!』シリーズに参加したのは、8作目から。家政婦紹介所のメンバーは、市原悦子さんや野村昭子さん、山田スミ子さん、今井和子さんといった大ベテランばかりで、最初に現場入りするまではすごく緊張したんです」

こう語るのは、白石まるみさん(63)。

心掛けたのは、撮影現場には誰よりも早く入ること。

「当時、世田谷区に住んでいて、撮影スタジオまで自転車で行けました。早くに現場に入って、役の気持ちを作る準備をしようと思ったんです。現場入りの早さで1、2位を争っていた野村さんから『いつもえらいわね』とほめていただき、お話しするようになりました」

市原さんは個室の楽屋があったが、ほかの家政婦メンバーは同じ化粧室で過ごしたという。

「みんなでセリフ合わせをするなど練習するんですね。準備を終えた市原さんも、途中で合流されました。自分一人で準備するよりも全体の流れがつかめるし、本番がすんなりうまくいきました」

撮影現場では、みんなが役になりきっていたのが特徴だった。

「第18作は、私がメインでした。巨乳好きの彼氏のために美容整形を受けるのですが、手術が失敗してしまうというストーリー。朝、現場で市原さんにお会いしたときも、お互い役になりきっていて『ともみさん(白石さんの役名)、大変ねえ』『そうなんです、彼氏が胸が大きい女性が好きだから』と、普通に会話していたくらい(笑)」

回を重ねるごとに、出演者の平均年齢は上がっていった。

「市原さんは70代、野村さんは80代でした。先輩たちが集まると、人の名前を忘れて思い出せないといった話題が中心に。

そんなとき、私に『今は若いからそんなことないだろうけど、何か思い出せなくてアレ? ってなったら、あ行から順番に思い出すようにしないと。まあいいやと思ったら本当にボケるわよ。諦めたらダメ!』と言われたので、まさに実践しています」

ドラマの打ち上げは、スタジオや楽屋で、番組スタッフが作った料理や総菜を食べながら、話に花を咲かせるのが恒例。

「市原さんは、打ち上げなのに、次の撮影に向けての話など、芝居のことを話されていました。でも、回を追うごとに必ず話題になったのが『みんな元気なうちに、終わろう』ということ。ドラマは26作で終了し、その後、市原さんとある講演会で偶然お会いしました。笑顔で撮影した、最初で最後のツーショット写真は、私の大事な思い出です」

『家政婦は見た!』(テレビ朝日系、1983~2008年)

家政婦の石崎秋子(市原悦子さん)は、派遣先である上流階級の家庭の暮らしぶりや醜聞などをのぞき見し、最後に家族全員の前でぶちまけて去っていく。顔を半分だけ出して「あらやだ」という名シーンとともに、25年も続く人気シリーズとなった。

【PROFILE】

しらいし・まるみ

1962年生まれ、東京都出身。ドラマ『ムー一族』のオーディションをきっかけに芸能界入り。以後、歌手、俳優、タレントと幅広く活躍する。

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