「スパイ」
「共産党」

3月12日の衆院予算委員会で、質疑中の共産党・辰巳孝太郎議員(49)に対して、こんなヤジが飛んだ――。

「国家情報会議」設置法案が衆院で審議入りするなど、高市早苗首相(65)肝いりの「スパイ防止法」制定に向けた地ならしが着実に進んでいるが、このヤジ問題は解決されたのだろうか。

「辰巳議員は質疑の中で、防衛費増額とそれに伴う増税を『軍拡ではないか』と指摘。その際、議場からは『共産党』『スパイ』というヤジが飛びました。辰巳議員は翌日の委員会でヤジが与党席から飛んだと説明し、謝罪と撤回を要求。これに対し、坂本哲志委員長(75)は『音声を検証した上で理事会で協議する』と回答しました。ここで、辰巳議員が一度時間を止めるように求めると、坂本委員長は手に持っていたペンをバン!と机に叩きつけ『(事前の)理事会と違うじゃないか』と辰巳議員の発言に不快感をあらわに。その後、30日の委員会で、辰巳議員は『自民党の国対委員会で、坂本委員長から、不適切発言を慎むよう注意が行われたと報告を受けた』と説明していました。坂本委員長がヤジを“自民党議員によるもの”と事実上認めたかたちです」(全国紙政治部記者)

中道改革連合・小川淳也代表(54)も「もしそのようなヤジが飛んだのであれば、それはヤジの許容限度を超えているのではないかと思います。人権侵害も甚だしい。国会議員と言えども、です」(3月13日の会見)と指摘。SNSでも不適切な“レッテル貼り”だと問題視する声が上がった。

ヤジが飛んでから1カ月が経過したが、辰巳氏が求めた撤回、そして当該議員からの謝罪はあったのだろうか。本誌記者は辰巳氏に話を聞いた(以下、カッコ内は辰巳氏の発言)。

3月13日の予算委では、ヤジを“検証”すると話していた坂本委員長。ところが、その後の対応は到底真摯なものとはいえず、それどころか、一方的な“終了宣言”まで出ていたという。

「30日の理事会で、坂本委員長は『国対で注意した』と述べましたが、同時に『この件(ヤジ)については、これで終了です』という宣言も出ているんです。これで“解決”ということなんでしょう。だからこそ、私はその後の委員会でも謝罪と撤回を要求する旨を改めて発言しました」

「後刻、理事会で協議します」――。これは委員長お決まりのフレーズとして聞きなじみがあるが、辰巳氏は今回のヤジ問題をめぐって、理事会における“密室協議”に異論を唱える。

「ヤジは委員会での出来事ですから、本来であれば委員会の中で、委員長から注意喚起する旨の発言があるべきです。オープンな場所、しっかりと議事録に残る形で言っていただくことを私は求めたわけです。ただ、委員長は発言者が特定できない不規則発言だから、議事録に残したくはないのでしょう。それで、理事会での報告で済ませ、打ち切り。私としては不十分な対応だと思います」

辰巳氏の元には“非公式”の謝罪すらもない状況だという。ヤジを飛ばした本人は当然、自身の行為を認識しているはずだが、一体なぜ自ら名乗り出ようとしないのか。

「本人の周りが“名乗り出ろ”と言わないからでしょう。また、国民の代表である議員を根拠なくスパイ扱いするという行為の重み、事の重大さを本人もわかっているからでしょうね。

与野党が拮抗していたら、委員会が止まる話だと思いますよ。まさに数の驕りでやり過ごそうという態度の表れと言ってもいいのではないでしょうか」

予算委でも、共産党がかつて“レッテル貼り”に苦しんだ歴史を紐解いていた辰巳氏。本紙の取材に対しても、ヤジ問題の“本質”を以下のように語った。

「私は予算委で社会保障など様々な問題に取り組みましたが、このヤジは“軍拡”に関するやり取りの中で飛び出しました。我々としては、国がアメリカから約30兆円(GDP比5パーセント)の防衛費増額を求められている状況を鑑み、戦争ができる国づくりに反対しているわけですが、そのような主張を受け入れない国会議員が『スパイ』と“レッテル貼り”をする。本質はそこだと考えています。というのも、かつて国が戦争に突き進んでいく中、我々はそれを“間違っている”と命懸けで訴えましたが、『非国民』『スパイ』と呼ばれ、あらぬ嫌疑をかけられ、命を奪われた過去があります」

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