「オリンピック、日本人として初めてのペアでの金メダルおめでとうございます。(競技を)生で拝見していたのですけれども、すごく感動いたしました」

振り袖と羽織袴姿のりくりゅうペアに向かって、輝くようなほほ笑みをうかべながら愛子さまはそう語りかけられた――。

青空が広がった4月17日の午後、港区の赤坂御苑で春の園遊会が開催された。天皇皇后両陛下や愛子さまを含め、十二方の皇室の方々が臨まれ、配偶者も合わせて1400人ほどの招待者が参集。

各界の功労者として出席したのは、ミラノ・コルティナ冬季五輪のスノーボード女子ビッグエアで金メダルを獲得した村瀬心椛選手、声優の野沢雅子さん、ノーベル化学賞を受賞した京都大学特別教授の北川進さん、福岡ソフトバンクホークス会長の王貞治さん、デザイナーのコシノジュンコさんら錚々たる顔ぶれだった。

「そのなかでもひときわ注目されたのが、ミラノ・コルティナ五輪のフィギュアスケートペアで金メダルを獲得した“りくりゅう”こと三浦璃来選手と木原龍一選手でした。りくりゅうは当日朝に今シーズン限りでの現役引退を発表したばかり。木原選手はこのタイミングでの発表について、『陛下に、自分たちの今後、考えていることをお伝えしたかったので』などと語っています」(皇室担当記者)

招待者が多岐のジャンルにわたる園遊会。会場は華やかになるが、その分、皇室の方々はご準備に膨大な時間を費やされるという。

宮内庁関係者はこう話す。

「招待者のリストができあがると、皆さまが目を通されます。特に天皇陛下と雅子さまは開催当日までに、すべての方の名前や業績を把握されているのです。その数は、配偶者をのぞいても1千人近くにのぼります。

もちろん愛子さまも、両陛下と同じように招待者名簿をご覧になりながらの予習に多くの時間を割かれています。

たとえば北川進さんのノーベル賞の受賞理由は『金属有機構造体(MOF)の開発』。MOFは金属イオンと有機分子が結合してできた無数の微細な穴を持つ結晶材料のことですが、その理論についてもある程度理解したうえで臨まれたのではないでしょうか」

北川さんは両陛下とのご懇談について「(研究について)よくご存じでいらしたので、あまり言わなくても話ができたと思います」と語っている。

「このように、アスリートであれば何の競技でどれほどの成績をおさめたのか、芸術家であればその代表作などについても把握していなければ会話は弾みません。

しかし、どなたと話されるかは、当日になってみないとわからないケースもあります。お相手を落胆させないように、1カ月ほど前から1日平均5時間ほども、その準備に費やされているとも聞きます」(前出・宮内庁関係者)

■「勝手ながら親近感を持って拝見させていただきました」

天皇ご一家による“150時間の予習”の効果は十分に発揮された。

「声優の野沢雅子さんは、天皇陛下の『子供のときに「ゲゲゲの鬼太郎」を見ておりました。どういう方がやっていらっしゃるのかと思っていました』というお言葉に、非常に感激していました。

囲み取材時には『びっくりしました。陛下がアニメを見ていらっしゃるんですかと。最高に幸せです。後輩に「陛下が見てくださっている」と言わなきゃと思います』などと興奮しながら話しています。野沢さんは初代・鬼太郎役で知られていますが、近年は“目玉おやじ”の声を担当していたことも陛下はご存じだったのですから、感激もひとしおだったことでしょう」(前出・皇室担当記者)

今回の園遊会での愛子さまのお話しぶりについて、長年皇室番組を手がけてきた構成作家・つげのり子さんは、こんな感想を抱いたという。

「特に印象的だったのは、りくりゅうペアに対してさまざまな具体的な質問をされていたことです。

『タイミングを合わせる練習はどのようになさっているのですか?』『ジャンプのときに、自力で飛ばれるのと投げてもらうのとでは、どういう感覚の違いがあるんですか?』といったもので、私たち国民が知りたいことであると同時に、聞かれるほうも答えやすい質問でした。

特に『(投げてもらうジャンプは)4メートルくらい飛距離が出る感じでしょうか?』というお言葉からは、ペア競技について、かなりお調べになったことがうかがえました。

相手から話を聞き出す力も向上されているようです。園遊会でのご懇談という限られた時間のなかで、より深くお相手を理解されようとするご姿勢が、ご懇談の様子から伝わってきました」

また前出の皇室担当記者も、

「『空中で回っているとき、怖くないですか?』というご質問に、三浦選手が『“いつ落ちても僕(木原選手)が下敷きになるからね”と声をかけていただいているので。信頼しているので、怖さは一切ないです』と答えています。そのときの『頼もしい』という愛子さまのお言葉には、“同級生”である三浦選手への親しみと共感が表れていました」

愛子さまはご懇談を「三浦さんは個人的に同い年で、12月生まれもいっしょなので、勝手ながら親近感を持って拝見させていただきました」といったお言葉などで締めくくられている。

競技生活からの引退を発表した三浦選手にとって、愛子さまのほほ笑みと、慰労の気持ちを込めたお声がけは、“最高の花束”だったに違いない。

編集部おすすめ