(台北中央社)自転車シェアリングサービス「Youbike」が今月1日から実名制を導入し、新規会員登録に国民身分証番号が必要になったことに、在台外国人から不満の声が上がっている。台湾に居住する外国人の身分証明書「外僑居留証」(ARC)と国民身分証は付番規則が異なり、ARCのIDナンバーでは登録が弾かれるためだ。
台北市政府交通局は17日、24日からはARCのIDナンバーでも登録できるようになる予定だと明らかにした。

在台外国人でつくる「外籍居民協会」は16日、フェイスブックで、外国人が新規会員登録できなくなった事実を紹介。投稿の「今の気分」の部分に「イライラ」のアイコンを選び、不満を示した。この投稿のコメント欄には、「台湾で働き、税金を納める外国人への差別だ」「完全にばかげている」「台湾では外国人は常に2等市民だと覚えておいて」などと投稿者の不満に賛同し、Youbikeの運営元を非難する声が寄せられた。

市交通局の担当者によると、24日からは会員登録ページに、ARCのIDナンバーを入力できる欄を設けるとしている。

身分証を持っていない外国人は、クレジットカードを使えば、会員登録が不要な「1回レンタル」の方法でYoubikeを利用できる。
1回レンタルの場合は、デポジットとして2000台湾元(約7200円)を支払う必要がある。

ARCのIDナンバーを巡っては、国民身分証との付番規則の違いから、オンライン申請や電子商取引(EC)を利用できない場合があり、在台外国人にとっては不便が生じている。国家発展委員会は昨年11月、ARCの付番規則を国民身分証と統一するため、システムの再調整を進めていると明らかにした。

▽実名制導入、狙いは自転車保険加入促進

実名制導入は、公共自転車傷害保険の加入推進のため。今月1日以降、新規会員登録者は、自動的に同保険に加入することになった。利用者は保険料を負担する必要はない。
自動加入は登録1枚目のICカード(イージーカードまたはiPass)が対象で、2枚目以降は手動で個人情報を登録する必要がある。保険に加入しているICカードでYoubikeを利用し、乗車時の事故で死亡または障害を負ったり、入院したりした場合、保険金最高100万台湾元(約362万円)、入院費用日額最高1000元(約3620円)が給付される。

市交通局の担当者によれば、保険に加入している会員カード数は、Youbikeのサービスが展開されている7県市合計で約61万枚に上る。

(陳怡セン/編集:名切千絵)