北朝鮮が軍用イルカを飼育している可能性、衛星画像から判明

北朝鮮が軍用イルカを育成している可能性 image by:Instagram/iStock
 アメリカ海軍協会によると、北朝鮮では軍用イルカが飼育されている可能性があるという。

 人工衛星が撮影した画像からは、少なくとも2015年10月には北朝鮮が軍用イルカ計画に着手していたらしいことがうかがえる。
【海軍基地にイルカ用の囲いらしきもの】

 関連施設が最初に確認されたのは、朝鮮半島西海岸の港湾都市ナムポにある基地においてで、衛星画像では、造船所と石炭の船積ドックの間の海に、イルカを飼育する囲いらしきものが確認できる。

 ただし、現時点でイルカ関連の活動は、町外れを流れる川の上流にある施設で行われているとのこと。こちらの施設は2016年に建設が着手されたもので、今年に入っても囲いが拡張されているという。

 現在金正恩政権の下では海軍の近代化計画が進められているが、軍用イルカ計画はその一環として実施されているものと考えられている。


【各国で行われているイルカの軍事利用】

 北朝鮮の狙いを知るには、アメリカ海軍やロシア海軍の計画が参考になるだろう。

 アメリカ海軍は、1950年代後半に海洋哺乳類プログラム(NMMP)を発足させ世界で初めて海洋哺乳類の軍事利用を試み、実際ベトナムやペルシャ湾に軍用イルカを配備したことがある。現在もカリフォルニア州サンディエゴの基地でイルカおよびアシカの研究および訓練を継続している。

 イルカの優れた反響定位能力は、世界最高水準のソナーシステムをはるかにに凌駕しており、海中の危険物除去活動に利用され、イラク戦争における機雷除去でも大きな成果をあげた

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イラク戦争中にペルシャ湾で地雷除去作業を行っている軍用イルカ
image by:WIKI commons
 ロシア海軍では1990年代にイルカ利用計画を凍結したと言われているが、現時点でも軍事利用している可能性が高い。

 最近でもシリア紛争に軍用海洋動物が配備された可能性があり、さらにノルウェーではロシアの軍用シロイルカ飼育施設らしきものが建設されたことが確認されている。

【軍用施設なのか?養殖施設なのか?】

 アメリカ、ロシアの施設の大きさから推測すると、北朝鮮の施設はイルカ用のものだと考えられるという。

 だが可能性としては、魚の養殖施設である線もある。ここ数年、北朝鮮は養殖を重視しているらしく、国内の各地で養殖施設の設置が進められているという。そして、それらもまた軍が管理するものだ。

 ただし、今回確認されたものは、そうした他の施設とは違いが見受けられるとも伝えられている。

 なお平壌にはイルカ水族館があり、そこでイルカの訓練が行われているという。ここでの知見が軍用イルカに応用されている可能性も否定できないとのことだ。

【機雷の回収や敵ダイバーの撃退】

 イルカやアシカのような軍用海洋哺乳類の任務は、機雷や訓練用の魚雷、海底ケーブルやソナーといった、海中にある物体を探し出し、状況に応じて回収することだ。

 あるいは人間のダイバーなどはるかに上回る水中での運動能力を活かして、敵ダイバーの発見など、海軍基地の防衛任務を担うこともできる。

 ダイバーが敵か味方かまでは判別できないので、不審なダイバーを見つけたらブイなどを取り付けてマーキングするのが現実的な任務であるらしいが、訓練次第ではグレネードや網などで制圧することもできるようだ。

 米海軍のイルカやアザラシは72時間以内に世界中のどこにでも配備されるように常に待機している状態だが、海洋生物の軍事利用を反対する声も多いという。

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Navy Dolphin Gitmo Rally, San Diego
References:news.usni/ written by hiroching / edited by parumo

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