アメリカの大都会、ニューヨークシティのど真ん中で、猫にまつわる心温まるドラマが繰り広げられていた。
飼い主が亡くなって、アパートメントの階段をひとりうろついていた猫が、住人たちのやさしさの連携で無事に保護されたのだ。
彼らはロビーの掲示板に貼ったメッセージで情報を交換し合い、最終的に猫は住人の1人に引き取られた。
だが実は、亡くなった飼い主にはもう1匹猫がいた事実が発覚する。
階段をうろついていた猫を保護した住人たちの連係プレイ
2026年3月下旬のある日のこと、ニューヨーク市アッパーウエストサイドにあるアパートで、ロビーの掲示板にこんなメッセージが貼られていた。
猫を探している方はいらっしゃいますか? 5階に迷い猫がいます
翌日にはこのメッセージに、猫の写真が添付されていた。
どうやらこの猫は、アパートの階段をうろついていたようである。誰かの飼い猫のようだったが、何日経っても飼い主が名乗り出ることはなかった。
3月29日になって3D号室に住む住人が、地元の保護団体。Big Apple Cats Rescue[https://bigapplecats.org/](BAC)に連絡を取った。
BACのディレクター、ケリー・マホニーさんがすぐにアパートを訪れると、屋上に続く階段で怯えている猫を見つけた。
階段の踊り場には餌と水が用意され、居心地の良いベッドまで置かれていた。アパートの住人たちが総出で猫を気遣い、何とか助けようとしていたのだ。
ケリーさんは3D号室の住人と話し合った結果、住人が旅行に出かけるまでの数日間、一時的に猫を預かってもらえることになった。
この日、ロビーのメッセージには、次のような内容が書かれていた。
この猫は現在、3D号室で一時的に預かっています。BACの支援を受けて保護しました。ここ数日、この猫の世話をしてくれた皆さんの協力に感謝します。
この猫にはマイクロチップがありません。今週中により長期的な里親のもとへ移される予定です。ご質問のある方は、保護団体へ直接ご連絡ください。
ちなみに、地元の名店イーライ・ゼイバー(Eli Zabar[https://www.elizabar.com/])にちなんで、この猫を「イーライ(Eli)」と呼ぶことにしました
猫の飼い主が亡くなっていたことが判明
3月30日、ロビーの掲示板には新たに3C号室の住人から、虹の絵が描かれたメッセージが掲示された。そこには衝撃的な内容が書かれていた。
この猫は3Bの住人の猫だと思いますが、その住人は亡くなっています。木曜(26日)に管理人に連絡して知らせたところ、月曜(23日)に猫を2匹シェルターに連れて行ったと言っていました。そして、まだ迷っている猫がいるならまた連絡してほしいとも言われました
その翌日、掲示板には再び3D号室の住人からのメッセージが貼られた。そこには猫の様子とともに、BACの対応状況が書かれていた。
アップデート:猫は元気です
住人の方の訃報を聞き、とても残念に思います。
この猫は元気で、現在は3D号室で一時的に保護されています。保護団体は最善の長期的なケアを確保できるよう、一時預かりや正式な引き取り先との調整を進めています。
地域のみなさんの助け合い精神に感謝します。
同じ日、嬉しい続報が追加された。3D号室のメッセージを見た2C号室の住人が、ケリーさんにメールを送って来たのだ。
2C号室の住人から、イーライを長期的に預かりたいというメールが届いたんです。奇跡のようでした。また一人、助けてくれる隣人が現れたのですから
長年にわたって猫の保護活動を続けているケリーさんにとって、アパート全体の住人たちが、こんな風に猫を気遣ってくれる姿は衝撃的だったという。
近所の人やアパートの住人たちが、これほど団結する姿を見たのは初めてです。普通は助けようとしてくれる人は1人くらいで、残りは迷惑だと考えて追い出そうとするものなんです
掲示板には、この日2枚目のメッセージが貼られた。そこにはイーライが2C号室に移ったことが書かれていた。
2C号室の住人が、この猫を長期的に預かることになりました。
(亡くなった)住人の方のことは本当に残念です。
もしご家族をご存じの方がいて、猫の近況を知りたい場合(あるいは猫の名前をご存じの場合)は、ぜひご連絡ください。
猫用品の寄付も受け付けています。
212コミュニティにたくさんの愛を
亡くなった飼い主には他にも猫を飼っていた
こうしてイーライは2C号室の住人のもとで過ごすことになったわけだが、そこにまた新たな情報が飛び込んで来た。
同じ日、さらに3枚目のメッセージが貼られた。書いたのは3A号室の住人で、イーライの飼い主の隣人であり、より詳しい情報を共有してくれたのだ。
お隣の方が亡くなったと聞き、とても悲しく思っています。彼はとてもステキな方でした。
彼のパートナーは約2年前に亡くなっており、お子さんはいませんでした。私との会話の中では、他に頼れる方の話は出ていませんでした。
ただ、彼の飼っていたオスの猫が、がんの治療を受けていると話していたことがあります。
この猫がイーライなのか別の猫のことなのかはわかりませんが、情報として共有しておきます。
この可愛い猫の世話をし、飼い主のことを思って行動してくれた212コミュニティのみなさんに感謝します
ちなみにメッセージには「212コミュニティ」という言葉がよく出てくるが、これはマンハッタンの市外局番が「212」なことから、「地元民たち」的な意味である。
もう1匹の猫の居場所を特定するも、時すでに遅し
イーライの一時預かり先が確保できたことで、ケリーさんたちはもう1匹の猫の捜索に専念することに。
健康診断の結果、イーライにはがんの兆候は見られなかった。そのためおそらくもう1匹の兄弟猫が、がんを患っているものと思われた。
ケリーさんたちは付近のシェルターに、猫が連れていかれたであろう日にちや、猫の特徴、状況などを伝えて該当する猫がいないかを尋ねて回った。
当初、「2匹の猫をシェルターに連れて行った」と管理人が話していたとの情報から、BACは兄弟の猫「2匹」を探していた。
だがどこのシェルターにも記録がなかったため、ケリーさんたちはアパートの管理会社に連絡して管理人と連絡を取り、当時の状況を聞き出した。
その結果、亡くなった住人が飼っていた猫は2匹だったことがわかった。
イーライはアパートに残っていたわけだから、探すべき猫は1匹だけだったのだ。
改めて問い合わせを再開すると、あるシェルターから返事が届いた。
確認したところ、特徴が一致する猫が見つかりました。しかし残念ながら、その猫は医療上の理由により安楽死となっていました。良い知らせをお伝えできず残念です
この知らせは、関係者全員にとって大きな衝撃だった。収容されてから容体が悪化したのか、その猫はシェルターで既に安楽死させられていたのである。
シェルターを責めるつもりはありません。もし本当にイーライの兄弟ががんだったとして、どんな治療が必要で、どれくらいの期間それを受けられていなかったのかはわかりません。かなり重い状態だった可能性が高いです
誰もが動物を気にかけてくれるわけではない
もう1匹の猫を探す過程で、ケリーさんたちには多くの困難があり、猫の保護に理解のない人たちとのやり取りにも心を削られた。
管理会社や、猫に興味のない人たちとも話をしなければなりませんでした。
もう1匹をシェルターに連れて行ったとようやく認めた人は、「残りの1匹はどうせ死んでるよ」と言いました。
私が「その猫は建物の階段で近所の住人に世話をされていた」と伝えると、彼はニヤニヤ笑っていました。
アパートの大家や管理人の中には、住人のペットがどうなっても全く気にならない人がいることを知っておくべきです。
シェルターに猫を連れて行った人物は、アパートで修理などを担当している人物で、管理人に頼まれて猫をシェルターに運んだことを認めた。
彼は「忙しいから」と中に入って書類を書くことすら拒み、寒風吹きすさぶ門の外に、キャリーごと猫を置き去りにしたのだという。
そのため、この猫の保護の過程について、シェルターではきちんとした書類が作られていなかった。
それがこの猫にたどり着くまでに時間がかかってしまった原因のひとつかもしれないと、ケリーさんたちは考えているそうだ。
イーライは第二の猫生を満喫中
現在イーライは2C号室の住人のもとで、新しい環境にも馴染んできている。ちょっとシャイな性格で、昼間は大人しくしているが、人間が寝静まった夜になると元気に運動会をはじめるそうだ。
彼は愛情と注目を強く求めているんです。
撫でてあげると、手に寄り添ってゴロゴロと喉を鳴らし始めるんですよ!
下は2C号室で甘えん坊ぶりを発揮しているイーライの様子。特にあごをなでなでされるのが大好きなんだそうだ。
このニュースは世界中の猫好きに感動と、そしてショックを与えたようだ。
- イーライの話を読んで心が温かくなった。こんな時代に、地域の人たちが力を合わせてこの猫を助けた話を読むと、人間にもまだ希望があると思える
- こうやって地域の人たちがひとつになるのは本当に素晴らしいね
- 建物の管理人や修理屋、メンテナンス業者、ボデガの店主たちには大きな問題がある。何度も何度も、人として役に立たない存在であることを証明し続けているんだ。動物の問題に介入して思いやりを見せるチャンスが何度もあるのに、いつも失敗している。恥ずかしいことだ。とはいえ、少なくともこれで事実はわかったんだね。安らかに眠ってほしい
- こうした事実を知って本当にがっかりしました。そして、多くの人にとって、飼い主が亡くなった後に残された猫は、単に片付けるべき「作業」にすぎないという現実を突きつけられました。だからこそ、毎日のように心が折れそうになっても、前を向いて続けていくしかないんです(BACコメ)
- なんて悲しいニュースなの。イーライのもう1匹の兄弟はどうなったの? シェルターに連れて行かれた2匹目の猫は?
- 最初から2匹だけだったんです。近隣住民が勘違いしたか、管理人が言い間違えたのでしょう(BACコメ)
- 人がここまで残酷になれることや、動物に無関心でいられることに本当に悲しくなる
- 望んでいた結末ではなかったけれど、これが現実ね。状況を考えればここまでわかっただけでも幸運だったと思う。共有してくれてありがとう
- 兄弟猫と飼い主が虹の橋で再会していて、この先イーライを見守ってくれることを願ってる。彼がこんなに優しいご近所さんと、素晴らしい保護団体に出会えたことをうれしく思うよ
- 管理会社がいかにひどいかという証拠がまたひとつ増えただけ。彼を見つけるために尽力してくれてありがとう
- 自分に万が一のことがあったときにペットをどうするかという大切な問題について、意識を高めてくれたことに感謝します
自分に何かあったときのためのメモを残そう
ケリーさんはこれを機に、自分に何かがあったときに、愛するペットを守るための対策をしておくよう呼びかけている。
イーライの兄弟の死を無駄にせず、ペットのための備えをしておくことの大切さを改めて思い出すきっかけにしてください。
もしもの時のためにペットに関する情報を書き残して、少なくともあなた以外の誰かが内容を知っている状態にしておくべきです。
緊急時にペットの世話を頼む相手を記したメモを、冷蔵庫にマグネットで貼っておくのもいいでしょう。
特に一人暮らしの場合、これは非常に重要です。頼れる人がいない場合は、地域の保護団体の連絡先を書いておきましょう
彼の兄弟猫の件は残念だったが、イーライにはこれから幸せいっぱい第二の猫生が待っているはずだ。
彼と飼い主さんが虹の橋の向こうで再会できたことを願っています。イーライは強く健康で、生き抜く力を持っています。
彼の猫生の第二章が良いことばかりで満たされるように、私たちは全力でサポートしていきます
ケリーさんはいつかイーライにとっての理想的な「ずっとのおうち」を見つけられるよう、これからも見守っていきたいと語っている。
References: Neighbors Exchange Notes About A Loose Cat In Their Stairwell — Then Learn Why He’s There[https://www.thedodo.com/daily-dodo/neighbors-exchange-notes-about-a-loose-cat-in-their-stairwell-then-learn-why-hes-there]











