仲間は助ける!クモザルは自らの体で橋を作り木の上で協力しあう
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 ブラジルのアマゾン熱帯雨林で、クモザルたちが自らの体を精一杯伸ばして木の枝と枝をつなげて橋を作り、仲間たちを安全に渡らせる、思いやりあふれる行動が捉えられた。

 この映像は地元の漁師が偶然撮影したもので、高い知能と社会性を持つ彼らが、群れ全体の安全を守るためにいかに協力し合っているかがよくわかる。

 森林伐採で絶滅が危惧される中、少なくなった仲間を守ろうとするサルたちの強い絆は、運命を変えることができるだろうか?

クモザルたちが体を伸ばし仲間のために架け橋となる

 ブラジル北部、広大なアマゾン熱帯雨林にある川で、アントニオ・デ・リマ・ジュニアさんは仲間とともにボートで移動していた。

 漁師であるアントニオさんは、ボートの上から地元の野生動物を眺めるのが日常だったが、2024年4月初旬、クモザルたちの群れを目撃した。

 早朝、霧が立ち込める木々の中で、夜明けとともに活動を始めたクモザルたちが木から木へと移動し始めた。

 そこでアントニオさんたちは、彼らの美しい仲間同士の助け合いを目にすることになる。

 2匹のサルが遠く離れた枝の間に体を伸ばし、他のサルが渡れるように生きた橋を作ったのだ。

 しばらく観察を続けていると、サルの群れが次々とその橋を渡り、森の中を移動していく強い結束と絆を目にすることになった。

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樹上生活に特化した第五の手を持つクモザル

 クモザルは、メキシコ南部から中南米のアマゾン川流域にわたる熱帯雨林の、非常に高い木の上(樹冠部)で一生のほとんどを過ごす。

 一日のほとんどを地面から離れた不安定な枝の上で過ごすため、特殊な身体構造を持っている。

 クモザルの体長は40cmから60cmほどだが、80cmを超える非常に長い尾を持っている。

 この尾は「第5の手」と呼ばれるほど握る力が強く、裏側には滑り止めの役割を果たす尾紋(びもん)がある。

 この長い尻尾を器用に操り、木から木へと自由自在に移動することができるのだ。

 だがクモザルたちにとっても難所は存在する。

  そんな時は、自分の体を架け橋替わりに利用し、お互いに助け合うことで、誰も取り残さないようにするのだ。

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クモザルのもつ高度な社会性と深い絆

 クモザルがこれほど献身的に助け合う背景には、この独特の群れの仕組みがある。

 クモザルはその日のエサの量や周囲の状況に合わせて、数匹の小さなグループに分かれてバラバラに活動したり、寝るときや移動のときには再び100匹近い大集団に集まったりと、集団の形を柔軟に変えながら生活している。

 このように「離れては集まる」という複雑な社会を維持するためには、個体同士が互いを識別し、それぞれの性格や関係性を正しく理解する高い知能が欠かせない。

 クモザルの個体間では毛づくろいなどの交流が盛んに行われており、離れている間も失われない強い信頼関係を築いている。

 野生下では20年から25年、飼育下では40年以上生きることもあるクモザルにとって、仲間との協力は生き残るための生存戦略なのだ。

 身体能力の高い個体が仲間のために体を投げ出して橋になる姿は、クモザルの社会がいかに思いやりと相互扶助で成り立っているかを証明している。

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絶滅の危機に瀕するアマゾンの庭師を守るために

 クモザルは生態系においても極めて重要な役割を果たしている。

 彼らの食事の約80%は果実であり、食べた種子を未消化のまま遠くへ運び、排泄物とともに森へ撒く。

 このため彼らは「森の庭師」と呼ばれ、熱帯雨林の再生に欠かせない存在となっている。

 しかし現在、ブラジルに生息するクモザルの多くは、人間による森林伐採や農地転用によって住処を追われ、絶滅危惧種に指定されている。

 アントニオさんが捉えた映像は、クモザルたちの深い愛情と絆を世に知らしめると同時に、彼らが暮らす豊かな森林といとおしい命を、これ以上失わないように守り抜く大切さを伝えている。

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