長い3本爪が2組、湖の水面からにゅっと現れボートの縁をつかんだ。ここだけ見たらちょっとしたホラーだ。
おっとりしたスローライフで知られているナマケモノのものだ。
南アメリカのフランス領ギアナにある湖で泳ぎ疲れてぐったりしたミユビナマケモノを発見したツアーガイドのロナンさんは、ゆっくりとボートを近づけた。
するとナマケモノがボートに爪をかけてよじ登ってきたのだ。
ロナンさんはそのままゆっくりボートを岸に寄せ、ナマケモノを森へ送り届けたという。
実は泳ぎが得意なナマケモノ
ナマケモノは、一日の大半を木にぶら下がってのんびり暮らす動物だ。その姿が「怠け者」のように見えることから「ナマケモノ」と名付けられた。
陸上での動きはとても遅く、歩く速さは毎分2m程度しかない。ところが水に入ると活発に泳ぐ。
種を問わず泳ぎが得意で、川や湖を渡って移動することもある。
ボートの縁に突然現れた長い爪
南アメリカ大陸の北東部に位置するフランス領ギアナは、国土の大半がアマゾンと地続きの熱帯雨林に覆われており、たくさんの野生動物が暮らしている。
ツアー会社「ネイチャー・ド・ギアナ」のガイド、ロナンさんは毎日のように観光客を乗せて湖を渡る。珍しい動物と出会うことは日常茶飯事だが、こんな出会い方は初めてだったという。
ある日、湖の水面にナマケモノが必死に水をかきながら進んでいるところを発見した。
だがその動きは重く、疲れ果てているのが一目でわかったという。
ロナンさんがボートをそっと近づけると、ナマケモノは水面からにゅっと長い爪を伸ばし、ボートの縁に引っかけた。そのままゆっくりと、自分の力で体を引き上げてきた。
ボートを森へ近づけ送り届ける
ロナンさんはエンジンをゆっくりと動かし、最も近い森のある岸へとボートを向けた。
ナマケモノはボートの縁に爪をしっかり引っかけたまま、おとなしく運ばれていった。
岸に着くと、ナマケモノは動き出し、目の前の木に手を伸ばし、ゆっくりと幹を登っていったという。
野生動物を助ける時は、人間は直接触れないよう配慮する必要がある。
体に触れることでストレスを与えたり、人間のにおいが残って野生に戻りにくくなったりするリスクもある。
ロナンさんは一切ナマケモノに触れることなく、渡し船としての役割を果たした。
ツアーガイドのロナンさんはこれまで、ナマケモノを見かけることは何度もあったが、自分のボートにナマケモノがつかまった経験だという。
緑色の毛に長い爪、ナマケモノの体のひみつ
今回ボートに現れたのは、ミユビナマケモノに属する、ノドジロミユビナマケモノという種だ。
フランス領ギアナを含む南アメリカ北部の熱帯雨林にのみ生息していて、成体のオスは頭や背中にオレンジ色や黄色の鮮やかな斑紋が出る。
体長は42~80cm、体重は2~6kg程度。
葉っぱだけを食べて生きているため、エネルギーをできるだけ使わないよう体全体の代謝が極端に低くなっている。
動きがのろいのは怠けているわけではなく、そういう体のつくりになっているからだ。











