音楽を触覚で感じる。触手が頬でリズムを刻むタコ風イヤホン
image credit:<a href="https://www.linkedin.com/in/haji-yang-vanessa" target="_blank" rel="noopener">Haji Yang</a>

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 耳に寄生したかのような4本の触手が付いているタコっぽいデバイスは、音楽を「触覚で感じる」機能を搭載したユニークな感覚型イヤホンだ。

 インダストリアルデザイナー、ハジ・ヤン氏が生み出した「Live Beats」は、ノイズで曲がかき消されても、皮膚上でリズムを刻めば鳴り続けているように感じる、という発想に基づいたコンセプトモデルである。

 普段は普通のイヤホンだが、周囲の騒音が一定値を超えると、4本のしなやかな”触手”が、ユーザーの頬にそっと触れ、曲のリズムに合わせてタップを始める。

 ノイズキャンセリングとは真逆の発想で、耳をふさぐのではなく、触覚を通じて音を楽しむのだ。

耳に棲みついたタコのようなLive Beats

 2026年7月3日に話題となった「Live Beats」は、イギリスを拠点に、自動車業界向けのCAS(コンピューターによる造形設計)モデリングを手掛けるインダストリアルデザイナー、ハジ・ヤン氏が生み出したウェアラブル機器のコンセプトだ。

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 きっかけは、従来のノイズキャンセリングヘッドホンへの違和感だった。

 周囲の音を遮断して音質を保つノイズキャンセリング技術は、世代を重ねるごとに外界からの孤立を強めてきた。

 このLive Beatsは、周囲の音を”消すべき敵”とみなすのではなく、受け入れる方向へ発想を転換した末に誕生した。

 内蔵センサーでまわりの騒音を常に測定、その音量が一定値を超えると、頬のそばの触手が振動し、それまで聞いていた曲のリズムをタップで伝える。

 見た目も従来のイヤホンとは大きく異なる。スピーカーや配線といった機械的な部品を隠し、タコや巻貝を思わせる有機的な形状を採用した。

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 全体的な形状はタコっぽくも見えるが、表の部分は巻貝の殻のよう。そこから伸びる触手のようなチューブは半透明で、赤い螺旋状のコードが透けて見える。

 赤い螺旋は、DNAの二重らせんや血管を思わせ、生物的な構造と機械的な仕組みの融合を感じさせる。

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 装着すると、イヤホンというより、耳のまわりに異界の海洋生物が棲みついたようにも見える。

触覚でリズムを伝える仕組み

 Live Beatsのメインは、4本の柔らかな触手が頬に触れて振動する触覚システムだ。

 仕組みは、まず専用アプリが再生中の楽曲を解析し、ベースライン(低音部の旋律)、パーカッション(打楽器の音)、メロディーの層など、それぞれ音を別の振動パターンに割り当てるといった形になる。

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 また音楽情報すべてを再現するのではなく、肌でも聞き分けやすいリズムとテンポに絞り込み、振動に変えるという。

 触手の先端には交換可能な接触チップが備わっており、その素材は柔らかいスポンジと硬い金属を選べる。

 スポンジはやわらかく穏やかな感触を、金属はより冷たくはっきりとしたタップを生み出し、曲のジャンルによって頬に伝わる感覚を変える。

 ハジ・ヤン氏は、触覚を単なる通知の手段として使うのではなく、”音楽を聴く”体験を拡張する、これまでにない表現の一部とみなしている。

既存のイヤホンとは違う”第3の道”

 イヤホンでの外部音遮断は、没入感を高める一方で、周囲の状況音や、危険を知らせる声掛けなども聞こえなくなり、事故につながる事例も多発している。

 こうした事情も相まって、周りの音を聴きながら音楽を楽しむ技術は、すでにいくつもある。マイクで周囲の環境音を拾い、イヤホン内部のスピーカーで音楽に混ぜて再生する「外音取り込み」型は、日本でもすっかりおなじみの機能だ。

 装着したまま会話ができたり、駅のアナウンスや車の走行音に気づけたりする便利さから、今や多くのワイヤレスイヤホンに搭載されている。

 もうひとつ、鼓膜ではなく、骨を振動させて音を内耳に伝える「骨伝導イヤホン」もある。

 骨伝導イヤホンは耳の穴をふさがずに周囲の音を聴きながら、同時に音楽も楽しめる仕組みだ。聴覚に障害がある人にとっても、音を感じる手段として使われている。

 外音取り込みも骨伝導も、音を最終的に「聴覚」として届ける点では同じだが、Live Beatsは、音が耳に届かなくなった瞬間、体験を聴覚から切り離し、頬の「触覚」へと丸ごと移してしまうところにある。

 聴覚の限界を電子的に補うのではなく、聴覚とは別の感覚に音楽そのものを預けてしまう、やや大胆な発想だ。

音以外にも広がる活用の可能性

 Live Beatsは現時点では未発売のコンセプト段階にとどまる。

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 とはいえ、肌への振動でリズムを伝える仕組みは、音楽以外の場面にも応用できる可能性を秘めていそうだ。

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 触覚を通じて、確実に情報を伝えられるウェアラブル機器があれば、通知やナビゲーションの案内、周囲の危険を知らせるアラートなどを、視覚や聴覚に頼らず届けられるようになるかもしれない。

 耳をふさぐのではなく、情報を耳から肌へと移す発想は、公共の場がますます騒がしくなる中で、ウェアラブル機器と人との新しい関わり方の提案といえる。

 単純に人と被らないアクセサリーにもなりそうだが重さが気になる。実際に動くとどんな感じなんだろう。アップテンポの曲だと触手も忙しそうだし、ずっと騒音環境だと、曲が終わるまでペチペチ叩かれたりするのかな。それはそれで楽しそうだが。

References: Designboom[https://www.designboom.com/technology/octopus-earphones-music-touch-face-tapping-tentacles/] / Freeyork[https://freeyork.org/technology/haji-yang-s-live-haji-yangs-live-beats/] / Linkedin[https://www.linkedin.com/in/haji-yang-vanessa]

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