内田真礼15枚目のシングル「ラブ・ユー・テンダー!」が10月18日(水)にリリース。10月より放送がスタートしたTVアニメ『経験済みなキミと、経験ゼロなオレが、お付き合いする話。
』のOPテーマになっている本楽曲で、どんなことを表現しているのか、そして新たな風が吹かれたカップリング楽曲について、話を聞いた。

INTRVIEW & TEXT BY 塚越淳一

これまでの修行の成果が出た曲
――Zeppツアー“Live Tour 2023 Happy Research! –HIKARI”は、『HIKARI』を引っ提げてのツアーでした(※インタビューはツアー前に実施)。ここでライブをして、しっかり『HIKARI』を表現してこそ前へ進める、というようなことをツアーパンフレットのインタビューでも語っていましたが、『HIKARI』の先の内田真礼について、プロデューサーの冨田明宏さんとは話しているのでしょうか?

内田真礼 私がいる場所だったり、どこに根付いているのか、みたいなことは話しました。自分の在り方を見つめることが今のテーマだったりもしたので。自分のポジションや自分のいる場所って、ずっと走ってきたからこそ移り変わってきたんですよね。声優としてのやること、やるべきこと。
音楽活動をするうえで学んできたことがあって、それらは進化を遂げないといけないんだ!という気持ちでずっとやってきていたところがあって。だからここで、これまでやってきたことを振り返って、次の2024年は、「今の私は何?誰?」っていうところに、改めてフォーカスする年になるはずなんです。そのためにも今までやってきたことを1つ1つ完結させることが大事なのかなと思ったので、今は走馬灯みたいな感じで色々な出来事を振り返っているところです(笑)。

――それが、Zeppツアーに繋がっているんですね。

内田 だから、まずはZeppツアーをしっかり終えて、これまでこうやって作ってきたね!っていう指針がないと、先に進めない気がするんですよね。2024年に向けて、私の今までをちゃんと理解をしようという想いを持った2023年になっていると思っています。


――ということは、今回の15thシングル「ラブ・ユー・テンダー!」もその1つ?

内田 「ラブ・ユー・テンダー!」に関しては、“内田真礼”自身を重視したわけではなく、タイアップ曲でもあるのでまた別の考え方になるとは思うんですけどね。ただ、「久しぶりのアニメのOPテーマだぞ~!」って内田真礼チームは浮き足立っていたとは思います(笑)。今回は、「ギミー!レボリューション」(2ndシングル)みたいな、ファンのみんなと私が掛け合うことで完成するような曲になっているし、実際、そういう感じの曲にしましょうというオーダーもあったので、楽しい曲を作れる!って、めちゃめちゃ盛り上がっていたんですよ。「そういうの求めてくれるの嬉しいー!作るぞー!」って感じで(笑)。

―― 一周回ってまたこういうのやりたい!という感じにはなりますよね。「ギミー!レボリューション」みたいな曲は、ライブで鉄板ですから。


内田 そうそう。これまで色々な曲をやってきて、それこそ「youthful beautiful」とか「ストロボメモリー」って、色んな方に聴いてもらえたすごく大切な曲なんですけど、ライブでみんなで声を出して盛り上がるタイプの曲ではない。で、そういう曲も歌ってきたうえで、今改めて、こういう掛け合いの曲を聴くとすごく安心する、みたいな(笑)。あと最近思うのは、求められているものにしっかり向き合うことって大事だよなっていうことで。こういう私もいるんです、ってやってきたけど、それこそ、もう9年もやってきているわけですからね。今の自分はその頃と違うからって言うのは簡単だけど、その頃から私を知ってくれている人に対して「変わったよ」って言うのも、何だか置いて行っている感じもして。
だから今回の曲に関しては、改めて、内田真礼の魅力を受け取ってほしい!という感じ。だからもちろん全力で作りました(笑)。

――ひたすら前を見て走り続けてきていましたから。でも、そう考えると、今年やっていることから、そんなにズレていない感じがしますね。

内田 そうかもしれない。でも、同じことをやっているわけではなく、自分自身は成長しているんですよね。
「ラブ・ユー・テンダー!」もキーは高いんですけど、歌いやすいので。デビュー当時は、キーはきついけれど、それが一番良いからそれでやらないといけない!と思いながらレコーディングをして、それをまたライブで表現するのが大変だったんです。でも今は、自分の一番良い声で歌えているというか。喉を壊さず、ライブでも映える艶のある音を出すことができるようになったから、自分にも余裕が生まれて深みも出てきたのかなと。良いバランスになったのかなって思っています。

――ご自身のキーが高くなっているんですかね。


内田 どうなんだろう……レンジは広がったと思いますね。ただ、低いところも高いところも、以前は頑張って何とか出していたけど、今は落ち着いて歌えるようになったし、ライブパフォーマンスも進化しているからこその「ラブ・ユー・テンダー!」になっていると思います。

――この曲は、TVアニメ『経験済みなキミと、経験ゼロなオレが、お付き合いする話。』のOPテーマですが、アニメにはどんな印象を持ちましたか?

内田 タイトル的に、結構「お~」ってなるじゃないですか、一体どういうこと?って。話の展開もスタートからドギマギするんですけど、そこには純粋な男女の想いが描かれていて、私はほっこりしちゃいました。目線が当事者というよりは姉目線というか、そんなこと気にするのか~みたいな感じなんですよ(笑)。男の子の自信がない感じとか、男女の初心な感じが瑞々しく描かれているから、学生さんが見たらドキドキしながら楽しめると思うんです。そして、ギャルが笑顔を向けてくれるので、今日の俺ツイてる!って気持ちになるかもしれない(笑)。だから夢がある作品だなぁって思います。

――最近、陰キャな男子と陽キャなギャルの組み合わせって多い気がします。

内田 うん、多いですよね!あと男の子も女の子も最初からずっとほっぺたが赤い作品も多くて、ずっと照れているんですよ。最近、男の子が受け身なアニメが増えた気がする。

――確かに!そういう時代なのかもしれない。

内田 自分からいけない、みたいな感じですよね。それでもいいよって言ってくれる優しい女の子がいる。時代ですねぇ。

――そして、「ラブ・ユー・テンダー!」の作詞・作曲は北澤ゆうほさん。the peggiesとしてアニメ楽曲を担当されたり、色々なラブコメ作品に楽曲提供をしているイメージもあるのですが、北澤さんの曲を聴いたとき、どんな印象を受けましたか?

内田 ハネるロックと言えばいいのかな。女性の瑞々しさみたいなものがあって、北澤さんの声が聴こえてくる感じがするというか……そういう魅力がめちゃめちゃあると思いました。だから、実は私の曲にはない感じでもあるんですよ。私の曲を作ってくれているクリエイターさんって男性が多いんです。だからこういう軽やかな感じがすごくいいなって思ったので、そこにはばっちり気持ちをノせることができました。

――女性特有の感性というか。

内田 そうですね。実は、TVアニメ『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』の劇中歌「BABY!」(the peggies)をキャラクターで歌ったことがあるんです。北澤さんの曲を歌うのはそれ以来ではあったんですけど、私がこれまで歌ってきた曲って、めっちゃ速い曲が多くて、言葉も詰め込まれているんです。でも、この曲はそんなに速い感じがしないし、言葉に間がある。例えば“ラヴ・ユー ラヴ・ユー ラヴ・ユー・テンダー! 見つめているの”っていうところでも、間があるんですよ。歌っていないんだけど、ここに感情や表情を込められる感じがしたんです。これまで滑舌トレーニングみたいな曲を繰り返し歌ってきた私としては、それがすごく良くて!むしろ、これまでやってきた成果を出せる!みたいな気持ちになっていました(笑)。

――あははは(笑)。修行の成果を見せられる!的な。

内田 これまで亀仙人の修行みたいな曲ばかりを歌っていたから、こういう余裕があると、ここで気持ちを出せる!とか、たくさん思っちゃうんですよね。だから、これまで大変な曲を歌ってきて良かった~って思いました。すごくこの曲は歌いやすいです(笑)。

――でも、間に感情を込めるって、声優としての本領という感じもするので、大事ですよね。

内田 そうなんです!これまで何度もボイトレの先生に言われてきましたから、「よくこんな速い曲を歌えるね」って。先生は私の曲を聴くと、まず速度を落として聴いて、なるほどこうなっていたのかってところからレッスンが始まるので。

カップリングは「今の私に近い曲」
――北澤さんとのレコーディングではどんなお話をされましたか?

内田 あまり歌い方に対してはディレクションはなくて、レコーディングもチームに任せてくれているような感じだったとは思います。

――歌い方で、間に感情を込める以外に意識したことはありますか?

内田 この曲の歌詞って1番と2番で視点が変わっているんですよ。一人称も、私から僕になっていたりするし。なので、そこも声優ならではなんですけど、気持ちを変えるようにしました。ハモで男の子っぽい声を出しているところがあったりはするけど、基本的に声を変えるわけではなく、目線をしっかり移すことを意識しました。ここの歌詞は女の子の心情、ここは男の子の心情っていうのを意識して歌うというか。

――内田さんは声優として男の子役をやることも増えていますが、声色を変えるということではなく、あくまで気持ちだけを変えていったんですね。

内田 感情の温度感を変えるような感じなんですけど、そこは自分でやっていても面白かったです。ただ、“(責任とってよね 分かった?)”っていうコーラスがあるんですけど、ここは誰なんだろう、という悩みはありましたね(笑)。キャラクターではないし、内田真礼ならではの“分かった?”なんだけど、難しいなぁと。

――確かに、キャラクターに寄り添った歌詞だけど、キャラソンではないですからね。

内田 そうなんですよ。でもライブでは遊べるところだなって思いました。

――アレンジは、キラキラした感じもありましたね。

内田 結構ピコピコ音が入っているのが印象的で、そこはちょっとゲームっぽいなって思いました。相手を攻略する気持ちとか、恋心が揺れ動く感じがゲームっぽいイメージなのかな。

――そして、カップリング曲の「アーバンハイウェイ」は、クラブミュージックのような感じでしたね。

内田 クラブミュージックをあまり知らないというのもあるけど、お洒落でアーバンな感じではありますよね。BGMっぽい感じというか。これは今までやってこなかったテイストの曲で、同じメロディが繰り返されていたりするので、どういう表現で歌ったらいいのかがすごく難しかったです。雰囲気はすごく好きだけど、こういう表現をしたことがないから戸惑うみたいな。でも、すごくカッコいい曲になったと思います。

――これまでにない新しい感じにはなっていますね。

内田 実はちょっとした仕掛けがあるんですけど、それについて話すのはまだ先になると思うので、この曲単体では、歌詞をよく見てほしいなって思っています。

――“三茶渋滞”とか、気になりました。

内田 そうなんですよ!街の名前が入っていたりするから、東京に住んでいる人からしたら、ここ知っているなぁって、景色が思い浮かぶもしれない。

――レコーディングは大変でしたか?

内田 苦戦しましたね。張って歌うような曲でもなかったので、今までの歌唱の仕方だと合わないんです。だから段階を踏んで盛り上がっていったり、ローで歌う部分とかをみんなで考えながら。ここは力を入れて歌うとちょっと違うよねって相談しながら録っていった感じでした。あと、息の成分をたくさん録ったんですよ。それがどうやって使われるかは、まだ完成前だからわからないんですけど、息を吸って吐くニュアンスをたくさん録ったので、そこは聴きどころだと思います。やっぱり息が入ることで、ここに生きている感じとか、隣にいるような感じがすると思うので。

――カップリングは、毎回チャレンジというか、今の気持ちが反映されている曲になっている気がいますね。

内田 この「アーバンハイウェイ」も、今のムーブにはすごく合っている曲になったと思うし、令和の時代感を切り取っているのかなとも思っていて。若いクリエイターさんに書いてもらった曲なので、新しい風を運んでくれたなって思います。今回は「ラブ・ユー・テンダー!」が瑞々しさ、十代の気持ちや、若さみたいなところがメインテーマになっていましたけど、「アーバンハイウェイ」は、もっと今の私に近いかもしれないですね。すっぴんな私というか、カッコつけない自分のような感じがしています。でも、1曲目と2曲目で、だいぶテンションが違うので、驚かれるシングルにはなっているかもしれないですね。

●リリース情報
「ラブ・ユー・テンダー!」
10月18日(水)発売

【初回限定盤(CD+Blu-ray)】

品番:PCCG-02291
価格:¥2,400(税込)
封入特典:フルカラーブックレット、特典Blu-ray

【通常版(CD)】

品番:PCCG-02292
価格:¥1,400(税込)

<CD>
1.ラブ・ユー・テンダー!
作詞・作曲:北澤ゆうほ 編曲:UNDER_COVERS
2.アーバンハイウェイ
作詞:mido 作曲・編曲:UNDER_COVERS
3.ラブ・ユー・テンダー! -TV Size Ver.-
4.ラブ・ユー・テンダー! -Instrumental-
5.アーバンハイウェイ -Instrumental-

<Blu-ray>
ラブ・ユー・テンダー!
Music Video
off shot
Making of Music Video

●イベント情報
Maaya XmasParty!!2023
日時:2023年12月24日(日)
1部 開場 14:00 / 開演 15:00
2部 開場 17:30 / 開演 18:30
出演者: 内田真礼、ちゃんこ(MC)、冨田明宏(MC)
会場:パシフィコ横浜 会議センター メインホール(神奈川県横浜市西区みなとみらい1丁目1-1)
イベント詳細はこちら

●作品情報
TVアニメ『経験済みなキミと、経験ゼロなオレが、お付き合いする話。』

<イントロダクション>
加島龍斗(リュート)は冴えない陰キャ男子。もちろん16年彼女ナシ。そんなリュートの憧れは、白河月愛(ルナ)。学年一の美少女ギャルで、恋愛経験も豊富、遠くから見ているだけで十分だと思っていたけれど……なんと付き合うことに!?
恋愛経験ゼロの陰キャ男子と経験済みなギャル、住む世界が違いすぎる二人が織りなす凸凹だけど、ピュアでリアルでドキドキがつまった 極上青春ラブストーリー。

【スタッフ】
原作:長岡 マキ子『経験済みなキミと、経験ゼロなオレが、お付き合いする話。』(ファンタジア文庫刊)
キャラクター原案:magako
監督:大庭秀昭
シリーズ構成:福田裕子
キャラクターデザイン:伊藤陽祐
美術監督・美術設定:宮田遥可
色彩設計:山上愛子
撮影監督:板倉あゆみ・山本 雄介
オフライン編集:小口理菜
音響監督:高寺たけし
音響効果:風間結花
音楽:羽岡 佳
音楽制作:ポニーキャニオン
音響制作:グロービジョン
アニメーション制作:ENGI
製作:キミゼロ製作委員会

オープニングテーマ:内田真礼「ラブ・ユー・テンダー!」
エンディングテーマ:AliA「あいことば」

【キャスト】
加島龍斗:花江夏樹
白河月愛:大西沙織
黒瀬海愛:古賀 葵
山名 笑琉:福原綾香
仁志名 蓮:阪口大助
伊地知 祐輔:落合福嗣
谷北 朱璃:楠木ともり
関家柊吾:前野智昭
KEN:KUN

©長岡マキ子・magako/KADOKAWA/キミゼロ製作委員会

関連リンク
内田真礼
公式サイト
http://uchidamaaya.jp/

YouTube Official Channel
https://www.youtube.com/channel/UCJFEXIRB6DP_2FQJzv7pbXg

公式X
https://twitter.com/MaayaUchida