昨年10月の自民党総裁選と今年2月の衆院選で、高市早苗首相の陣営が小泉進次郎氏と林芳正氏といった総裁選のライバル候補や安住淳氏や岡田克也氏ら野党候補者の“ネガキャン動画”を作成・拡散していたと「週刊文春」(文藝春秋)が報じた件について、5月11日の参院決算委員会で高市首相が「そのような動画を作成して発信するといったことは一切行っていないと報告を受けている」と否定。さらに「私は秘書を信じる」と答弁したことに対し、SNSでは批判が寄せられている。
批判は当然だ。というのも、問題の追及をおこなった立憲民主党の森ゆうこ参院議員が「動画を大量に流して世論操作をしたと極めて具体的な秘書と(関係者)のやり取りが記述されている。あれは捏造か」と問いただした「週刊文春」の記事は、出所も物的証拠もある客観的で事実に基づいた報道だ。
ところが、高市首相は、「週刊誌の記事を信じるか秘書を信じるかというと、私は秘書を信じる」と答弁。さらには「週刊誌がそれだけ細かく書いているから本当だと言うかもしれないが、私が口にもしていない言葉をカギカッコつきで『こう言った』とか『こういうことをした』とか平気で書いている。だから週刊誌の記事をもとにギリギリと聞かれても、私自身が秘書に確認したことがすべてだし、それを信用する」と強弁したのだ。
ようするに、この問題を週刊誌が書き立てているだけにすぎないと矮小化し、自分への追及をかわすために公設第一秘書である木下剛志氏を「信じる」という話にごまかしたのである。
しかも、これを受けて、高市応援団がSNSを中心に「週刊誌ネタを国会でやるな」というカウンター攻撃を仕掛けている。
こうしたゴマカシ、矮小化を許さないためにも、「週刊文春」がどんな証拠を突きつけたかをあらためて確認しておこう。
まず、「週刊文春」の記事の根拠のひとつになっているのは、高市陣営の依頼によりネガキャン動画を作成・拡散したと証言する起業家・松井健氏が「週刊文春」側に提出したLINEやシグナル、ショートメッセージの履歴だ。松井氏は、暗号資産「サナエトークン」の開発に携わったとされる人物で、今年4月にはサナエトークンをめぐって高市事務所の木下秘書と連携し、サナエトークンが暗号資産であることも木下氏に伝えていたと告白している。
その松井氏が、今回、ネガキャン動画の作成・拡散を依頼されたことを明かしているのだ。
そして、今年2月の衆院選でも高市首相の公設秘書・木下氏から、松井氏に、野党候補のネガディブ動画などの作成の依頼があった。「文春」には公示日前日からの2人のやりとりが紹介されているが、その中には、中道の候補者だった安住淳氏への攻撃を依頼するようなものもある。
安住氏といえば、選挙中、クリームパンを食べる動画などに悪評が広がったが、木下秘書は2月4日、これらの動画に関して〈安住のポケットに手を突っ込んだ演説、公開する事を前提に撮えているのに足を組んでの食事、とても日本人の道徳心とは思えません。皆さんに知らしめてやって下さい〉(原文ママ)というショートメッセージを松井氏に送付してきたという。
このような木下氏からの依頼に応え、松井氏は野党を批判する動画を大量に作成。投開票の翌日には、木下氏からこんなお礼のショートメッセージが届いたという。
〈この度も大変お世話になり、心より感謝申し上げます。自民党過去最高の議席数を賜り、旧立憲民主の害獣を沢山駆除する事ができました。しっかりと未来に向けた国作りを進めてまいります〉
言っておくが、「週刊文春」誌面には、木下秘書から松井氏に送られたこうしたショートメッセージの画面画像も掲載されている。
ここまで具体的な証言が揃っていて、裏付けとなる物的証拠まで提示されて、なぜ高市首相は、「秘書を信じる」と言い張るのか。
それは、サナエトークン事件のときからそうだ。松井氏は約1カ月前、「週刊文春」4月9日号でサナエトークンをめぐる高市事務所側との連携を告白した際、木下秘書との“極秘リモート会議”の音声を提出し、それを「週刊文春」がネット上で公開した。ところが、高市首相は高市事務所が一切関与していないと言い張り、今回も国会答弁において、証拠を出した松井氏について「私自身も、そして地元の秘書も面識のない方」と言い切った。
木下秘書の言うことを鵜呑みにし、検証行為さえ拒否しているこの姿勢をみると、高市氏自身が木下氏の行動を知っていたため、手前の段階で追及をシャットアウトしようとしているとしか思えない。
そもそも渦中の人物である木下秘書は、長年にわたって高市氏を支え、公設第一秘書と地元・奈良の高市事務所の所長を務めている高市首相の最側近だが、高市首相の数々の不正疑惑においてその名が登場。高市事務所の不正を主導してきた人物だと囁かれてきた。
そのひとつが、高市首相の“裏帳簿”から発覚した「脱税関与」疑惑だ。
今年1月、「週刊文春」は高市事務所の関係者から “裏帳簿” であるエクセルファイルを入手。これは政治資金パーティ開催時の入金記録を把握しておくための「門外不出の資料」で、そこには政治資金収支報告書に記載されていない金のやりとりが載っていた。そこで浮上したのが、実際にはパーティ券の収入であるのに資金管理団体への「寄附」(個人献金)として付け替えて処理していたという問題だ。
同じく“裏帳簿”を入手していた「しんぶん赤旗 日曜版」3月22日号では、高市首相の選挙区内の町長や町議らから付け替えを裏付ける証言を得て掲載、パーティ券購入者が不正な所得税の控除を受けていれば高市事務所には脱税ほう助の疑いが出てくると指摘している。
そして、この“裏帳簿”に深く関与していると見られるのが、木下秘書なのだ。実際、「赤旗日曜版」によると、2011・2012年分のリストの上部欄外には「担当秘書:木下剛志」と記されているとし、「週刊文春」もエクセルファイルの電子データのプロパティで「前回保存者」として出てくるのが「t-kinoshita」であるとし、高市事務所関係者が「パー券の入金記録などを管理しているのは、地元の奈良事務所に籍を置く、事務所長の木下氏です」と証言している。
そこで「週刊文春」は木下秘書を直撃。しかし、木下氏は「はっ倒すぞコラァ」「うるさい! お前らと喋る必要ないやろ!」などと記者に罵声を浴びせてその場をあとにしたいう。
この「脱税関与」疑惑については3月19日、「パーティ券購入者に対し所得税の一部が軽減・還付される『寄付金控除』の書類を不正に発行した」としてジャーナリストら8人が高市首相と会計責任者である木下秘書を脱税をほう助した罪などで東京地検特捜部に刑事告発。今後の行方を注視する必要があるが、木下秘書をめぐっては、このほかにも不正関与の疑惑がある。それは政治資金規正法違反を隠すための「領収書偽造疑惑」だ。
高市事務所の「領収書偽造疑惑」発端は2022年、上脇博之・神戸学院大学教授が、高市氏と「自民党奈良県第2選挙区支部」の会計責任者で公設第一秘書の木下剛志氏を、政治資金規正法違反の疑いで奈良地検に告発したことだった。告発によれば、第2選挙区支部が開催した2019年・2021年の政治資金パーティをめぐり、高市氏の選挙区である奈良県山添村の「自民党山添村支部」は「パーティ券購入」として各22万円を支出したと報告。しかし、受領側である第2選挙区支部の収支報告書にはその記載がなかったのだ。
この件を「しんぶん赤旗 日曜版」が取材に動くと、第2選挙区支部側は「販売したパーティ券は20万円分と12万円分だ。先方が勘違いして22万円と記載した」と主張。
だが、高市氏は2023年1月の閣議後会見で、この報道に対して「まったく事実ではない」「『(領収書を)差し替えた』という件に強く抗議したい」「強く憤っている」と否定し、自身の旧Twitterアカウントでも〈報道で大迷惑をしています〉と主張。まるで誤報の被害者であるかのような態度を示したのである。
ところがこのあと、山添村支部の代表者や会計責任者から「訂正は全く知らなかった」「関与しておらず、誰が訂正したのかもわからない」という証言が相次いだばかりか、「しんぶん赤旗 日曜版」が山添村支部の訂正願の筆跡を鑑定した結果、第2選挙区支部の会計責任者である木下氏の筆跡と同一人物のものだと判定されたのである。
不記載がわかった時点で素直に謝罪と訂正をすればいいところを、不記載をごまかすため、まさか会計責任者でもない支部の収支報告書を勝手に虚偽の訂正をするとは──。こちらの問題は昨年9月に上脇教授が告発を奈良地検が不起訴としたことは不当だとして検察審査会に申し立てをおこなっている。
しかも、木下秘書の特徴は、不正が発覚しても開き直り、恫喝で封じ込めようとするところだ。2024年の総裁選では、高市陣営が全国の党員らに政策リーフレットを郵送するという“ルール違反”をおこなったにもかかわらず、わざわざ記者会見を開き、選管委員会に対応を求めた党執行部に対して「公平性に欠ける」「執行部が総裁選に口を挟むこと自体あり得ない」と逆ギレ猛批判したことでも知られている。
どうだろうか。ここまでの疑惑を振り返っただけでも、この人物の潔白を「信じる」なんてことができるはずがない。
にもかかわらず、高市首相がいまだ「秘書を信じる」と言い張るのは、先にも述べたように、その疑惑の多くに自身も関与している、あるいは把握しながらも黙認あるいは放置していたからとしか考えられない。
実際、今回のネガキャン動画の作成・拡散についても、秘書レベルでは終わらない新たな事実が出てきている。高市首相が「私は秘書を信じる」と答弁した翌日の12日、「週刊文春」は電子版の前打ち記事において、高市陣営で誹謗中傷動画の“SNS班の責任者”だったのは、今年4月に黄川田仁志こども政策担当大臣の補佐官に就任したばかりの西田譲・元衆院議員だということを報じたのだ。
来週の「週刊文春」にはその証拠とさらに決定的な新事実が掲載されるともいわれている。
いずれにしても、高市事務所や首相の最側近が自民党総裁選、国政選挙において対立候補の誹謗中傷動画の拡散を依頼していたという今回の問題は、金にあかせてデマを流し、公正な選挙を歪める行為が政権与党のなかでまかり通っていたことの証明であり、とても看過できるものではない。しかも、高市首相自身がこの不正行為に関与もしくは認識していたとすれば、首相辞任も免れないレベルの重大な問題となる。
実際、国会で高市首相に森議員がこの問題を問いただしたあと、国民のあいだでも疑問の声がこれまでになく噴出しており、SNS上では、高市首相の「私は秘書を信じる」という答弁がXのトレンド1位になった。今後は国会はもちろん、新聞・テレビも含め徹底した追及・調査が必要だろう。
だが、一方で気になるのは、この高市首相と高市事務所の民主主義を歪める不正の追及に水を差す動きが広がっていることだ。
SNSでは、「私は秘書を信じる」という弁明への批判が広がると同時に、前述したように「なぜ野党は週刊誌ネタの下らない質問で国会の時間を空費するのか」という週刊誌・野党攻撃が沸き起こり、Xのトレンドには「週刊誌ネタ」というワードも入った。
もちろん、この「週刊誌ネタ」というワードの入った投稿の多くは、高市応援団やネトウヨが高市首相のスキャンダル追及を封じ込める意図を持ったものがほとんどだ。
その典型が、安倍政権の御用記者でいまは高市首相ベッタリの産経新聞記者・阿比留瑠比氏だ
阿比留氏は、5月11日に〈週刊誌ネタでこういう質問ばかりして喜んでいるから、立憲民主党は呆れられ、嫌われる〉と、文春報道を追及した森議員を腐すポストをしているのだが、じつはこの阿比留氏、昨年の自民党総裁選前に、高市氏の対立候補だった小泉進次郎氏のステマ問題が同じ「週刊文春」で報じられ、進次郎氏がその非を認めると、そのあとに産経の記事をリポストするかたちで、こう投稿しているのだ。
〈こんな首相が欲しいですか?…小泉進次郎氏陣営が「ステマ要請」 文春報道の事実関係認める「ルール守る方針共有」〉
ようするに、自分が支持する政治家の政敵については平気で週刊誌の報道に乗っかって攻撃をしながら、自分がベッタリな政治家のスキャンダルは「週刊誌ネタ」だからといって矮小化をはかっているのだ。
その臆面のなさには呆れ果てるほかはないが、しかし、問題なのは、国会がこうした一部の高市応援団の主張に引きずられて、「週刊誌ネタは国会でやることじゃない」という空気になりつつあるということだ。
そもそも、新聞・テレビというマスメディアが政権批判にすっかり及び腰になってしまった安倍政権以降、政治家の不正を正しているのは、週刊誌と「しんぶん赤旗」だけという状況になっている。
実際、安倍政権時代の、小渕優子の公選法違反、甘利明経済再生相の口利き疑惑、河井克行夫妻の公選法違反、黒川弘務東京高検検事長の賭けマージャン問題などはすべて「週刊文春」がスクープしたものだし、官邸による性加害もみ消し圧力事件や岸田首相の息子の外遊観光などは「週刊新潮」、そして、自民党を根底から揺るがす大きな問題になった安倍派の裏金問題も火をつけたのは「しんぶん赤旗 日曜版」だった。
高市政権になってその傾向はもっと強まっており、「週刊文春」や「しんぶん赤旗 日曜版」が高市首相のパーティ券問題について具体的な証拠を突きつけても、「週刊文春」や「週刊現代」(講談社)がサナエトークンの問題について決定的な証言を報じても、新聞やテレビは一切後追いしていない。
ただでさえこうした状況が起きているにもかかわらず、自民党や政権応援団による「週刊誌のいい加減なネタ」「政党機関紙のためにする情報」などという矮小化の仕掛けに乗せられて、国会までが追及を放棄してしまったら、それこそ政治家の不正を問題にできる場所がなくなってしまう。そして、世論が不正追及への関心を失えば、ますます新聞やテレビは腰が引け、検察も動かなくなる。つまり不正も汚職もやりたい放題の“独裁”状態となってしまう。
先の衆院選後、SNS上に拡がった“批判への批判”に対し、作家の平野啓一郎氏は〈批判を嫌うという風潮は、政治にとっては、悪党の天下ですね。悪いことする政治家は、別に誰かを批判する必要もなく、批判される被害者ヅラが出来るわけですから〉と投稿していたが、まさにそのとおりだろう。
しかも、高市首相は嘘つきの多い自民党の中でも、指折りの嘘つき政治家だ。2023年、自身が総務相だった安倍政権下の放送法の解釈変更をめぐる総務省の内部文書が問題になった際、文書を「怪文書」「捏造だ」と全面否定したうえ、“捏造でなければ議員辞職する”と啖呵を切ったが、その後、総務省がこれを行政文書だと認めると、まったく知らんぷりを決め込むという厚顔ぶりを見せた。
おそらく今回も、「秘書を信じる」と言い張れば、なかったことにできると思っているのだろう。こんな「悪党の天下」を阻止するためにも、公正な選挙や民主主義を歪める不正疑惑を有耶無耶にするわけにはいかない。

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