辺野古転覆事故から半年

今年3月、沖縄県名護市の辺野古沖で船が転覆し、同志社国際高校の2年生だった武石知華さん(当時17)が死亡した事故から半年が立ちました。

第三者委員会の報告書で学校側のずさんな安全管理が浮き彫りになる中、武石さんの遺族は引率教員らを刑事告訴しました。

「社会の教訓になるために知華は生まれてきたわけではない」
「でも、絶対にむだにはさせないからねと伝えたい」

事故が二度と繰り返されぬよう、学校の安全管理のあり方を問い続けている遺族を取材しました。

「知華はもう何をやっても帰ってこない」

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(武石知華さんの母)「もう半年だねって。ともちゃん、ママ頑張って生きてるからねって、いつも伝えてます」

同志社国際高校の2年生だった武石知華さん(当時17)。

今年3月、修学旅行で訪れた沖縄で乗っていた船が転覆し、命を落としました。

(武石知華さんの姉)「人を笑わせるのが大好きで。本当にずっと何かおもしろいことを考えてるような子で」
(武石知華さんの父)「少しずつ前に進んでる部分はありますけど。なかなか思うように、物事が進んでいかないいらだちですとか。知華がもう何をやっても帰ってこないっていう、その残念な気持ちと。2つ抱えながら、ずっと過ごしてきた、そんな半年だった」

旅行中も頻繁に連絡を取りあっていた家族

【遺族の思い】辺野古沖転覆から半年「娘の死を無駄にはさせない」「声聞かせられなかった 一生後悔」学校の“安全管理” 問い続ける
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とても仲のよい家族。旅行中も頻繁に連絡を取りあっていました。

(武石知華さんの姉)「『楽しんでるよ』『ガマ(戦時中に使われた洞窟)はきょうだったけど入れなかった』って」
(武石知華さんの母)「『こわかったの?』『こわかったわけじゃないんだ』って」

直前の映像にはピースサインをする知華さんの姿

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事故当日、知華さんが参加したのは「辺野古をボートで海から見るコース」。

乗ることになる船は、米軍基地移設に反対するいわゆる“抗議船”でしたが、家族は事前にそのことを知らされていませんでした。

(武石知華さんの母)「学校の説明会にも、しおりにもなかったですし、サンゴが広がる浅瀬にしか行かないって思い込んでしまっていて」

船に乗り込む直前に撮影された映像には、ピースサインをする知華さんの姿が。

引率教員は、体調不良などを理由に船に同乗しないまま、生徒18人が2隻に分かれ出航しました。

船に乗っていた生徒「本当に大丈夫なん、これ?」

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船に乗っていた生徒は、事故の後、武石さんの家族にそのときの心境をこう話したといいます。

(武石知華さんの姉)「(生徒によると)先生が見える範囲内でしか周遊しないと思ってたのが思ってたより遠くに離れていって、先生が見えなくなってしまって『本当に大丈夫なん、これ?』って思ったって」
(武石知華さんの母)「不安だったよね、きっとね」

この日、名護市には「波浪注意報」が出されていました。

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出航から約50分たった午前10時10分ごろ、大きな波にあおられ知華さんが乗っていない方の船が転覆。

そばには、海に投げ出された生徒とみられる人の姿も…。その2分後、知華さんが乗った船も転覆しました。

「水中では暗闇のなか、洗濯機でぐるぐる回されているよう」

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船に乗っていた別の生徒がJNNの取材に対し、当時の状況を語りました。

(船に乗っていた生徒)「水中では暗闇のなか、洗濯機でぐるぐる回されているような感じでした。自分がどこにいるのかどっちが上なのかも分からず、ただもがきました。遠くから大きな波が見え、どんどん近づいてくるたび、もう助からないかもしれない、次こそは死んでしまうと思いました」

病院に搬送された知華さん 家族は同級生の保護者からのLINEで知る

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転覆から約1時間後、知華さんは救助されましたが、搬送先の病院で死亡が確認されました。

(武石知華さんの姉)「まあひどい傷で。『痛かったね、怖かったね』って。表情はすごくこたつで寝ている知華そのもので。悪い夢なら早く覚めてくれないかなって」
(武石知華さんの母)「何度も思いました」

知華さんが病院に搬送されたことを家族が知ったのは、同級生の保護者からのLINEメッセージでした。

それまで学校からの連絡はなかったといいます。

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(武石知華さんの母)「救急車に乗っても私に連絡がなかったんです。

耳は最後まで聞こえるって聞いているので、本当に最後に死亡となる前に私の声を聞かせてあげられなかったことが、多分私は一生後悔すると思う」

「生徒が亡くなったとしても、学校は刑事責任を問われない」

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悲しみを抱えながら家族はこの半年、闘い続けてきました。

7月には、安全管理の責任を問い、校長や引率教員らを刑事告訴しました。

(武石知華さんの父)「学校側は大まかな計画だけを作り、あとはどれほど危険な相手に生徒を預けて、事故が起き、生徒が亡くなったとしても、学校は刑事責任を問われない。知華の事故をそんな前例にするわけにはいきません」

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事故から約4か月後、学校側が設置した第三者委員会の調査報告書が公表されました。「安全配慮義務違反」や「他人任せにする組織風土」などを厳しく指摘する内容でした。

辺野古ボートコースから「変更」を希望していた知華さん

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そのなかで、家族は初めて“ある事実”を知ります。知華さんは、辺野古ボートコースからの「変更」を希望していたのです。

調査報告書によりますと、コース選択後、一部の生徒が「きれいな海が見たい」と話すなど、コースの本来の趣旨が伝わっていないことに教員が気づき、変更を受け付けることになりました。

知華さんも変更を申し出ましたが、希望者が多く抽選にはずれてしまっていたというのです。

(武石知華さんの母)「『変更希望を出したけど通らなかった』っていう話を聞いていれば、もしかしたら私が学校に言って『変えてください』とかできたんじゃないかって、私は自分を責めてしまって」

在校生の保護者は学校に不信感

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学校側は8月、保護者説明会を開催し、一連の対応について謝罪。今年度の沖縄への修学旅行を中止とし、別の行先を検討すると発表しました。

しかし、在校生の保護者は、半年たった今もなぜ事故が起こったのかなどについて、はっきりとした説明を受けていないと話し、学校側に不信感を募らせます。

(保護者)「今の対応だとどうしても『何かを隠しているのではないか』『誰かに忖度して対応しているのではないか』という感じがしてしまう」

修学旅行に関わった教員が事故で亡くなる

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また、説明会では修学旅行に関わった教員1人が事故で亡くなったことも明らかにされました。

捜査関係者によりますと、当時の状況などから自ら命を絶ったとみられています。

亡くなった教員は“辺野古コース”を引率していた教員ではありませんが、事故の後、知華さんの家族に手紙を渡していたといいます。

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(武石知華さんの母)「『素晴らしい人柄の知華さんを絶対に、絶対に忘れません』と書いてくださっていて」
(武石知華さんの姉)「すごく芯のある厳しさの中に優しさがあるような先生で。

お葬式のときに来てくださって、すごくすごく深く頭を下げて帰っていかれたんですけど。『先生やめてって。ともちゃんが悲しむよ』って(声をかけた)」
(武石知華さんの母)「学校として教職員一人一人もケアしてほしい。これ以上の犠牲者は出してほしくない

「社会の教訓になるために知華は生まれてきたわけではない」けれど…

【遺族の思い】辺野古沖転覆から半年「娘の死を無駄にはさせない」「声聞かせられなかった 一生後悔」学校の“安全管理” 問い続ける
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毎朝、知華さんが眠るこの場所を訪れています。

(武石知華さんの母)「知華の遺骨があるところを手を当てて帰るんですけど。自分のために来てる感じですかね。ママが生きてる間は、ともちゃんのお墓は一番かわいいからねって」

同じような思いをする人が二度と出ないよう、家族は学校の安全管理のあり方を問い続けていくと話します。

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(武石知華さんの父)「社会の教訓になるために、知華は生まれてきたわけではないですし、そんなことで命を失ってほしくはなかったですけど、でも絶対にむだにはさせないからねというのは本当に伝えたい」

学校側がJNNの取材にコメント

一方、武石さんが通っていた同志社国際高校および高校を運営する学校法人同志社側が、JNNの取材に対しコメントで回答しました。

ーー研修旅行中の事故から半年が経過した今日の受け止めと今後の対応について

「本法人の設置校である同志社国際高等学校の沖縄研修旅行において2026年3月16日に発生した事故により亡くなられた生徒に対し、改めて深い哀悼の意を表するとともに、ご遺族及び負傷された生徒並びにそのご家族をはじめ、関係する皆様に心よりお詫び申し上げます。また、事故から半年が経過いたしましたが、生徒の皆様の平穏な学校生活を取り戻すことができていないことについて、本法人の対応が十分でないことをお詫びいたします。まずは、ご遺族や生徒、保護者の皆様への説明を尽くし、安全管理に関する再発防止策を早期に進めることで、生徒の皆様が元の学校生活を取り戻すことができるよう努めてまいります。また、教育の中立性及び適切性につきましては、外部専門家による検討委員会の設置を急ぎ、同委員会の検討結果を踏まえて改善を図ってまいりたいと考えております」

ーー辛い思いをされている生徒や教員への心のケアについて

「事故から半年が経過した現在も、心身に負担を抱えておられる方がいらっしゃることは、本校としても認識しております。心のケアは極めて重要な課題であると考えており、スクールカウンセラーによる相談体制を強化するなど、生徒・教職員が安心して相談できる環境づくりに引き続き努めてまいります」

ーー謝罪を実施する予定について

「今後の対応の詳細につきましては、恐れ入りますが、回答を差し控えさせていただきますが、引き続き誠実に対応してまいる所存です」

ーー説明の場を設けないことへの不満や、記者会見の予定について

「この度の事故の背景については、安全管理と教育の適切性の問題点の両方を明らかにすることでその全容を解明できると考えており、記者会見での説明は、教育の適切性に関する新たな検討委員会の検討結果がまとまり次第、おこないたいと考えております」

(2026年9月16日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」内『特集』より)

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