歳を重ねるとともに医院やクリニックなどの医療機関に行く回数はどうしても増えていきます。
また、いくつもの科に通われている方も少なくありません。
そこで今回は、認知症の方の服薬管理についてどのような問題が起きやすいのか、またそれに対して介護者はどうすれば良いかを中心にお話します。
かかりつけ薬局は服薬管理の強い味方
まず、どの薬をいつ服用すれば良いのかわからなくなることが考えられます。それを解決する一つの手段が「減らすこと」です。
通っている医療機関が複数に及ぶ場合、処方された薬が本当に必要なのかを見直してください。状態が変わっているのに、ただ漫然と同じ薬を飲み続けていないかが大きなポイントで、できる限り種類と数を減らすことが大切です。
また、可能であれば、通う医療機関を減らすことも検討しましょう。理想は1つの病院やクリニックにかかること。薬をもらうだけに通っている病院があれば、その薬の名前を控えておき、1つの医療機関で出してもらうと良いでしょう。
仮にこれらを減らすことが難しい場合であっても、処方してもらう薬局を1つにすることが大事です。
便利だからとの理由で、医療機関の近くの薬局でもらっていると、何冊ものお薬手帳を所持することになり、また行くたびに手帳を忘れて再発行してもらうといった悪循環になりもなりかねません。
私は、こうした悪循環によって悩んでいる方を何人も見てきました。
大きなメリットは、それぞれの医療機関で出された薬をまとめて見てもらえるので、飲み合わせなどの観点から問題となる薬を発見し、結果的に種類や数を減らしたり、飲む回数を減らすことにつながります。
各医療機関で、現在服用している薬を確認されることはありますが、正確に種類と数を答えられる方は少ないと思います。一方、かかりつけ薬局であれば、専門家の立場で薬を管理してくれます。
薬に関して疑問や不明点があったとき、薬剤師から医師に話を通してもらえるので、服薬管理の強い味方だと言えます。
介護サービスを受けている途中で服用する
かかりつけ薬局では、本当に必要な薬を食前や食後など飲む時期に合わせて1つの袋に入れる「一包化(いっぽうか)」してもらうことができます。それによって、誤薬リスクを大きく下げることができます。

ただ、いくら一包化しても、認知症の方は服用すること自体を忘れてしまう可能性があります。それを防ぐためにできることとして、服用時間の前後に声をかけることです。
服用前であれば「飲むのを忘れないで」、飲んだ後であれば飲んだかの確認をして服用を促すと良いでしょう。
また、介護サービスの時間帯を利用することも有効です。
時間が合わないようであれば、飲む時間を多少前後させて良いか医師または薬剤師に確認して、同じくサービス中に飲んでもらうことも検討してみてください。
高齢になると、薬の問題は切り離すことができません。必要最低限の薬を正しく飲むことができるよう、問題になり得ることをできる限り少なくすることが大切です。