MMF(マネー・マネジメント・ファンド)とは、公社債などを投資の対象とした投資信託を指します。購入する際は、元本保証の商品ではない点に注意が必要です。
MMFは2016年2月以降、長らく販売受付中止の状態が続いていましたが、2026年より一部の金融機関で販売が再開される見通しです。そこで、自分のポートフォリオに組み入れるべきか判断できるように、MMFの概要を理解しておくとよいでしょう。
本記事では、MMFを購入するメリットやデメリット、MMFとMRFの違いなどについて、わかりやすく解説します。
MMF(マネー・マネジメント・ファンド)とは
MMFとは、株式を組み入れずに公社債などを投資対象とする投資信託のことです。マネー・マネジメント・ファンド(Money Management Fund)に由来します。
MMFの一般的な仕組みは、以下の通りです。
1. 取扱金融機関に申し込み、1口以上1円単位で購入する(取扱金融機関によって、手数料がかかる場合あり)
2. 解約する場合は、取扱金融機関で手続きする(取得日から一定日数を経ていない場合は、入金時に信託財産留保額が引かれる)
ここから、MMFの具体的な投資対象や、販売が再開された経緯について解説します。
MMFの具体的な投資対象
MMFの主な投資対象は、以下の通りです。
・国債
・地方債
・社債
・譲渡性預金
・コマーシャルペーパー(CP)
国債は税収の不足を補うために国が発行する債券、地方債は地方公共団体が発行する債券のことです。国債と地方債をまとめて「公共債」と呼びます。
社債とは、資金を調達するために民間企業が発行する債券のことです。設備投資やM&Aなどの場面で企業が社債を発行することがあります。
譲渡性預金とは、第三者に譲渡できる無記名の定期預金証書のことです。CD「Certificate of Deposit」やNCD「Negotiable Certificate of Deposit」と呼ばれることもあります。
コマーシャルペーパーとは、資金を調達するために企業が発行する無担保の約束手形です。一般的に、償還期間が1年未満である点が社債と異なります。
なお、一般的にMMFは円建ての商品を指す言葉です。ただし、海外の公社債などに投資するケースはあります。
MMF販売再開の経緯
2016年2月より、各金融機関がMMFの保有者に対して償還金を返還(期日前償還)したり、新規受付の中止を発表したりするケースが続いていました。
2016年1月29日の金融政策決定会合で、日本銀行がマイナス金利政策の導入を決めたことが期日前償還の主な原因です。マイナス金利が導入されると短期国債利回りのマイナス幅が拡大するため、公社債を主な投資対象とするMMFの運用は難しくなります。
しかし、2024年3月19日の金融政策決定会合で日本銀行がマイナス金利政策の解除を決定して以降、政策金利は再び上昇傾向にあります。そのため、一部の金融機関が2026年よりMMFの取扱を再開する見込みです。
MMFと混同しやすい用語
以下は、MMFと混同しやすい商品です。
・MRF
・外貨建てMMF
・投資信託
ここで、各用語とMMFの違いを押さえておきましょう。
MRFとの違いとは
MMFとMRF(マネー・リザーブ・ファンド)の主な違いとして、運用の方法が挙げられます。
MRFも、公社債などを投資の対象とする投資信託のことです。ただし、MRFは取扱金融機関の口座に入金することで自動的に買い付け運用されるのに対し、MMFの運用を始めるには別途申込が必要とされる点が異なります。
また、MRFは換金しても信託財産留保額が発生しないのに対し、MMFは購入から30日未満で換金した場合は信託財産留保額がかかる点も違いです。
外貨建てMMFとの違いとは
MMFと外貨建てMMFの違いとして、どの通貨で運用しているかが挙げられます。
外貨建てMMFも、公社債などを対象にした投資信託のことです。ただし、MMFは基本的に円建ての公社債などを対象にするのに対し、外貨建てMMFは米ドルなど外貨建ての公社債を対象にしている点が異なります。そのため、日本国内のマイナス金利を理由にMMFの取扱いが中止されている時期も、外貨建てMMFについては引き続き販売している金融機関がありました。
また、外貨建てMMFは海外の高金利債券に投資することで、相対的に高利回りになる可能性がある点も特徴です。一方で、為替変動によるリスクがある点や、通貨を発行する国特有のカントリーリスクが存在する点などにも注意しなければなりません。
なお、外貨建てMMFの「MMF」については、「マネー・マネジメント・ファンド」ではなく「マネー・マーケット・ファンド」の略語とされることもあります。
投資信託との違いとは
そもそも、MMFも投資信託の一種です。ただし、投資信託の中には株式を投資対象とするものもあるのに対し、MMFは株式を組み込めません。安定性を重視している点が、MMFが株式を投資対象外とする主な理由です。
また、購入可能な単位も違いとして挙げられます。MMFは基本的に1口1円単位からの購入が可能です。
MMFを購入するメリット
MMFを購入する主なメリットは、以下の通りです。
・複利効果を期待できる
・スムーズに現金化できる
ここから、各メリットについて解説します。
複利効果を期待できる
複利効果を期待できる点が、MMFを購入するメリットとして挙げられます。複利効果とは、運用で得た利益を再度投資にまわすことにより、利益がさらに利益を生み出す可能性があることを示した言葉です。
MMFでは、運用収益が毎日計算されて、月末にまとめて再投資されます。そのため、毎月複利効果を期待できるでしょう。
なお、銀行の普通預金の場合、半年ごとに利息が入金されることが一般的です。ただし、一部ネット銀行などで毎月入金するケースもあります。
スムーズに現金化できる
スムーズに現金化できることも、MMFを購入するメリットとして挙げられます。
MMFは、換金を申し込むと翌営業日には現金化されることが一般的です。それに対して、一般的な投資信託は換金を申し込んでから現金を受け取るまでに原則として4営業日以上がかかります。
また、MMFは基本的に1円単位で解約できる点も、現金化しやすい理由です。一方、一般的な投資信託の場合は、金融機関によって解約にも最低解約金額が定められていることがあります。
MMFを購入するデメリット
MMFを購入するデメリットは、以下の通りです。
・元本は保証されていない
・コストがかかる
それぞれ解説します。
元本は保証されていない
元本保証の商品ではない点が、MMFを購入するデメリットとして挙げられます。
MMFは、短期の公社債やCPなどで運用することによって、元本の安定性を重視するように設計された商品です。しかし、あくまで投資商品の一種のため、様々な要因で元本割れすることはあります。
解約時に、元本が大幅に減っていることも起こりうるため、余裕資金で始めることが大切です。
コストがかかる
コストがかかる点も、MMFを購入するデメリットです。
MMFを運用している間、信託元本に対して一定の割合をかけて計算した信託報酬や管理手数料などが引かれます。また、取得後30日未満の換金については、信託財産留保額がかかる点にも注意しなければなりません。
なお、一般的な投資信託を運用する場合も信託報酬や管理手数料などがかかることが原則です。
MMFとは公社債などを対象とする投資信託
MMFとは、主に公社債などを投資の対象とする投資信託を指します。日本銀行の低金利政策をきっかけに各金融機関が取り扱いを停止していましたが、2026年より一部の金融機関が販売を再開する見込みです。
MMFとMRFの主な違いとして、運用の仕方が挙げられます。MRFは金融機関が指定する口座に入金することで運用が開始されるのに対し、MMFは運用にあたって都度購入を申し込まなければなりません。
また、MMFを購入するメリットとして、複利効果を期待できることやスムーズに現金化できることが挙げられます。一方で、元本保証の商品ではないこと、コストがかかることには注意しなければなりません。
投資を検討している方は、各商品の仕組みやリスクを十分に理解しておきましょう。
ライター:Editor HB
監修者:高橋 尚
監修者の経歴:
都市銀行に約30年間勤務。後半15年間は、課長以上のマネジメント職として、法人営業推進、支店運営、内部管理等を経験。個人向けの投資信託、各種保険商品や、法人向けのデリバティブ商品等の金融商品関連業務の経験も長い。2012年3月ファイナンシャルプランナー1級取得。2016年2月日商簿記2級取得。現在は公益社団法人管理職。

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