民法とは?基本的な内容や2026年の改正内容をわかりやすく解...の画像はこちら >>


民法とは、財産や家族に関する権利や義務などを定めた法律です。具体的には、総則・物権・債権・親族・相続についての規定があります。



2026年4月施行の民法等改正では、父母の離婚後の子の養育に関するルールが見直されました。家族のことを守るためにも、民法の基本的な内容や法改正について理解しておくことが大切です。

本記事では、民法とは何かを説明したうえで、記載されている内容や2026年4月施行の民法等改正で新たに設けられた共同親権の考え方などについて解説します。

民法とは

民法とは、私人(※)間における権利義務関係を規律する「私法」の基本となる法律を指します。特に、財産や家族に関する権利や義務などを定めている点が民法の特徴です。

民法には、基本となる原則がいくつか存在します。主な原則は、以下の通りです。

・権利能力平等の原則
・私的自治の原則
・所有権絶対の原則

権利能力とは、権利や義務の主体となる資格のことです。権利能力平等の原則とは、性別や地位などによらず、人は誰でも平等に権利を有することを指します。

私的自治の原則とは、当事者が自由な意思に基づいて法律関係を定められることです。ただし、法令が契約内容に優先する強行規定が設けられていることもあります。

所有権絶対の原則とは、一部の例外(公共の福祉など)を除き、所有者が自由に所有物を使用・処分できることです。

※私人:国や行政機関以外の個人・団体

民法の基本的な内容とは

民法は、全5編・1050条で構成されています(2026年4月1日時点)。各編に記載されている内容は、以下の通りです。



・第1編:総則(第1条~第174条)
・第2編:物権(第175条~第398条の22)
・第3編:債権(第399条~第724条の2)
・第4編:親族(第725条~第881条)
・第5編:相続(第882条~第1050条)

それぞれに記載されている内容について、解説します。

総則(権利能力・意思能力・時効など)

第1編の総則は、民法全体について共通する規定を定めた箇所です。以下の内容について、記載されています。

・通則
・人(権利能力や意思能力・行為能力など)
・法人
・物
・法律行為
・期間の計算
・時効

例えば、民法第3条第1項には、人は出生により権利能力を取得することが記されています。また、民法第3条の2は、意思能力について規定した条文です。当事者が意思表示をしたときに意思能力がない場合は、法律行為が無効となることが定められています。

時効とは、一定の期間が経過することで、ある権利を取得したり(取得時効)、消滅したり(消滅時効)する制度のことです。民法第144条から第174条には、「いつから時効の効力が発生するか」「どのような場合に時効の制度を利用できるか」「どのような場合に時効によって権利が消滅するか」などが記載されています。

物権(占有権・所有権・抵当権など)

第2編の物権は、主に、物に対する権利を定めた箇所です。以下の内容について記載されています。

・総則
・占有権
・所有権
・地上権
・永小作権
・地役権
・留置権
・先取特権
・質権
・抵当権

占有権とは、自己のためにする意思を持って所持することで取得する権利のことです(民法第180条)。一方、所有権は法令の制限内であれば、自由に所有物を使用したり処分したりできる権利を指します(民法第206条)

また、抵当権は債務者や第三者が占有を移転せずに債務の担保に供した不動産について、他の債権者より先に債権の弁済を受けられる権利のことです(民法第369条)。

債権(契約・不当利得・不法行為など)

第3編の債権は、特定の人に対して行為の実行を要求する権利などを定めている箇所です。以下のような内容について、定められています。

・総則
・契約
・事務管理
・不当利得
・不法行為

例えば、民法第521条第1項は、法令に特別の定めがある場合を除いて、契約をするか自由に決められることを規定した条文です。



1896年に民法が制定されて以降、債権関係の規定は約120年間ほとんど改正されていませんでした。しかし、社会・経済の変化への対応を図ることや、民法を国民にとってわかりやすいものとすることなどを目的に、2020年4月より債権に関する部分が改正されています。

親族(婚姻・親権・扶養など)

第4編の親族は、親族に関するルールを定めている箇所です。主に、以下の内容について規定されています。

・総則
・婚姻
・親子
・親権
・後見
・保佐及び補助

例えば、民法第731条では18歳にならないと婚姻できないこと、民法第732条では配偶者のある人は重ねて婚姻できないことが定められています。また、民法第877条第1項は、直系血族や兄弟姉妹は互いに扶養する義務があることを規定した条文です。

相続(相続人・遺産分割・遺言など)

第5編の相続は、相続に関するルールを定めている箇所です。以下の内容が規定されています。

・総則
・相続人
・相続の効力(相続分・遺産分割など)
・相続の承認及び放棄
・財産分離
・相続人の不存在
・遺言
・配偶者の居住の権利
・遺留分
・特別の寄与

例えば、民法第887条第1項には、被相続人の子は相続人になることが定められています。また、民法第900条は、同順位の相続人が複数いるときにどのように相続分を決めるのかを記した条文です。

なお、2024年4月1日に民法や不動産登記法等が改正されたことに伴い、相続などにより不動産を取得した相続人は必ず相続登記しなければならなくなりました。

2026年4月1日における民法等の変更内容

2026年4月1日施行の民法等改正で、父母の離婚後の子の養育に関するルールが変わりました。主な変更点は、以下の通りです。

・子どもを養育する親の責務
・離婚後の親権
・養育費の請求方法
・安心・安全な親子交流
・財産分与
・養子縁組

それぞれの内容を解説します。

子どもを養育する親の責務

改正に伴い、父母(※)に対して子どもを育てる責任や義務が明確化されました。

まず、父母は子どもの意見に耳を傾けて、人格を尊重する必要があります。

また、子どもが親と同じくらいの生活を送れるような水準で、子どもを養わなければなりません。

さらに、父母間でお互いを尊重して協力し合う義務についても、規定されています。

※親権や婚姻関係の有無は関係ない

離婚後の親権

離婚後の親権について見直しがある点も、2026年4月1日施行の民法等改正の特徴です。

従来の民法では、父母のどちらか一方を親権者とすることと定められていました。今回の改正に伴い、今後は父母2人とも親権を持つ「共同親権」か、1人だけが親権を持つ「単独親権」かを選択可能です。

協議離婚の場合、父母が協議でどちらにするかを選びます。一方、裁判離婚などの場合は、家庭裁判所が様々な事情を考慮したうえで判断します。

養育費の請求方法

今回の改正で、養育費の請求方法の見直しもあります。

これまで、取り決めに従わずに養育費を支払わない相手の財産を差し押さえるには、公正証書・調停調書・審判書のような「債務名義」が必要でした。改正に伴い、「債務名義」なしに養育費の取り決めにあたって作成した文書に基づいて、差し押さえの手続きをできるようになります。

また、離婚時に養育費の取り決めをしていなくても、子どもと暮らす親が他方の親に対して子ども1人あたり月額2万円の養育費(法定養育費)を請求できるようになりました。ただし、法定養育費は、あくまで養育費を決めるまでの暫定的な制度です。

安心・安全な親子交流

2026年4月1日施行の民法等改正で、家庭裁判所の手続き中に、親子の交流を試行的に実施することに関する制度が設けられました。家庭裁判所は、調停・審判で子どもの利益を最優先に考慮して親子交流を定めます。

また、婚姻中別居の場合の親子交流や、父母以外の親族と子どもの交流に関するルールが明確化された点も、今回の改正の特徴です。



財産分与

今回の改正に伴い、財産分与に関する見直しもあります。財産分与とは、婚姻中に夫婦が築いた財産を分け合うことです。

これまで、離婚してから2年間しか財産分与に関する請求をできませんでした。改正に伴い、離婚後5年間は請求できるようになります。

また、財産分与にあたってどのような事情を考慮すべきかを示した点も、2026年4月1日施行の民法等改正の特徴です。

養子縁組

2026年4月1日施行の民法等改正では、未成年者が養子となった場合に養親が親権者となり、実親は親権を持たなくなる点が整理されました。離婚時に共同親権を選択している場合であっても、その後に一方の親が再婚相手との養子縁組を行ったときは、もう一方の親は親権を失います。

さらに、養子縁組の手続きにおいて父母の意思が一致しないケースに対応するため、家庭裁判所が関与して調整を図る仕組みが新設されました。家庭裁判所は、子どもの利益を踏まえて必要と認めるときには、父母のいずれか一方を養子縁組に関する親権行使者(※)として指定できます。

※親権行使者:単独で養子縁組の手続きを行うことができる者

民法とは私法の基本となる法律

民法とは、財産や家族に関する権利や義務などについて定めた法律のことです。権利義務関係を規定する、「私法」の基本となる法律とされています。

2026年4月1日施行の民法等改正では、父母の離婚後の子の養育に関するルールが変わりました。離婚後に共同親権を選択するか、単独親権を選択するか決められるようになったことが主な変更点です。

子どもの利益を確保するためにも、改正後の内容について押さえておきましょう。



参考:法務省「民法等の一部を改正する法律(父母の離婚後等の子の養育に関する見直し)について〔令和8年4月1日施行〕」
参考:e-GOV 法令検索「民法」
参考:こども家庭庁「民法等改正について」

ライター:Editor HB
監修者:高橋 尚
監修者の経歴:
都市銀行に約30年間勤務。後半15年間は、課長以上のマネジメント職として、法人営業推進、支店運営、内部管理等を経験。個人向けの投資信託、各種保険商品や、法人向けのデリバティブ商品等の金融商品関連業務の経験も長い。2012年3月ファイナンシャルプランナー1級取得。2016年2月日商簿記2級取得。現在は公益社団法人管理職。

編集部おすすめ