Motorcycle Update▶︎バイクのある人生は素敵だ。お気に入りの一台に跨って、家を出るワクワク感。
時を忘れてカスタムに興じる悦び。バイクを楽しむ大人たちをピックアップ!
■増田美照さん(52歳)

父親から受け継いだホンダ・XR250ほか5台を愛する男の夫婦...の画像はこちら >>



マスダヨシテル。武蔵野市役所に勤める公務員で、所有するオフロードバイク5台(!)+50ccカブとともに、夫婦ふたりで東京近郊在住。

中・高・大学までラグビー三昧だった生粋のラガーマンだが、バイク好きの奥さまとともに、「バイクに今もっとも時間とお金を費やしている」という、いわゆる“ハマっちゃった”人。

■ホンダ・XR250(1998年モデル)

父親から受け継いだホンダ・XR250ほか5台を愛する男の夫婦バイク道



前作のXLR250R(MD22)からモデルチェンジを受け、フレームや足回りが一新されたのが、このMD30型XR250。

世界各地の過酷なラリーレイドやエンデューロレースで戦うために生まれた、競技専用レーサー“XR”の基本性能を元に、足場の悪い不整地などでもエンジン始動を容易にするセルフスターター、ラリーやエンデューロに加えてツーリングでも使い勝手の良い多機能デジタルメーターを装備。


日常のオンロード走行から本格的なオフロード走行まで、一段と快適な走りを楽しめる公道走行用バイクとして開発された。

父親から受け継いだホンダ・XR250ほか5台を愛する男の夫婦バイク道

「親父が大事にしていたバイクだから、そのまま使います」と、父親の付けた旧式のディスクガードは今も使っているという増田さん。



親父の影響でバイクに乗るようになった


「小学1年生くらいのときから、親父の出るオフロードレースに一緒に行ったり、バイクに乗る親父の股の間に座らされて、街中や山の中をバイクで走ったりもしていましたね」。

父親から受け継いだホンダ・XR250ほか5台を愛する男の夫婦バイク道



小学3年生になったある日、父親から「お前も乗りたいか?」と言われてスズキ・ハスラー50を買ってもらったのが自分の初バイクという増田さん。

免許の持てない小学生ながら、オフロードを走っていたのだとか。

父親から受け継いだホンダ・XR250ほか5台を愛する男の夫婦バイク道



そんなバイクライフが小学5、6年生まで続き、中学に入ると今度はラグビーにハマる。

そこからはバイクからほぼ離れ、大学までラグビー三昧の日々。


大学を卒業すると「ラグビー部のキャプテンはあそこの会社」とほぼ決められていた会社に就職。「始発で出社し、夜中近くまで仕事していました」と言うほど忙しい毎日を送る。

父親から受け継いだホンダ・XR250ほか5台を愛する男の夫婦バイク道



忙しすぎる会社員生活が3年ほど続いたある日、父親の勧めで試験を受け、晴れて父親と同じ公務員へ転職。

「その就職先の同期にモトクロスをやってるヤツがいて、親父のXR250でその友達と河川敷を走ったりレースに出たりしていました」。

父親から受け継いだホンダ・XR250ほか5台を愛する男の夫婦バイク道

多くのオフロードバイク乗りと同様、基本的なメンテナンスは自分で。レースをするようになってからタイヤ交換の頻度が増え、時間も短縮できるように。



新たにバイクに乗り始める友人もいたりと、バイクで盛り上がっていた20代後半。ところが30代になると、周りは結婚したり子供が産まれたりして、徐々にバイクから離れていった。

そんな仲間に呼応するように、増田さんもバイクから離れ、20数年が過ぎてゆく。
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再燃したバイク熱が一度は冷めたものの……


「2014年、岩手県の陸前高田に災害派遣で2年ほど赴任することになりました。そのとき、ほぼ不動車になっていたあのXR250も持って行ったんです」。

父親から受け継いだホンダ・XR250ほか5台を愛する男の夫婦バイク道



すっかり不動車になっていたXR250は、バイクショップに持ち込まれて無事復活。休みの日には林道ツーリングを楽しむようになっていた。


だが、東京出身で方言を話さない増田さんは“ツーリングで遠方から来ている人”と思われたのか、林道で出会ったバイク乗りに声をかけても仲間が増えなかったそう。

父親から受け継いだホンダ・XR250ほか5台を愛する男の夫婦バイク道



「でも、赴任先から全日本モトクロスが開催される『スポーツランドSUGO(宮城県)』や『藤沢スポーツランド(岩手県)』までが近かったんです。そこで東京に住む妻を呼んで一緒にモトクロス観戦に行ったりして、バイクライフを満喫していましたね」。

その頃、実は奥さまの美由紀さんも、以前から趣味だったロードバイク(自転車)に乗り、サイクリングコースのある河川敷から見えるモトクロスを見て「楽しそうだな」と思っていたとか。そんなシンクロもあって、モトクロス観戦はすんなりと夫婦共通の楽しみになっていった。

そして2016年、任期を終えた増田さんは現在も住む東京の我が家に帰ってくる。


父親から受け継いだホンダ・XR250ほか5台を愛する男の夫婦バイク道



「東京に帰ってからも、モトクロス観戦は続けていました。ある日、埼玉県で行われた全日本モトクロス観戦の帰りに『妻用に』と見に行ったバイク屋で、ホンダ・XR230を見つけまして、即決で買ってしまいましたね」。

20代で中型免許を取ってすでにバイクに乗っていたという美由紀さんはXR230、増田さんは父親から譲り受けたXR250に乗るようになり、ふたりの趣味は“見る”から “する”に変わっていく。

父親から受け継いだホンダ・XR250ほか5台を愛する男の夫婦バイク道



「それからはいろんな所に夫婦でツーリングに行きましたね。妻のバイクを買ったショップの人も非常に気さくで、オフロード話はすごく盛り上がるし、ツーリング仲間も増えて、休日がとても楽しいものになりました」。
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バイクを介して、どんどん新しい仲間が増えていった

しばらくして、バイクショップでふと『レースにも出てみたい』という話に。
そこで紹介してもらった人との出会いをきっかけに、次々と仲間が増えていった。

父親から受け継いだホンダ・XR250ほか5台を愛する男の夫婦バイク道

「バイク保管時にはタイヤを接地させないほうがいい」とバイク仲間から聞き、バイクスタンドは5個(!)も所有。


「仲良くなったご夫婦に、レース参戦していた方がいたんです。で、奥さんがレース、旦那さんがそのサポートをしているのを見た妻が『あの奥さんもやっているなら、私もレースに出る!』と言い出して。

それで、私がレースで乗っていたKTM・150EXCをレース用バイクとして妻に譲りました」。

父親から受け継いだホンダ・XR250ほか5台を愛する男の夫婦バイク道



今や増田さんが休日出勤のときでさえ、美由紀さんはひとりでレース用バイクを車に積み込み、オフロードレースに行くほどハマっている。

「では、増田さん夫婦の趣味はバイクですね」と言うと、「いえ、いちばんはラグビーです!」と、かつてはバリバリのラガーマンで鳴らした増田さん。

でも、そんな様子を見た美由紀さんの含みのありそうな笑顔と増田さんのニヤケ顔を見ると、本当はふたりとも、バイクライフをとことん楽しんでいることが容易に想像できる。

父親から受け継いだホンダ・XR250ほか5台を愛する男の夫婦バイク道

足元は安全性重視でオフロード用ブーツだが、ほかはカジュアルなツーリングスタイル。


“仲のいい夫婦で共通の趣味を楽しむ”という姿は、世の既婚男性の多くが憧れるひとつのカタチだろう。

それを地で行く増田さん夫妻を見て、なんだかとても羨ましく(妬ましく?)なってしまった。