サーフィンのルーツは古代ポリネシアにあり、当時の人たちは木の板で波に乗る単純な遊びを楽しんでいた。
その単純さが示すように、サーフィンに必要なのは究極的にはサーフボードだけ。
「よく見られるようになったのは1980年代に入ってから。国際的なプロツアーが本格的に始まり、サーフィンが世界的なブームになっていく過程で、サーフギアを手掛けるブランドがTシャツも作っていきました。
根底にあったのは、海から上がってもサーフ気分でいたい、海を感じていたいという気持ち。海の気持ち良さ、波に乗る楽しさ、また大波に挑むスリルといったサーファーだから理解できるフィーリングを表現したものが多かったと思います」。
そう語るのは東京・世田谷にあるサーフショップ、ブラインのストアマネージャー、吉岡雅晴さん。
海の外ではデニムにネルシャツや無地のTシャツを合わせるなど各自が思い思いの格好をしており、そこに“サーファーらしさ”は特別なかったのだ。
「’90年代にサーフィンが本格的に商業化されて、サーファーによるアパレルブランドも増えました。今ではサーフィンを感じさせるTシャツは多彩です。ただ格好いいものとなると難しい。
自己メディアと言われるようにTシャツには自分が表現されますよね。デザイン、色、メッセージ、写真などボディに載っている“何か”は、それを選んだ自分そのもの。そこをサーファーにはわかってほしいけれど、あからさまなのは嫌、という天邪鬼なところがある。
もしそんなツウ好みの一枚を選びたいなら、ここで紹介しているものを参考にしてみては? あとはサーフカルチャーを知ることが大事でしょうね」。
1972年にカリフォルニアで誕生した老舗ブランド。グラフィカルにデザインされたカタカナ表記のブランド名がキモ。
英国ロックと米国サーフのミックス。ゆるさと茶目っ気がサーファー心をくすぐる。
吉岡さん曰く「手書きグラフィックが最高にクール!」なTシャツは、人気のフィンブランドによる日本限定モデル。
老舗ブランド、オフショアによる“オフショアの波”を使った一枚。サーファーなら誰しも「いい波!」と叫んでしまうはず。
吉岡雅晴(よしおかまさはる)●東京・世田谷のサーフショップ「ブライン」のストアマネージャー。
清水健吾=写真 菊池陽之介=スタイリング 加瀬友重、髙村将司、いくら直幸、秦 大輔、今野 塁、菊地 亮=文