「Camp Gear Note」とは……
オンウェーの製品が高い快適性を誇る理由は、細部まで徹底的にこだわった頑固なものづくりの姿勢にある。
各社から生産と開発を請け負う「アウトドアメーカー」として長年、試行錯誤を積み重ねてきたからこそのこだわり。
世界に誇るベストセラーから変わり種までが揃うオンウェーの製品。その中でも今狙うべき名作をセレクトし、それぞれの特徴とディテールへのこだわりを紐解いてみよう。
座ればオンウェーの実力が明確にわかる代表作
まず紹介したいのは、同社の大定番モデル「コンフォートチェア2」と「スリムチェア」の2脚。
この名を挙げただけで、道具好きのキャンパーたちが深く頷いているのが思い浮かぶ。それほど“オンウェーの”というよりも、もはやキャンプチェアとしての大定番モデルなのである。
‘90年代前半のバブル崩壊を境に、世の中では省エネ、省スペースという言葉がよく使われるようになった。
その問題に対し、画期的な収納方法を採用して解決策を提示したのが、このスリムチェアであり、コンフォートチェアだ。
従来の前後に開閉するタイプのチェアは座り心地の良さが長所であり、中央に収束するタイプは収納性の高さに秀でている。相反するこの2つの要素を併せ持つのが、オンウェーが独自に開発した“多方向開閉タイプ”である(詳しくは前編参照)。
背もたれや肘掛の微妙な角度、座面の高さは人間工学に基づいて設計されており、座る人の体格や体重を選ばない。
2003年の発売以来、部材や構造の細かな見直しを重ね、現在もさらなる快適性への追及が続くマストバイな一脚だ。
世界が認めた、100万脚以上売れている名作チェア
「ディレクターチェア」は、数あるオンウェー製品の中で最も売れているモデルだ。もちろん、売れているのにはそれなりの理由がある。
アメリカのキャンプ用品が日本に上陸し、まず国内で普及したチェアの形がディレクターチェアである。各社が手掛けるベーシックな形なので、お持ちの方も少なくないだろう。
手持ちのものと上のオンウェー製をよく見比べてみてほしい。
答えは側面が1本のフレームで形作られた、シンプルな構造であるということ。
複数本で構成された従来製品に比べ、圧倒的に軽量。故障も少なく、なにより見た目が美しい。2002年にはグッドデザイン賞も受賞し、世界中で大ヒットを記録した。現在までになんと100万脚以上売れている。
開発にあたり、目指したのは「2時間座って映画を見ても疲れを感じない椅子」だそう。以来、このテーマはオンウェーが手掛けるチェアすべての基準となっている。
今シーズンの新製品と売れ筋No.1は?
チェアだけでなく、オンウェーはテーブル開発に関わる歴史も長い。斬新な折り畳みギミックは、テーブルにも活かされているのだ。
続いて紹介する「アジャストカフェテーブル」は、そんなテーブルカテゴリーの最新作だ。
脚部のフレーム構造に加え、木目調が美しいグラスファイバー製天板を採用していることも特徴。その重量は3.7kgと、見た目からは想像がつかない軽さを実現している。
脚部は無段階で長さの調整ができるため、キャンプのスタイルを選ばず、自宅で使うこともできる。接地部のパーツは地面の凹凸に合わせて動くので、不整地でも安定感が高い。また、このパーツは砂地や土に埋まりづらい役割も担っている。
庭先やベランダでのリモートワークなどで使うのにもぴったりだろう。
在宅ワークや家キャンプの影響もあってか、最近最も売れているのは「コンフォートローチェア」なのだとか。
のんびりと寛げる座面設計のリラックスチェアで、フカフカのクッションは取り外し可能。
キャンプはもちろん、日常使いにも馴染みがいいデザインと使い勝手の良さが人気の理由だ。
小さなギアも、やはり折りたたみのアイデアが秀逸
小さなギアにも、オンウェーらしい折り畳みのアイデアが生かされている。
例えば、隠れたヒット商品として売れ続けている「スタンド」も、そのひとつ。
駐車場でサーフボードにワックスを塗ったり、カヤックの潮を流したりするのにとても便利な商品だ(耐荷重は50kgまで)。使わないときは細長く収納できるので、車に載せっぱなしにしておいても邪魔にならない。
「バスケット」も、ワンアクションで開閉できるギミックがオンウェーらしい。エコロジー先進国であるドイツからの依頼で作られたモデルで、ドイツの一流デパートにも並んでいる。
25Lの大容量なので、よく使うキャンプ小物をまとめておくのにぴったり。日常の買い物にエコバッグとして使うのにもおすすめだ。
焚火台もオンウェーが手掛けるとご覧のとおり。
美しい六角形の聖火型を実現するためには、アイデア段階から5年以上の歳月がかかったそう。
火を入れると、まるでオブジェのような美しさ。別売りのゴトクを使えば、調理台としても使える。
ここで紹介した以外にも、オンウェーのウェブサイトには各製品ごとの開発秘話がみっちりと掲載されている。商品のスペックや機能説明だけでなく、ここまで伝えてくれるブランドは稀。それだけ、自分たちが手掛けた道具への溢れる愛を感じられる。
どうせ使うなら、そんな道具を愛用したくないかい?
[問い合わせ]
オンウェー
03-3234-9981
www.onway.jp
「Camp Gear Note」
90年代以上のブームといわれているアウトドア。次々に新しいギアも生まれ、ファンには堪らない状況になっている。でも、そんなギアに関してどれほど知っているだろうか? 人気ブランドの個性と歴史、看板モデルの扱い方まで、徹底的に掘り下げる。 上に戻る
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池田 圭=取材・文 矢島慎一=写真