沖縄県名護市辺野古の新基地建設を巡り、国が玉城デニー知事に代わって沖縄防衛局の設計変更申請を承認する代執行に向けた訴訟の判決で、福岡高裁那覇支部(三浦隆志裁判長)は20日、国側の主張を認め、玉城知事に設計変更を承認するよう命じた。県側は判決文を受け取った。
承認するまでの期限は翌21日から数えて土日除く3日後の、25日となった。従わなければ、国が地方自治体の事務を代執行する国内初の事例となる。軟弱地盤が広がる大浦湾側の工事が近く始まり、重大局面を迎える。 国が地方自治体を相手に起こした代執行訴訟は2度目で、判決は今回が初めて。県側は、1週間を期限に最高裁に上告できるが、代執行を止める効力はない。情勢は極めて厳しく、知事は承認の可否を巡って難しい判断を迫られる。
 一方、国は軟弱地盤の改良工事に着手するものの、海面から深い部分では難工事が予想される。防衛省は米軍への提供までに約12年を要するとしているが、工費、工期ともに大幅に膨らむ可能性がある。大浦湾側での工事は今後も複数回の変更申請が必要とされており、現行の計画通りに進むかは不透明だ。 裁判では、知事が承認しないことが「著しく公益を侵害することが明らか」かどうかなど代執行手続きの3要件が争点だった。  県側は新基地反対の民意こそ「公益」などと強調し、代執行手続きの要件を満たしていないと主張していた。 国側は、承認を迫った国土交通相の是正指示が適法との司法判断が確定しても承認しない知事の事務は違法で、代執行以外で是正を図ることは困難と指摘。
国の安全保障と普天間飛行場の固定化回避という重大課題に関わり「著しい公益侵害は明らか」とした。 変更申請を巡り、県は2021年11月、軟弱地盤の調査が不十分などを理由に不承認としたが、国交相は2022年4月に不承認を取り消し、承認を迫る是正指示を出した。県は提訴したが、2023年9月に最高裁で敗訴が確定。その後も勧告や指示に従わず、国は10月5日、代執行訴訟を提起した。 
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辺野古代執行訴訟で沖縄県敗訴 埋め立て設計変更の承認命じる 地方自治体事務の代執行で初の判決
既に埋め立てられた辺野古側の区域で続けられる作業。大浦湾側の工事に使う土砂の仮置きが計画されている=18日午前11時半、名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ沿岸部