自宅で介護を受ける人と世話をする人が共に75歳以上という「老老介護」の割合が過去最高となった。人口の多い団塊世代が75歳以上となる中、家庭内介護を巡る状況は厳しさを増している。

 厚生労働省の2025年国民生活基礎調査によると、65歳以上同士の老老介護は61・9%で前回22年調査より微減、75歳以上同士は37・1%で1・4ポイント上昇した。
 75歳以上同士に限れば、この四半世紀で約2倍に増えている。
 背景にあるのは、高齢化と核家族化の進行だ。住み慣れた自宅でのケアは安心感がある。できるだけ子どもには頼らず生活したいという意識も強まっている。
 一方で、介護にかかる費用など経済的事情や、他人の世話になることへの抵抗感から、やむを得ず老老介護を選択したという家庭も少なくない。
 調査で驚くのは、介護する人が介護に費やす時間だ。「要介護3」以上では「ほとんど終日」が最も多くなっている。
 さらに高齢者世帯の半数以上は「生活が苦しい」と答えている。
 食事や排せつ、入浴など毎日の世話は、体力が落ちている高齢者には肉体的にも精神的にも負担が重い。リタイア後の長期にわたる親の介護は、生活困窮にもつながりやすい。
 介護疲れが「共倒れ」を招いて、深刻な事件に発展するケースは後を絶たない。

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 介護していた家族らによる殺人や虐待で死亡した高齢者が、06~24年度に少なくとも486人いたことが確認されている。
 地域から孤立し、疲弊し、追い込まれた末の痛ましい事件は、たびたびニュースになる。
 なぜ助けを求めることができなかったのか。一人で抱え込んでしまったのか。
 先の国民生活基礎調査では、同居の主な介護者は女性が6割強。一方、介護殺人・虐待死の「加害者」は男性が約7割を占める。
 女性でも男性でも介護は一人で抱えきれるものではない。だが周囲に相談できず孤立するケースは男性に多い傾向がある。
 悲劇を防ぐためにも、当事者が声を上げやすい環境づくりが必要だ。
 自治体には介護に関する情報交換や相談、交流など多様な場を通じて発信を強めてほしい。たとえ拒否されても、困難を抱える介護者を支援につなげる、踏み込んだ対応が求められる。
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 介護サービスの活用を広げるには、利用者負担の軽減が鍵となる。

 懸念されるのは、政府が今月決定する「骨太方針」案に、介護サービス利用料の2割負担拡大について「26年度中に結論を得る」と書き込んでいることだ。
 見直しによって家計が厳しくなれば、利用控えが起こり、介護者の負担が増えるという悪循環に陥る。
 26年前、介護保険制度は「介護の社会化」を理念に始まった。支える側の家族の変化に応じた「社会化」の再構築を図る時だ。
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