MBSテレビは24日深夜2時1分から『マルクト情報テレビ』(※関西ローカル)を4週連続にわたって放送する。

 同番組は、「行方不明展」などを手掛ける新進気鋭のホラー作家・梨氏が原案・監修を担当した。
また番組と連動したショートドラマがショートドラマをアプリ「BUMP」で6月6日午後7時から配信する。

 企画とプロデュースを手掛けた高田将志氏(※高=はしごだか)は同作を「“5分番組”というごく短い尺から逆算して設計された企画」と説明。「限られた放送時間の中で、どこまでテレビという日常的なメディアに“異質なもの”を紛れ込ませられるか。その問いから出発し、やがてテレビとショートドラマが連動する、ひとつの壮大な“物語”へとたどり着きました」と説明する。

■梨氏コメント
――見どころや楽しみ方を教えてください。
大きく分けて2点あるんですけれども、まず1つ目は他のテレビ番組では見たことないような建てつけ。かなりトリッキーなことをやっているのが大きな見どころです。ぜひ何も知らずに見て面を食らってほしいなと思います。

内容面では、大きな要素として「ディストピア」というものがあります。「ユートピア(理想郷)」を反転させたものが「ディストピア」なんですけど、古くはジョージ・オーウェルの『1984年』という小説や、『素晴らしき新世界』とか小説でよく出てくる描写なんですけれども、この番組を一言でいうと“SFディストピア番組”。

最近のフェイクドキュメンタリーでもフェイクって言っちゃうんですよ。もう完全にフィクションです。
別にフェイクだって言ったところでおもしろさを損なわれない。

私がテレビのすごいおもしろいなと思うところって、テレビって徹頭徹尾見させられてるコンテンツなわけですよ。テレビって電源つけた段階で、自分が予期しないチャンネルの予期しないCM、もしくは予期しない番組がずっと流され続けている。昔から言われているメディア論的な言い方をすると、受動的なメディアなんですよ。その見させられてるっていう状況をそのままホラーに転換したらこういう番組ができました。

普段見ているものが、それこそ普段何気なくなんか見流している、聞き流しているCMであるとか、バラエティ番組、情報番組とかが突然自分が全く知らないものに変わるっていう恐怖…「異化効果としての恐怖」という言い方がいいかもしれませんね。

そういう「エンタメとしての怖さ」というものをかなり突き詰めて作っていますのでホラーが苦手な方にも見てもらいたいです。

――この番組ができた経緯に関して
例えばなんですが『飯沼一家を探しています』や『イシナガキクエを探しています』など、ああいう30分番組、私も何回かやらせていただいたんですけれども、私、個人としてめちゃめちゃそういうの大好きなんですよ。大好きなんですけど、今のこの時代で30分番組を例えば三夜連続で見続けるって結構なリソースを割くわけですよっていう、ここのハードルの高さがあるなと思っていて。例えば「すごい最近バズってたすごい番組があるんだよ」「ええ、それ見てみたい」という番組が30分×3でって言われた時点で、その乖離が生まれちゃう。めちゃくちゃ興味がないと見ないですよね。そこをうまいこと解決できる、何かこう建てつけというか、フォーマットがほしいよねって話はしていたんですね。
その企画の段階でせっかくMBSさんとやるので、ちょっと今までやったことがなかったフォーマットに挑戦してみたいっていうのがあったので、フォーマットから決まりました。

――撮影現場を見学した感想をお願いします。
もちろん台本とか見てますし、内容のネタバレもあるので、ちょっと踏み込むことはできないかもしれないですけど、私がさっき見た中では、年端もいかぬすごい善良な女の子がすごいこうなんか拘束されて、すごく叫んでたんですよね。

私のこととかをもし知ってらっしゃる方の私のイメージとして、幽霊とか超自然的な何かとか、あるいはカルトホラーとか、そういうイメージがあるかなと思うんですけども、今回そこから思考かなりガラッと変えています。ポリティカルフィクションとしての怖さというか、あの、それこそジョージ・オーウェル的な怖さをかなり思考したところがあったので、ディストピアものとホラーの融合っていう点でも、あのこれまでとかなり違ったホラーのアプローチができるっていう点で、ものすごいいいなと思いましたし、さっきの取材現場を見ていて、それがより確信に変わりました。
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