本作は、漫画『黒子のバスケ』などで知られる藤巻忠俊氏(集英社ジャンプコミックス刊)の最新作が原作。伝説の殺し屋として、どんな不可能な依頼もこなしてきた39歳の大狼十三がある日、謎の蜂に刺され13歳の姿になってしまったことから中学校に通いさまざまな事件や殺し屋たちとのバトルに挑む“青春やり直し系”アクションコメディ。
■シンの魅力は“ギャップ” オーディションは落選の連続「ただの新人声優です」
――本作への出演が決まったときの心境を教えてください。
佐久間:オーディションに参加させていただいて、スタジオオーディションもやらせてもらいました。『キルアオ』は、主人公が若返って、自分の経験したことを駆使して年下の子たちを助けていく中で、中学生たちと一緒に39歳のおじさんが成長する。若い子の影響でおじさんもちゃんと成長できるという、世代を越えた変化が描かれるのがおもしろいなと感じた作品でした。その中でもシンという役は、原作を読んでいるうちから「やりたい!」という思いが湧き起こってオーディションに参加させていただいたので、すごくうれしかったです。
――佐久間さんもオーディションを受けていることにまず驚いています。
佐久間:僕は新人声優です。本当にめちゃめちゃいろんな役を受けて、いろいろ落ちています。
――シンの髪色がピンクだから、なにか繋がりがあるのかなって思っていました。
佐久間:そこは関係ないです(笑)。
――ではぜひ三つ編みを…。
佐久間:そうですね(笑)。
――シンの魅力はどんなところだと思いますか?
佐久間:ギャップの塊です。個性豊かなキャラクターがいる中でも、引いて見てもちゃんと“変な子”ってわかるのもすごくいいなと思いましたし、それでいてビジュアルがかっこいいじゃないですか。そこのチグハグさにより愛嬌を感じて、すごく魅力的だなと思いました。
――“おしゃぶりをくわえた殺し屋”ってなかなかないですよね。
佐久間:おもしろい発想ですよね。おしゃぶりがないと全然喋れなかったり、ヒョロヒョロになっちゃったりするので、自分にとってのお守りみたいなものであって、暗殺者のスイッチを入れるもの。彼の中のルールがちゃんとあるんだなというのを知れるのが楽しかったです。
――おしゃぶりみたいな独特なモチーフはありますけど、いわゆる正統派のかっこよさも持ち合わせているキャラクターのような気もします。
佐久間:あの子を正統派のカッコイイという分類に入れていいのかわからないですけど(笑)、暗殺業をやっているときだったりとか、誰かを守るために技を出したりとかするときは、本当にかっこいいなと思います。ただ、このおしゃぶりでどうやってしゃべっているんだろうって(笑)。
■役作りのためおしゃぶり購入 共演者の反応に不安も「引かれないかな?」
――この“おしゃぶりを付けてしゃべる”というところは、どのように演じようと考えていますか?
佐久間:すごく迷っていて、オーディションのときはおしゃぶりを付けていなかったんですけど、受かってから音響監督さんと一緒に確認させてもらったんです。アフレコのブースに入らせてもらって、おしゃぶりを付けた状態と付けてない状態でもう一回やらせてくださいみたいな。
いける範囲を自分で見つけてやってみたら、おしゃぶりがあった方がちょっとリアルでいいかもねとなっていたんですが、本当にそれをアフレコ現場でやるのかはわかってないです(笑)。自分の中で「これだったらまあしゃべられそうかな」みたいなおしゃぶりを見つけて買ったんです。やるとしたら“これ”なんです。
(実物を取り出して披露)
――おー!すごい!
佐久間:(口におしゃぶりをつける仕草を見せつつ)この状態でしゃべる練習もしているんですけど、実際これをどこまでやるかがわかんなくて。今一番不安なのは、アフレコで最初に僕が入ってやらせてもらうときに引かれないかな、“趣味かな?”と思われないかな?ということで、そうならないようにしなきゃなと思いながら(笑)。おしゃぶりでしゃべると大変なんだなと思いました。
――くわえながらは大変ですよね。
佐久間:滑舌の面もなんですけど、顎が疲れますね。
――体にも気をつけていただいて…。
佐久間:そうですよね(笑)。だから練習しすぎると他にも支障が出そうな気もして、いろいろと間を取りつつやっているんですけど、実際どうなるか…。
――楽しみです。
佐久間:僕も本当に未体験すぎて楽しみです。
――ちなみに、おしゃぶりはお店に行って選ばれたんですか?
佐久間:いや、さすがにお店で試着するのも…と思って、ネットで大きさだったり対象年齢だったり、咥える部分の形を見て、違うものを5、6個買ってみました。最初は音響監督さんが買ってきてくれたんです。それでやってみて、いい感じかもしれないとはなったんですけど、それはちょっと成長した子を対象としたものだったので固かったんです。これは壊れちゃうなと思って、そこから探して“これ”にたどり着きました。
――ちなみにこれは何ヶ月の子が対象ですか?
佐久間:授乳期、0ヶ月からの一番柔らかいやつです。
――おしゃぶりをくわえているキャラクターといえば、『幽遊白書』のコエンマもいますが、実際にはアフレコでおしゃぶりは使わないんじゃないかと思っていました。
佐久間:どちらのやり方もできると思うんです。僕もドキドキしている状態です。本当にこれやるのかなって。当日行ってみて、実際にテストからやってみないと。手探りなのはみんな一緒だと思うので、そこは真摯にやらせていただこうと思います。
■根底に眠る“弱さ”を通してシンに共感
――アフレコはこれからということですが、演じ方について、オーディション時にはどのようなことを意識されたんでしょうか。
佐久間:シンは、かっこよさが一番大事なところかなと思いました。『キルアオ』ファンの皆さん的にも、やっぱりかっこいいシーンが一番見たいだろうなと。そこに対するギャップがあればあるほど、よりコミカルな部分とどちらも際立つと思ったので、まずはかっこいい暗殺者としてのシーンを描きたいというのと、あとは、心の声をとてもよくしゃべる子なので、その心の声の激しさを意識しました。
――では声色もかっこよさを意識されたんですか?
佐久間:かっこいい声色というか、殺し屋としての筋も自分の中の筋もあるし、自分の中のルールや殺しのプロとしてのプライドもあるので、その辺を整えながらも、よりかっこよく伝えられたらいい、この子の良さを伝えられたらいいなと思ってやらせてもらいました。
――では少し物語に踏み込みます。シンはノレンに対して最初から好意を抱いていますが、ノレンのどこに惹かれているんだと思いますか?
佐久間:シン的にはまずビジュアルから入っていますよね。
――佐久間さん自身も人の飾らない部分に惹かれることがありますか?
佐久間:いろんな人と接する中で、ちょっと話すと「この人本当は“こういう人”なんだな」とか、なんとなくわかるんですよ。目を合わせて話しているだけで「本当にこの人は心から優しい人なんだな」「この人は裏でめっちゃ考えてるな」とかが伝わってくる。
その中でもやっぱりピュアな人に接するとうれしくなります。出会ったときに、「いいな、この人本当に優しい人だな」とわかると僕も優しく接したくなっちゃう。なんやかんやで、わかるようになってきました。
――シンとの共通点でいうと、佐久間さん自身も昔は引っ込み思案だったと語られていますが、シンに共感する部分もありますか?
佐久間:子どもの頃は人見知りだし、引っ込み思案だし、本当に今と性格が真逆なんですよ。今の自分になれたのもアニメとか自分の好きなものの影響だと思うんですけど、逆に言うと、そういう弱くてどうしようもない存在をちゃんと自分の中に持てているので、そういう部分が根底に眠っている人に共感できるんですよね。
――その辺ははっきりされているんですね。
佐久間:そうですね。ずっと、いろんな人にリスペクトを持っていないとダメだなという認識ではいます。
■声優業は「大きな挑戦」 いち声優として向き合う
――アイドルとして活動されてきた中で、今は声優としても挑戦して経験を重ねてらっしゃいますが、別の業界にも足を踏み入れたことで実感することもあるのでは?
佐久間:(声優の仕事は)やっぱり僕にとっては大きな挑戦です。ただ、この挑戦は僕だけの話なので、いち声優として参加させてもらって。一緒に共演するプロの人たちと同じマイク前に立ってお芝居するのに、アイドルでいる必要はない。
むしろ、いち声優としてちゃんと向き合って、リスペクトをもって表現をしなきゃいけない。いち声優として立たなきゃという思いがやっぱり一番強いです。そこを大事にさせてもらっているので、素直な気持ちでお芝居をしたいなと思ってアフレコ現場に来ています。
――おしゃぶりにもその思いがこもっているわけですね。
佐久間:これはもうどうなるか、本当に“挑戦”です(笑)。でも、そのチャンスをいただけていることがありがたいです。
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