内山監督は、『佐々木、イン、マイマイン』(2020年)で新藤兼人賞をはじめ数々の新人賞を受賞。続く、『若き見知らぬ者たち』(2024年)でも、“現実に抗いながら何かを掴もうとする若者たち”を描き、高い評価を集めてきた。
『しびれ』は、内山監督の故郷・新潟を舞台に、居場所とアイデンティティを模索する少年の20年を描く自伝的作品。『佐々木、イン、マイマイン』以前から書き続けてきた、構想十余年のオリジナル脚本だ。俳優の北村匠海、宮沢りえ、永瀬正敏らが出演する。
昨年開催された「第26回東京フィルメックス」で、日本作品として唯一コンペティション部門に選出。今年2月開催の「第76回ベルリン国際映画祭」ではメインのコンペティション部門に次ぐ注目を集めるパノラマ部門で上映された。
今年5月開催の「第4回横浜国際映画祭」では、グランプリ、最優秀監督賞、最優秀男優賞(北村匠海)の3冠を達成し、国内外の映画祭で大きな反響を呼んでいる。
今回の台北映画祭では、「Filmmakers in Focus」として、内山監督の長編4作品を上映。ラインナップには、『ヴァニタス』(2016年)、『佐々木、イン、マイマイン』、『若き見知らぬ者たち』、そして『しびれ』が並ぶ。
台北映画祭は、内山監督について「人物の佇まいや画面設計への鋭い感性を持ち、現代の若者が抱える孤独や喪失感を鮮烈な映像で描き出す作家」と紹介。現地では内山監督によるQ&Aも予定されている。
今回の特集上映にあわせ、これまで内山監督作品で主演を務めてきた俳優陣からもコメントが到着。『ヴァニタス』の細川岳、『佐々木、イン、マイマイン』の藤原季節、『若き見知らぬ者たち』の磯村勇斗、そして『しびれ』の北村匠海ら、内山監督と強い信頼関係で結ばれたキャストたちが、それぞれの思いを寄せている。
■細川岳のコメント
異国の地で自分の特集上映が組まれるとはどういう気持ちなのだろう。
内山とはたくさん一緒に映画を作ってきたし、それはこれからも続くと思う。
『しびれ』を初めて観た時、あまりにも良くてその場で感想を伝えた。
翌日の夜にまだ伝えきれてないような気がしてまた電話。感想を浴びせると彼は笑っていた。
真摯に映画に向き合っている姿をそばで見てきたから、これは偶然ではないのだと僕は知っている。
おめでとう。またいつかの立ち飲み屋でビール奢(おご)るよ。
■藤原季節のコメント
内山拓也の新作『しびれ』がとにかく傑作で、鑑賞して数ヶ月経っても景色が頭から離れない。
『しびれ』は内山拓也の源流なのかもしれないが、『佐々木、イン、マイマイン』を撮っていなければ『しびれ』を撮れることはなかったかもしれないと思うと誇らしい。
台北の皆さまには、ぜひ内山拓也の川をたどって源流までたどり着いていただきたい。謝謝。
■磯村勇斗のコメント
内山拓也監督、台北映画祭での特集開催、おめでとうございます。
監督の作品を通して、彼の眼差しや作家性が台湾、そして海外の皆さまへ届いていくことを、僕自身とてもうれしく感じています。
『若き見知らぬ者たち』も上映されるとのことで、現地の皆さまがどのように作品を受け取ってくださるのか、今からとても楽しみです。
キャスト、スタッフ、そして作品に関わる人たちから深く愛される内山監督の魅力が、この特集を通してさらに広がっていくことを願っています。
■北村匠海のコメント
『内山拓也』という監督は、映画に愛されています。
そして映画を通して世の中を見ているのです。
現在から未来へ残せる映像を追い求めているのです。
僕ら役者は彼のシナリオの中で共に生きて共に悩んで共に笑い共に泣く。
その日々がたまらなく愛しいのです。
そんな時間が何よりも映画でした。
■内山拓也監督のコメント
世界各国の多様な映画を紹介しながら、アジア映画の発展にも大きく寄与してきた台北映画祭にて、特集上映を開催していただけることを、大変光栄に思っています。
自主制作の『ヴァニタス』から、劇場デビュー作の『佐々木、イン、マイマイン』、商業デビュー作の『若き見知らぬ者たち』、そして最新作『しびれ』に至るまで、これまでの長編作品をすべて振り返っていただけることは、映画監督として、本当に名誉ある出来事です。
台北映画祭は長年にわたり、世界的な巨匠から新しい才能まで、数多くの映画作家を紹介し、国や地域を越えて、多角的な視点から映画文化を発信し続けてきました。そのような映画祭が、自分の作品の中に映画作家としての輪郭や、創作における表現への視点や執着などを見出してくださったことを、とてもうれしく感じています。
映画づくりを始めた頃から自分は、感情や人と人との距離感のようなものを、映画という形でどう掬い上げ、可視化できるかを考え続けてきました。
その中で、自分の拠り所になってきたのは、強い物語や技巧というより、「生の強度」に触れた記憶です。衝動として立ち上がる一瞬、時間の中で持続していく感覚、そして言葉にならないけど残り続けるものを、これからも追い求めていきたいです。
そんな自分の映画づくりを共にしてくれた、すべてのスタッフ・キャストに感謝しています。そして、これから暗闇の映画館で作品に触れてくれる、まだ見ぬ友人たちへ。本当にありがとうございます。
まだまだ道半ばではありますが、これからも一本一本、誠実に映画と向き合っていきたいと思います。
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