本作は、東京・上野公園を舞台に、“失踪”というテーマを通して、人と人とのつながりを描くヒューマンミステリー。監督は、幼少期を日本で過ごし、イギリスで映像を学んだワン・チイ。共同脚本には、『スモーク』などで知られるウェイン・ワン監督が名を連ねている。
物語は、上野公園で“ゴージョー”と呼ばれていた身元不明のホームレス男性が亡くなったことから始まる。生活困窮者を支援するNPOで働くサツキ(門脇)は、青テントに残されていた一冊の日記を発見。妻を亡くし、自身も公園で暮らすホームレスのトシ(竹中)とともに、“ゴージョー”の正体を探し始める。
トシが知っている情報は、「バナナジュースが好きだった」ということだけ。日記を手がかりに足取りを追う中で、「フランスの貴婦人に会いに行くと言っていた」「昔は川の近くに住んでいた」「娘がいたらしい」といった断片的な証言が集まり、“ゴージョー”という人物像が少しずつ浮かび上がっていく。
やがてサツキは、自身が幼い頃に家を出ていった父親の記憶と向き合うことになる。「何でお父さんが家出したのかはわからないし、考えても考えても謎は深まるばかりですね」と語る彼女。もしかすると、“ゴージョー”は自分の父親なのではないか――。ひとりの失踪者を追う旅は、サツキ自身の過去へもつながっていく。
解禁されたメインビジュアルには、線路沿いを歩くサツキとトシの姿が収められている。予告編では、上野の街を巡りながら“ゴージョー”の痕跡を追う2人の姿が映し出され、生と死、記憶と喪失が静かに交差する物語の一端が切り取られている。
本作の舞台となる上野公園は、美術館、博物館、動物園などが点在し、国内外から常に多くの人が集まる観光地だが、かつてはホームレスの人々によるテント村が存在した場所。年間8万人以上が行方不明になる“失踪大国”日本を背景に、都市開発の影で社会から見えなくなっていく人々へ視線を向ける。
門脇は、日台合作映画『オールド・フォックス 11歳の選択』(24)に台湾人の役で出演するなど、アジアの映画界に活動の場を広げる中、本作では失踪者に“残された側”の孤独と向き合う女性・サツキを熱演。竹中は、亡き妻の生まれ変わりを信じるホームレス・トシを、どこか幻想的でチャーミングな存在感で演じている。
日本、中国、韓国に加え、アメリカなど多国籍なスタッフ・キャストが参加した本作。国境を越えたコラボレーションによって、“失踪”という普遍的なテーマに迫る作品となっている。
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