中村倫也と神木隆之介が共演する映画『君のクイズ』が公開中だ。本作は、たった1問のクイズが導く“真実”と“人生”を描く、驚愕(きょうがく)の知的エンターテインメント。

賞金1000万円を賭けて戦う生放送クイズ番組『Q‐1グランプリ』。その決勝戦で対峙(たいじ)したのは“クイズ界の絶対王者”三島玲央(中村)と“世界を頭の中に保存した男”本庄絆(神木)だった。手に汗握る対決の終盤戦、なんと本庄は問題が読まれる前、0文字で正答を出してしまう。なぜ本庄は0文字正答を成し得たのか、三島はその謎の解明に乗り出すが…。今回、ライバル役を演じた中村と神木にインタビュー。役者として互いをどのように捉えているのか、相手の信頼している点について聞いた。

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■三島にとって本庄や坂田は“やっかいな存在”

――原作や脚本を読まれた時の印象を教えてください。

中村:まず企画書をいただき、原作、脚本の順番に読んだんですけど、企画書の段階で監督のイメージするVFX(映像を加工することで、現実にはない視覚効果を与える技術)が載っていて、「ああ、こういう感じでやるのは面白そうだ」と思いました。あとは、原作にはない検証番組という仕組みを考えたのが功を奏していましたね。

神木:かっこいい作品だと思いましたし、次元がちょっと違うなと。クイズプレーヤーさんって我々は気軽にテレビで見ている存在ですけど、皆さんの人生を深掘りしている作品ってあまりなかったと思うので、クイズプレーヤーの1人の人生をちゃんと描かないといけない責任を感じました。

――三島玲央、本庄絆について最初はどんな人物と捉えましたか。


中村:(三島は)よく分からなかったです。すごくストイックですけど、ナイーブな部分もあって。そして、もともとクイズは大好きだった。“クイズに人生を捧(ささ)げる”というフレーズがありますけど、浮き輪のようにしがみついている印象がありました。そうなるに至った人生の端々が脚本を通して描かれていたので、だんだん分かっていった、という感じでしたね。

神木:本庄は劇中で天才クイズプレーヤーと言われているんですけど、天才って結構距離を取られるというか。世の中が天才と言っているだけで、彼自身は果たして天才なのかということをどう表現しようかすごく考えました。「世の中では天才と言われているけど、よく見るとただ努力してきただけの人間、みんなと変わらない同じ人間だった、という両面が見せられたらいいな」と。なぜ彼が天才と言われるのか1つ付加価値をつけないといけなかったのですが、それは撮影中の仕草だったり答え方だったり、番組中のコメントの言い回しで表現できると思っていろいろ試行錯誤しました。

――お互いの役の印象はいかがですか。

中村:今、隆が言っていたような世間から見た天才っぽさとか、本庄自身が持つプロフェッショナリズムは、人前に出るクイズプレーヤーとして彼が実は大事にしているもの、軸になる部分だと思います。 あと三島もそうですけど、過去に何かがあって今がある、というのは人間誰しもあるものです。
三島からすると、本庄のそれがなんともうざったいけど気になる存在なんだろうということが作品を通して見えてくる。ここは三島の目線で視聴者も一緒に楽しめると思います。でも本庄や坂田(ムロツヨシ)の存在が三島にとっては本当に不快なので、三島を演じる身として撮影中は本当に疲れました(笑)。

――神木さんはいかがですか?

神木:土台がイケメンなんで。

中村:これね、枕詞のように取材で毎回言ってるんです。

神木:(笑)。実際、現場で見ていてもそうですけど、一番泥臭い役だと思いました。クイズの正解にすごく貪欲で、ぐちゃぐちゃになりながらしがみついているキャラクターなんだろうとお芝居を見て感じました。それがすごくかっこよくて…心の中で、もがいて苦しんでいるけど全く表情に出ないところとか、もともと持っている中村倫也のミステリアス感も相まって三島というすごくステキな人間ができていましたね。

■互いの存在に感謝 「安心してフルスイングできる」

――本作でお二人はライバルという立ち位置ですが、相手にここだけは負けないと思うポイントを教えてください。

中村:何でもできるからな。

神木:いやいや、何もできない。
無力です。

中村:緊張しないこと。

神木:あ、そうね、俺は負ける。

中村:緊張するらしいんです。ウソだと思ってるんですけど。

神木:ウソじゃないです。めちゃくちゃ緊張します。

中村:本当? (俳優を)30年やってるんだよ。

神木:いまだに慣れない。緊張を乗り越えて、エンジンがかかってきた時のノリで倫くんにツッコむのは負けないですね。いくら倫くんがボケても瞬時にツッコめるし、テンションを引っ張り上げることができます。

中村:そうだな。
僕の扱い方を僕より分かってるから。

――現場でも思い当たるエピソードが?

中村:ムロさんとも付き合いが長いので、今回真ん中(主役)をやって感じましたが、やっぱり気を遣わなくて良いのが楽でした。何も話さず、ずっといられますし安心感がありましたね。

神木:僕も同じく安心感がありましたけど、緊張もしてました。それはなぜか…中村倫也という役者はですね、面白いことが大好きなんです! 今回、僕が演じた本庄というキャラクターは自分自身でいかようにもできる演技の幅が自由な役だったので、中途半端だと中村倫也の中の本庄絆が“予想内”のキャラクターになってしまうのではないかと。突拍子もないことを起こすというよりかは、倫くんが「こういう表現してくるんだ」「こういう表情するんだ」と思うような予想外のところまで僕はいけるだろうか。敏感に感じ取る人なので緊張もして…「どういう衝撃を役者として与えることができるだろう」とプレッシャーでした。

――今回の共演を通して、相手の演技で「凄い」と思ったポイントを教えてください。

中村:後半、三島と本庄が対峙するシーンは、スリリングで楽しかったです。真ん中の経験がありつつ脇を固めることもできる人ってやっぱり厚みがあると思います。真ん中がどうされたら楽か分かっているから、芝居の上では振り回されて疲れますけど、一緒に仕事をしているモノ作りの仲間としてすごく安心感がある。でもそれが後半ともなると、こっち側からも影響を与えることもあって。
格闘家の方が「構えで対峙した時に相手の考えていることがなんとなく分かる」と言っているのと同じような感覚があるシーンでしたね。そういうところもやっぱりすごいと思うし、うれしい気持ちでした。

神木:…と思ってもらえているとはつゆ知らず、何でも受けてくれるので大丈夫かなって。ムロさんもそうだと思うんですけど、僕が仕掛けたものを何でも受けてくれるし、倫くんの受けがあるからこそ僕らの行動の説得力が増していく。異常性もそうですが全てにおいて発信したもの以上に付加価値をつけて返してくれるので、すごく助けてもらっています。逆にさっき言ったように「え、大丈夫か」「自分ちゃんと認めてもらえるぐらいできているかな」って不安になる要素でもあるんですけど…それでも安心してフルスイングできる。

中村:そういう意味では楽だよね。緊張感はもちろんあるけど、知ってるからこそぶん回せるところもある。知り合いが増えるからキャリアを積むって良いよね。

――今回の共演を踏まえて、改めてお互いをどんな俳優だと思いましたか。

神木:やっぱりミステリアスですよね。それはもう揺るぎません。
だけど、そのミステリアスの中にいろんなものが詰まっていると思います。人間臭さとか、一つの“ミステリアス”という箱の中からいろんなものを的確に取り出すのがすごく上手なすごい人です。

中村:10年も先輩の方にそんなことを言ってもらえるなんて…! 隆は不思議です。役ごとに役者としての考え方や質を変容できる人って実は少ないと思っていて。役というのは、キャラクターという意味だけではなく物語の中に役割もあると思うんです。そこを踏まえて「この人の相手にはこの感じが楽しげだな」という嗅覚を働かせて、自分のやり方や美学だけではなく(役に)染まりつつ的確な矢印や軸足、重心を残せる人ってあまり多くないんじゃないかな。隆は、いわゆる世の中の人がイメージする人懐っこさや安心感で真ん中のキャラクターをやりつつも、『るろうに剣心』や『SPEC』のような横にいて刺激物になる役もとても的確にできる人。どちらかというと、僕は刺激的な存在でいる隆の方がファンなので、この作品のキャスティングが決まった時に「ああ、俺はあの隆に振り回されるんだな」って楽しみになりました。

あと、日本は“ヘタウマ”に憧れるところがあると思っていて、それはそれでステキですけど、腕がある人への本当の巧みさについて「どこまで分かる?」って思うんですよね。そういう意味で、みんなが安心して見ている神木隆之介の“実は細かい巧みさ”というのは同じリングの上に立つと感じるものなので…ぜひみんなも俳優になってほしいです。

神木:そこに着地するんだ(笑)。

(取材・文:ふくだりょうこ 写真:米玉利朋子[G.P.FLAG inc])

 映画『君のクイズ』は全国公開中。

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