『失楽園』『愛の流刑地』などで知られる作家・渡辺淳一による問題作『シャトウ ルージュ』が、娘であり映画プロデューサーの渡邉直子が自らメガホンを取り、『月がみている』のタイトルで映画化されることが明らかになった。主演を務めるのは毎熊克哉と小島梨里杏。
“映像化不可”とも言われた、愛と性をめぐる夫婦のすれ違いと再生を描く。11月に公開を予定してる。

 物語の舞台はフランス。誰もが羨む結婚生活を送っているように見える克彦と月子。しかし、月子は夫・克彦の性的な求愛を受け止めきれず、克彦は満たされない思いを募らせていく。そんな中、克彦はある計画を実行。妻をフランスへ誘い出し、“性的なレッスン”を施す謎の“城”へ幽閉しようと目論む――。

 衝撃的な設定から始まる本作だが、その先に待ち受けるのは、愛する人との関係性を見つめ直す濃密な人間ドラマ。映画の約7割がフランスで撮影され、本物の古城を使用した幻想的な映像美も見どころとなっている。

 監督を務めた渡邉は、『食堂かたつむり』『ニシノユキヒコの恋と冒険』『母さんがどんなに僕を嫌いでも』など数々の作品を手がけてきた映画プロデューサー。本作が長編映画初監督作となる。

 原作『シャトウ ルージュ』は、美しい妻から性的な拒絶を受け続ける夫が、フランスの“城”で妻に“性のレッスン”を受けさせようとする大胆な設定で発表当時大きな議論を呼んだ作品。


 渡邉監督は、原作に込められた思いを受け継ぎながらも、女性視点を加えて物語を再構築。原作では描き切れなかった妻・月子の視点を丁寧に掘り下げ、夫婦それぞれの感情を繊細に描き出す。

 さらに、原作タイトルにもある“城”という象徴的なモチーフをフランスでの現地ロケによって可視化。センセーショナルな題材を入口にしながらも、人と人とが互いを理解し、尊重し合うことの難しさと尊さを描く本作は、閉塞感に満ちた現代において、自分らしく生きることの意味を静かに問いかけていく。

 毎熊が演じるのは、優秀な医師でありながら妻との関係に苦しむ夫・克彦。小島は、夫に翻ろうされながらも自らの心と身体を見つめ直していく妻・月子を演じる。

 渡邉監督は、「性的なことは、我々の生の根源であり、自然で尊いことであると捉えることで、見える景色は変わっていくのではないでしょうか。本作を通して罪悪感から解放され、性と生の豊かさを感じていただけたら」とコメント。

 毎熊も、「男女の性を描きつつ、異文化や他者との関わりの中で、お互いの心身を尊重し合う大切さを問う作品」と語る。

 小島は、「『私が月子をやっていいものか』という不安や葛藤もありましたが、それ以上に監督の思いに深く共感した」と振り返り、「この作品と向き合う中で、本当の意味で自分を愛することを教えてもらい、今も静かな温もりが胸に残っています」と明かした。

 セクシャルな題材を入り口にしながら、人と人が理解し合うことの難しさと尊さを描く本作。観客に“愛する人との関係性”をあらためて問いかける作品となりそうだ。


■監督:渡邉直子のコメント
 原作の『シャトウルージュ』は渡辺淳一が、男性へ向けて「ちゃんと女性によりそわないと逃げてしまうと発破をかけたくて書いた」と話していました。

 私は、性的なことを「いやらしい」「はしたない」と捉える閉鎖的な空気が、人を、特に女性を苦しめることがあるのではと考えていました。
 性的なことは、正に我々の生の根源であり、自然で尊いことであると捉えることで、見える景色は変わっていくのではないでしょうか。
 原作では語られなかった、自他を理解し、愛を与える理想郷である城を加え、人間の美しい性愛を女性スタッフを中心に作り上げました。
 映画『月がみている」を通して罪悪感から解放され、性と生の豊かさを感じていただけたらうれしいです。

■主演:毎熊克哉(夫・克彦役)のコメント
 私が演じた克彦は外では信頼されている優秀な医師でありながら、内では妻との関係に満たされない気持ちを抱え歪ませている複雑なキャラクターで、撮影の日々を思い返すとチクりと痛む罪悪感や喪失感と柔らかい優しさが入り混じった不思議な感情になります。
 本作は男女の性を描きつつ、異文化や他者との関わりの中でお互いの心身を尊重し合う大切さを問うている気がします。
 現代に突き刺さる作品になっていますので、ぜひ劇場でご覧ください。

■主演:小島梨里杏(妻・月子役)のコメント
 正直、勇気がいりました。役として「私が月子をやっていいものか」と不安や葛藤もありましたが、それ以上に監督の想いに深い共感があり、気づいたら素敵な皆さまと手を取り合っておりました。特にフランスでの撮影は、もう二度と同じ形では出逢えないような日々の連続でした。
 この作品と向き合う中で、本当の意味で自分を愛することも教えてもらい、今も静かな温もりが胸に残っています。
 この豊かな愛に満ちた世界が、多くの方を優しく包み込めますように。私自身、公開が楽しみです。
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