■“セルフ疲れ”にも着目 店内製麺・揚げたて天ぷらで差別化


「焼肉きんぐ」などを展開する株式会社物語コーポレーションは5月27日、新業態「肉讃岐 もっちりうどん源次郎」の1号店を神奈川県座間市にオープンした。
同社がうどん市場参入で打ち出したのは、「4玉まで同価格」「フルサービス」「店内製麺」「揚げたて天ぷら」といった差別化戦略だ。ロードサイドを軸に、将来的にはチェーン展開も視野に入れる。


5月21日に開催したメディア向け試食・内覧会で、本紙の取材に応じた同社の専門店・新業態事業部 事業部長 執行役員の廣瀬雅孝氏は、新業態開発の背景や狙いについて語った。
焼肉きんぐの物語コーポ、うどん市場参入 「4玉まで同価格」「フルサービス」「もっちり讃岐」でチェーン化狙う
物語コーポレーション 専門店・新業態事業部 事業部長 執行役員 廣瀬雅孝氏
物語コーポレーション 専門店・新業態事業部 事業部長 執行役員 廣瀬雅孝氏

■“6000億円市場”に参入 「ニッチはやらない」物語流の業態開発


廣瀬氏によれば、開発自体は約3年前から進めていたが、社内の優先順位などから一時中断。その後、約1年半前に再始動し、今回の出店に至ったという。
物語コーポレーションの業態開発の考え方は、「大きな市場で差別化する」ことにある。

廣瀬氏は取材に対し、「ニッチな業態は基本やらない。大きなマーケットで差別化できれば、大きなパイが取れるという考え方」と話す。

うどん・そば市場は約6000億円規模※。一方で、中小事業者や個店も多く、「まだ参入余地がある市場」と判断した。

※出典: 富士経済 外食産業マーケティング便覧2026 そば・うどん市場 2025年

■“もっちり讃岐”で差別化 コシ一辺倒ではない新提案


差別化の軸として掲げたのが、“もっちり食感”だ。
特注の圧力釜で茹で上げることで、麺の中心まで熱を通し、もっちりとした食感を実現したという。

一般的な讃岐うどんチェーンは、強いコシを前面に打ち出す。一方で同社は、「硬い」「粉っぽい」と感じる層にも着目した。

廣瀬氏は、「讃岐なんだけど、もっちり系で作れないかと考えた」と語る。

コシはありながらも、もっちりとした食感を目指し、高齢者など従来の讃岐うどんに苦手意識を持つ層にも訴求する。

■「セルフ疲れ」に着目 注文を聞き、席まで運ぶ


サービス面でも、既存チェーンとの差別化を図る。
現在主流となっているセルフ式うどん店について、廣瀬氏は「高齢者や小さな子ども連れには負担が大きい側面もある」と分析する。

そのため、「肉讃岐 もっちりうどん源次郎」では、従業員が注文を聞き、席まで料理を運ぶ“フルサービス型”を採用した。
「うどんは日本人にとってソウルフード。温もりや優しさは重要」とし、コミュニケーションを重視する。

注文時には、「2玉は一般的な並盛りより少し多い」「小盛は一般のハーフサイズくらい」など、量感についても説明。納得感のある接客を重視しているという。
焼肉きんぐの物語コーポ、うどん市場参入 「4玉まで同価格」「フルサービス」「もっちり讃岐」でチェーン化狙う
「肉讃岐 もっちりうどん源次郎 座間相模が丘店」店内
「肉讃岐 もっちりうどん源次郎 座間相模が丘店」店内

■「4玉まで同価格」で“満腹需要”狙う


同業態最大の特徴が、「4玉まで同価格」だ。

1玉(小盛)は150g、2玉(並盛)は約300g、3玉(大盛)は約450g、4玉(特盛)は約600g。どの玉数でも同一価格で提供する。

背景には、「セルフうどん店でお腹いっぱい食べると1000円を超えてしまうケースも多い」という消費者心理がある。
焼肉きんぐの物語コーポ、うどん市場参入 「4玉まで同価格」「フルサービス」「もっちり讃岐」でチェーン化狙う
「霧島黒豚の肉讃岐うどん」※麺量は3玉
「霧島黒豚の肉讃岐うどん」※麺量は3玉
廣瀬氏は、「価格を気にしながら注文するのではなく、安心してお腹いっぱい食べていただきたい」と説明する。

最も安い「かけうどん」は税込649円。看板商品の「国産牛煮込の肉讃岐うどん」は税込979円、「霧島黒豚の肉讃岐うどん」は税込869円で、4玉まで同価格となる。


客単価は約1000円を想定。物価高による節約志向が強まる中、“コスパ需要”の取り込みを狙う。

卓上には、山梨県の伝統的な調味料“すりだね”を使った「特製薫り七味」も用意。ごまの香りと鰹のうま味を効かせており、うどんを食べ進めながらの味変にもおすすめだという。
焼肉きんぐの物語コーポ、うどん市場参入 「4玉まで同価格」「フルサービス」「もっちり讃岐」でチェーン化狙う
卓上調味料の「塩(天ぷら用)」「七味唐辛子」「特製薫り七味」
卓上調味料の「塩(天ぷら用)」「七味唐辛子」「特製薫り七味」

■店内製麺・削りたて鰹節で“ライブ感”


4玉同価格を実現するため、同店では店内製麺を採用した。

店舗中央には大型の製麺室を設置。営業中も常時製麺を行い、出来立てを提供する。
焼肉きんぐの物語コーポ、うどん市場参入 「4玉まで同価格」「フルサービス」「もっちり讃岐」でチェーン化狙う
製麺室
製麺室
廣瀬氏は、「工場製麺だと物流費や包材費もかかる。店内製麺の方がコストを抑えられる」と話す。

また、店内入り口付近には鰹節を削る機械を設置。常時削り続けることで、“ライブ感”や香りの訴求につなげる。

鰹節は創業130年の老舗鰹節店から仕入れた粗節を使用。0.02mmの薄さに削ることで、ふわふわとした食感に仕上げている。
無料提供で、おかわりにも対応する。
焼肉きんぐの物語コーポ、うどん市場参入 「4玉まで同価格」「フルサービス」「もっちり讃岐」でチェーン化狙う
削りたての鰹節を提供する
削りたての鰹節を提供する
天ぷらは注文ごとに揚げたてで提供。「大海老天」(319円)は店舗で殻むきを行うなど、和食業態で培ったノウハウも生かす。

だしには、焼きあご、鰹節、宗田節、昆布、煮干しなど国産7種の素材を使用した。

■“肉に強い”物語コーポレーションらしさも


店名の「源次郎」には、同社創業店のおでん割烹「酒房源氏」から受け継ぐ“源”の文字を採用した。

現在も「丸源ラーメン」「しゃぶとかに 源氏総本店」など、同社の主要ブランドに使用されており、今回は“丸源ラーメンの弟分”という位置づけから、「肉讃岐 もっちりうどん源次郎」と名付けたという。

看板メニューの「霧島黒豚の肉讃岐うどん」を試食すると、霧島黒豚は口に入れた瞬間に甘みが広がった。さっと炊き上げることで、やわらかさと脂の旨味を引き出したという。

また、「国産牛煮込の肉讃岐うどん」に使う国産牛は2時間以上炊き上げており、しっとりとほぐれる食感と濃厚な旨味が印象的だった。

焼肉業態を展開してきた同社らしく、肉の存在感を前面に打ち出した商品設計となっている。
焼肉きんぐの物語コーポ、うどん市場参入 「4玉まで同価格」「フルサービス」「もっちり讃岐」でチェーン化狙う
国産牛煮込の肉讃岐うどん※麺量は2玉
国産牛煮込の肉讃岐うどん※麺量は2玉

■ロードサイド中心に展開へ 「チェーン化狙う」


廣瀬氏は、「将来的にはチェーン展開を進めたい」と意欲を示す。

出店はロードサイドを軸としつつ、将来的には都心型店舗も検討する。

今回の立地については、長年親しまれている外食チェーンが多いエリアであり、幅広い年齢層の利用が見込めることを評価したという。


近隣には丸亀製麺や資さんうどんもあり、「競争環境の中でどれだけ支持されるかを試したい」と話した。
焼肉きんぐの物語コーポ、うどん市場参入 「4玉まで同価格」「フルサービス」「もっちり讃岐」でチェーン化狙う
肉讃岐 もっちりうどん源次郎 座間相模が丘店
肉讃岐 もっちりうどん源次郎 座間相模が丘店
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