「無いなら作る」の精神 現代武者の悩みを解決する「瓢箪型ペッ...の画像はこちら >>


 「あったら良いのに無かったから作ったら、縁がつながって今じゃ販売されてる」


 クリエイターにとって、そんな夢のようなサクセスストーリーがXで大きな注目を集めています。投稿に添えられた写真に写っているのは、一見すると本物の瓢箪(ひょうたん)にしか見えない、武者向けの「瓢箪型ペットボトルホルダー」。

これは画期的……!



 アイデアを生み出したのは、関ケ原戦国甲冑館のPRボランティア「甲冑館行軍隊」に所属する藍(らん)さん。


 藍さんは週末になると関ケ原や彦根城などで甲冑を身にまとい、武者行列などのイベントに参加しています。10キロを超える重い甲冑を着て歩き、時には殺陣を行うこともある武者行列において、こまめな水分補給は文字通り命綱です。


 しかし、現代の象徴とも言えるペットボトルをそのまま持ち歩くのは、せっかくの戦国時代の世界観を壊してしまいます。そこで藍さんは2024年9月に開催されたイベント「甲冑まみれ大行軍」への参加に合わせ、市販のペットボトルホルダーに軽量粘土を肉付けして瓢箪の形に造形した自作のホルダーを制作しました。


「無いなら作る」の精神 現代武者の悩みを解決する「瓢箪型ペットボトルホルダー」が商品化されるまで
藍さんの自作ホルダー


 「ペットボトルを見えない形で携行でき、武者が持っていても違和感のない小道具を」というコンセプトから生まれたこのアイテム。水筒のように毎回容器を洗浄する手間がなく、市販のペットボトルを中に入れるだけで手軽に持ち歩けるという実用性の高さも兼ね備えた優れものです。


 ところが、保冷機能付きの金属製ホルダーを基礎にしていたため、500mlの飲料を入れると総重量が1キロを超えてしまうという「重さ」が課題として残りました。


「無いなら作る」の精神 現代武者の悩みを解決する「瓢箪型ペットボトルホルダー」が商品化されるまで
「重さ」が課題として残ることに

■ 運命の出会いと3Dプリンターによる劇的な進化

 そんな課題を抱えていた藍さんに転機が訪れたのは、イベント当日のことでした。会場にて、3Dプリンターを駆使して武具制作を行っている「(自称)見習 鉄砲鍛冶」さんと交流する機会を得たのです。


 藍さんの自作ホルダーを見た鉄砲鍛冶さんは、「構造はそのままに、3Dプリンターの樹脂製にすればかなり軽量化できそうですが、作ってみて良いですか?」と提案。藍さんが「ぜひ!」と即答したことから、夢の商品化プロジェクトが動き出しました。


 鉄砲鍛冶さんの協力のもと、一から3Dデータとして設計を構築し、わずか1か月後には軽量化と量産化を可能にした3Dプリンター製の瓢箪型ペットボトルホルダーを完成させました。


「無いなら作る」の精神 現代武者の悩みを解決する「瓢箪型ペットボトルホルダー」が商品化されるまで
2つの瓢箪型ペットボトルホルダー

■ 個人の熱意と運命的な出会いが生んだ商品化

 藍さんの「ぜひ関ケ原戦国甲冑館さんで販売してください」という提案も実を結び、現在この3Dプリンター製のホルダーは関ケ原戦国甲冑館の公式グッズとして実際に販売されています。


「無いなら作る」の精神 現代武者の悩みを解決する「瓢箪型ペットボトルホルダー」が商品化されるまで
関ケ原戦国甲冑館の公式グッズとして実際に販売中


「無いなら作る」の精神 現代武者の悩みを解決する「瓢箪型ペットボトルホルダー」が商品化されるまで
関ケ原戦国甲冑館の公式グッズとして実際に販売中


 「無いなら作る」という個人の熱意と創意工夫が、イベントでの運命的な出会いと技術的サポートを得て、公式グッズとしての一般販売にまで至るという見事な連携プレイ。


 時代背景を壊さずに現代の利便性を享受したいという、多くの甲冑武者たちの切実な悩みを解決したこの瓢箪型ペットボトルホルダーは、ものづくりの情熱と人との縁がもたらした素晴らしい成果として、これからも全国の合戦イベントで活躍しそうです。


「無いなら作る」の精神 現代武者の悩みを解決する「瓢箪型ペットボトルホルダー」が商品化されるまで
瓢箪型ペットボトルホルダー


<記事化協力>
藍さん(@sisiriann)


(山口弘剛)

Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By 山口 弘剛‌ | 記事元URL https://otakuma.net/archives/2026042602.html
編集部おすすめ