児童養護施設・乳児院をはじめとする社会的養護施設には、家庭での虐待や経済的問題、親の養育困難などさまざまな事情を抱えて入所する子どもたちが暮らしている。本来は一人一人と十分に関わり、適切なケアが必要だが、施設によっては10人以上の子を1人の職員で見なければならない時間帯が大半を占めるなど、圧倒的な人材不足に陥っているという。

 社会的養護総合情報サイト「チャボナビ」の運営などを行う「特定非営利活動法人チャイボラ」(東京)は、児童福祉の仕事に少しでも興味を持つ人を対象に「児童養護施設などのオンライン見学フェア」を開催する。ビデオ会議アプリ「Zoom」を使用し、全国を6つの地域に分けて合計6回開催、全国から107の施設が参加する予定。

 施設側は人材を確保したいと思いつつも、子どもへの危害を恐れて閉鎖的になりやすいといった業界の特殊性もあり、ホームページすらない施設も多く、採用活動に関する情報発信が十分にないという問題を抱えているという。社会的養護施設における人材不足解消を実現させるため、今年度も「児童養護施設などのオンライン見学フェア」を実施する。

 昨年度から30施設増の、全国107施設が参加。児童養護施設・乳児院・自立援助ホーム・母子生活支援施設・児童自立支援施設・児童心理治療施設といった社会的養護の6施設種別がすべて参加。

施設種別と地域の垣根を越えて一度に見ることができる貴重な機会を提供する。

 オンライン見学は、3回のブレイクアウトルーム(Zoomで参加者を少人数のグループに分けてミーティングを行える機能)で、複数の施設から説明を聞ける構成。昨年度参加した求職者の「もう少し多くの施設の話が聞きたかった」という声を受け、今年度はいろいろな施設の説明を自由に聞いて回ることができるパートを追加。たくさんの求職者と接点を持ちたい施設と、より多くの施設の話を聞いてみたい求職者、それぞれのニーズに応える形にバージョンアップしている。限られた時間内で施設の魅力が求職者にしっかり伝わるように、施設に対してチャイボラがプレゼンテーション用のテンプレートの提供、内容のアドバイスや添削などのサポートを行う。

 日程と申込締め切り日は以下の通り。

オンライン見学フェアの詳細・申し込みは、チャイボラホームページの同フェア紹介ページに掲載している。

■北海道・東北:5月12日(日)10時~12時30分、5月11日(土)18時申し込み締め切り

■関東・甲信越:5月19日(日)10時~12時30分、5月18日(土)18時申し込み締め切り

■東京:5月19日(日)14時~16時30分、5月18日(土)18時申し込み締め切り

■東海・北陸:5月11日(土)13時~15時30分、5月10日(金)18時申し込み締め切り

■近畿・中国・四国:5月18日(土)13時~15時30分、5月17日(金)18時申し込み締め切り■九州・沖縄:5月12日(日)14時~16時30分、5月11日(土)18時申し込み締め切り

 昨年度参加した求職者からは、「児童養護施設の情報などをどこから収集したらよいかまったく分からなかったので、今回お話を聞くことができてよかった」「ホームページなどでは得ることのできない情報を得られた」「オンラインだったため、自宅から他県の話を聞くことができてよかった」などの声が寄せられている。また、参加施設からは、「オンラインでの見学会は実施したことはありませんでしたが、チャイボラさんのサポートがあったことで挑戦することができました」「チャイボラさんのアドバイスで、自分たちの施設の魅力を整理して伝える資料を作ることができました」などの声が寄せられているという。