9月19日に発売する新型iPhoneは買うべきか否か。ジャーナリストの石川温さんは「迷っている人は、今使っているスマホのバッテリーの最大容量を見てほしい。
かなり減っている人は検討すべきだろう。型落ちでもよいが、AIシステムが内蔵されている機種をすすめる」という――。
■ジャーナリストが指南する買い替えの基準
9月19日に新しいiPhoneが発売となります。「iPhone 17シリーズ」が無印、Pro、Pro MAXの3モデル、それとは別にiPhone Airという新しいカテゴリーが生まれました。
昨年9月に発売されたiPhone 16シリーズは無印、Plus、Pro、Pro Maxという4モデルでしたが、今年はPlusが廃止。今回超薄型のiPhoneが出来上がったことで、従来のシリーズから独立させてラインナップに組み込まれています。
新製品の発表を受けて、既に買い替えを予定している人もいると思います。
「とりあえず、今使っているバッテリーがヘタってきているから買い換えたい」という、こだわりのない人はiPhone 17。
「写真やSNSを徹底的に頑張りたい」という人はiPhone 17 ProもしくはiPhone 17 Pro Max。
「写真は撮ることができさえすればいい。それよりも目新しさや携帯性を重視」という人はiPhone Air。
このような基準で選ぶのがオススメです。

■iPhone Airの薄さは問題ないのか
今回の目玉であるiPhone Airはどこが魅力なのでしょうか。
iPhone 17の厚みが7.95mmであるのに対して、iPhone Airは5.6mmと圧倒的な薄さを誇っています。
実際に発表会で触ってきましたが、その薄さには本当に驚きました。薄くて軽いので、ワイシャツの胸ポケットに入れても「だらん」とすることはないでしょう。
アップルはスマートフォンに必要な部品を極力なくし、チップを自社で開発して電力効率を上げるといった努力することで、薄型化に成功しました。これまでスマートフォンは巨大化の一途をたどってきましたが、まったく逆の流れです。
ただ、残念ながらカメラが一つしかないため、写真を撮る機会が多い人には不向きです。
iPhone Airの薄さは、手に取ると「曲がって折れそう」と不安になるほどです。ただ、アップルは十分に耐久テストを行ったうえで製品化しているため、相当な強度を誇っています。
実際、手で折り曲げようとしてもビクともしません。ズボンの尻ポケットに入れて、大きな負荷をかけてしまっても、折れることのない耐久性を誇っています。
既にiPhone Airを曲げる動画も出回っています。
見てみると、かなりの力をかけて手で曲げるとたわみ、また元に戻るようになっていることがわかります。ある程度しなやかに曲がる設計にすることで、力が分散するようになっているみたいです。
■バッテリー容量が増えたワケ
ハイエンドモデルのiPhone 17 ProとiPhone 17 Pro Maxはアルミニウムボディで高い質感を誇ります。カメラは3つで、今回から最大8倍の光学ズームに対応しました。
動画もハイクオリティで撮影できる画質や仕様が盛り込まれており、文字通りプロ向けとなっています。
一方で、一般的な人が使うには明らかにオーバースペックです。価格は256GBの容量でiPhone 17 Proが17万9800円、iPhone 17 Pro Maxは19万4800円もします。
普段からSNSに写真、動画をアップしているインフルエンサーや、お金に余裕があって「一番いいiPhoneが欲しい」という人向けと言えるでしょう。
ちなみにこの2モデルの違いは主に画面サイズで、iPhone 17 Proが6.3インチ、iPhone 17 Pro Maxは6.9インチとなっています。
また、今回国内で発売されるiPhoneはすべてeSIMのみの対応になりました。
これまでは携帯電話会社との契約情報や電話番号などは「SIMカード」という、小指の先に乗るぐらいの小さなICチップカードに記録されたものがiPhoneのなかに入っていました。
iPhone 17シリーズとiPhone Airでは、物理的なSIMカードが廃止され、契約情報や電話番号などはeSIMに記録するようになります。

SIMカードを収納するスペースがなくなった分、iPhone Airでは薄型化を達成。iPhone 17 ProやiPhone 17 Pro Maxではバッテリー容量を増やし、使用時間を延ばすことができるようになっています。
■「Apple Care+」は入るべきか否か
iPhoneを購入する際、「Apple Care+」「Apple Care+盗難・紛失プラン」という保証サービスを契約するかどうかを選べます。iPhone 17の場合、Apple Care+は月額1180円、Apple Care+盗難・紛失プランだと月額1340円かかります。
決して安くはありません。ただ、万が一画面を損傷してしまった場合、Apple Care+に入っていれば通常4万~5万円する修理代金が1回につき3700円になるなど、メリットは大きいです。
特にオススメはApple Care+盗難・紛失プランです。万が一紛失したり、盗難に遭ったりした場合でも、年に2回まで一定の自己負担(1万2900円)で同等品をすぐに受け取ることができます。
iPhoneに関して、あれこれ相談してから購入したいというのであれば、アップル直営店がオススメです。関東圏には銀座、丸の内、新宿、渋谷、表参道、川崎にあります。関西圏は梅田、心斎橋、京都、あとは名古屋栄と福岡で全11店舗です。
実はアップル直営店でもNTTドコモやau、ソフトバンク、楽天モバイルの契約を受け付けられる設備やスタッフが存在しており、料金プランや分割などキャリアに関することを相談しながらiPhoneを購入することができます。
ちなみに、一括だけでなく分割での支払いにも対応します。
■あえての型落ちモデルでもOK
「月々の端末代金を抑えたい」のであれば、NTTドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイルといったキャリアでの購入をお勧めします。端末代金を24回や36回、48回といった支払い回数に分けることが可能です。また、1~2年間端末代金を支払い続けた後の残債を支払うことなく、新しい機種に買い替えられるプログラムがあります。
ただ、こうしたキャリアが用意するプログラムは、1年や2年というタイミングできっちりと買い替え続けないと、損する場合があります。
「3、4年は使うつもり」であればアップル、1年もしくは2年ごとに新しい機種に乗り換えていくならキャリアの端末購入補助プログラムを活用するといいでしょう。
iPhoneはリセールバリューの高い製品ですので、いま使っているiPhoneは下取りや買い取り業者に売るなどしましょう。数年前のiPhoneであっても数万円で買い取ってくれることが多いです。
今回発売になるモデルで最も安いのはiPhone 17の256GBモデルで、12万9800円です。「ちょっと高いな」と思うなら、型落ちのiPhoneをオススメします。
去年発売したiPhone 16は容量が128GBと小さくなりますが、11万4800円に値下げされています
またこの春に出たばかりのエントリーモデルiPhone 16eであれば、128GBで9万9800円と10万円を切ります。
キャリアで購入する場合、これら以外の型落ちiPhoneもそろっており、割引と組み合わせるとさらに安くなります。

■アップルインテリジェンスが使える機種がいい
スマホの買い替えを予定していたものの、今回発表されたiPhone 17やiPhone Airに魅力を感じなかった人は、型落ちでも十分です。ただ、今後、進化するであろうAI機能であるApple Intelligenceが使える機種(iPhone 15 Pro以降)を選んでおくといいと思います。
また、最近では中古スマホ市場も拡大してきました。国内のスマートフォン販売台数は年間3000万台程度といわれています。中古スマホは300万台程度といわれており、ようやく1割程度までになりました。
iPhoneは製品寿命が長いため、この秋に配布された最新OSであるiOS 26は、6年前に発売されたiPhone 11シリーズでも使うことができます。
中古のiPhoneを購入する場合は、「電池残量がどれだけ残っているか」をしっかり確認しましょう。電池残量はiPhoneで「設定」→「バッテリー」→「バッテリーの状態」→「最大容量」をたどっていくと表示されます。
「最大容量」のページでは、バッテリーが経年劣化していくなかで、新品時と比べてどれだけの容量が残っているかが判るようになっています。これが80%を切るような中古iPhoneは買わないのが賢明です。
まとめると、iPhoneの買い替えを検討するのはやはり「バッテリーが持たない」という場合でしょう。スマートフォンのバッテリーは2~3年使っていると急に減りやすくなると言われています。

いま、iPhone 13シリーズやiPhone 14シリーズを使っている人は要検討ではないでしょうか。とくに、バッテリーの最大容量を見て、80%に近づいているようであれば買い替えをオススメします。

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石川 温(いしかわ・つつむ)

ジャーナリスト

1998年、日経ホーム出版社(現日経BP社)に入社後、月刊誌『日経トレンディ』編集記者に。2003年に独立。携帯電話を中心に国内外のモバイル業界を取材し、テレビ、雑誌で幅広く活躍。

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(ジャーナリスト 石川 温)
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