※本稿は、牧田善二『腎臓 人工透析にさせない最強の医療・食べ方』(三笠書房)の一部を再編集したものです。
■腎臓病は恐ろしいが早期発見すれば回復する
厚生労働省の2020年のデータだと60歳での平均余命は、男性21.98年、女性27.49年であるのに対し、透析をしている患者さんの場合、男性12.30年、女性14.30年と、ほぼ半分に落ちてしまいます。実際に、透析に入って5年以内に40パーセントの患者さんが亡くなります。
さて、このように、冒頭からネガティブなことを述べたのは、あなたに一刻も早くポジティブな選択をしてほしいからです。腎臓病はがんよりも深刻な一面はあるけれど、早期に見つけて正しく対処すればよくなります。そしてその方法は、本書(『腎臓 人工透析にさせない最強の医療・食べ方』)に書いてあります。
だから、安心してこの先を読み進めてください。
腎臓病には、急性腎臓病と慢性腎臓病があります。
熱中症による脱水、尿路結石、細菌やウイルス感染など、特殊な原因によって急激に症状が進む急性腎臓病は、その原因を取り除けば治癒が見込めるので、さほど重要な課題ではありません。
問題は、早期にはまったく症状がないため発見が難しく、気づいたときには多くの人が手遅れになってしまう慢性腎臓病です。「手遅れ」とは、透析に入るしか手立てがなく、その後、5年ほどの余命に陥ってしまうことです。
■原因は違っても、治療は同じ
慢性腎臓病にはもともと、糖尿病性腎症、慢性糸球体腎炎など、原因によっていろいろな病名がつけられ、進行した状態は慢性腎不全と呼ばれていました。
しかし、近年では、腎障害の存在と糸球体濾過量(GFR=Glomerular Filtration Rate)というものに基づき、慢性腎臓病(CKD=Chronic Kidney Disease)として包括的に捉えるようになりました。
たとえば、糖尿病の患者さんが腎臓を悪くしたときに、単純に糖尿病の合併症だけが原因なのか、高血圧などほかの原因も関わっているのかを明確にし、細かく「病名」をつけるためには、背中から細い針を刺して腎臓の組織を採取する、「腎生検」という危険な検査が必要です。
しかし、「そうまでして細かい病名をつけることに意味があるのか」というと、答えは「NO」です。原因はなんであれ、「腎臓が悪くなっている」という重大な事実があり、それに対して行なうべき治療は同じだからです。
だとしたら、できるだけ包括的に捉えたほうが一般の方に周知する意味でもわかりやすいし、行政での取り組みも効率的に行なえます。実際に、2020年からACジャパンが慢性腎臓病についてテレビで公共広告を始めました。
これは公益財団法人日本腎臓財団による啓蒙活動のひとつです。なお、これ以降、本稿では単純に「腎臓病」と記しますが、それは慢性腎臓病のことだと思ってください。
■国の動きにまかせていたら間に合わない
ちなみに、こうした啓蒙活動がなされる背景には、次のような要素があります。
・透析を必要とする末期腎不全患者が増加し、医療費を圧迫している
・腎臓病は腎不全だけでなく、心疾患のリスクも有意に上げる
・腎臓病の患者さんが、これからも増加すると考えられる
・早期発見によって、進行を抑制したり治療したりすることも可能である
こうしたことが明確になって、医療界を含め社会全体で対策を立てていこうという動きが出てきたわけです。ただ、そうした国の動きにまかせていたら間に合わなくなってしまいます。
これほど医療が発達し、皆保険制度という恵まれた環境が整った日本において、治すことが非常に難しい病気が腎臓病。
現在、その腎臓病の患者さんが激増しています。世界的に有名な医学誌『ランセット』が2020年に発表したデータでは、2017年段階の日本人の腎臓病患者は2100万人。
成人の5人に1人が腎臓病だという計算になります。これは、糖尿病の1000万人よりずっと多く、まさに「国民病」ともいうべき事態です。
■「いつもの健康診断じゃ見つからない」
がんは、一生のうちに2人に1人が罹る病気になっていますが、早期発見・早期治療で治る人もうんと増えています。早期発見できるのは、「がんは怖いから」と、多くの人が理解して検査を受けているからでしょう。
しかし、腎臓病は、よほど本人の意識が高くないと早期発見できません。今の健康診断システムにまかせていたらできません。
その証拠に、日本には、現在約35万人の透析患者さんがいます。そして、毎年約4万人が新たに透析になり、約4万人が毎年亡くなっています。
この事実は、すでに危機的状況にある日本の医療制度を圧迫しています。
厚生労働省は、2028年までに、新たに透析に入る患者さんが年3万5000人以下になるようにという目標を掲げていますが、難しい状況といわねばなりません。
こうした国の事情もさることながら、私は医師として、透析に入って苦しむ患者さんを一人でも減らしたいと願って本書を書いています。
■死因ランキング8位の死を招く「ラスボス」
厚生労働省が発表している日本人の死亡原因は、2023年時点で、1位がん、2位心疾患、3位老衰、4位脳血管障害……と図表1のグラフのようになります。また、肺炎と誤嚥性肺炎を合わせれば、脳血管障害よりも多くなるのがわかるでしょう。
2023年は、パンデミックを起こした新型コロナウイルス感染症が8位に入っていますが、こうした特別な事情がない限り、たいてい、不慮の事故に続くのは腎不全です。
腎不全は、いつの年も、8位前後をうろうろしています。
この年の場合、がんの24.3パーセントに対し、腎不全は1.9パーセント。この数字だけ見ると、あまり深刻な病気ではないと感じるかもしれません。
しかし、腎臓病があると、心筋梗塞、脳卒中、がんなどあらゆる病気に罹りやすく、その進行も速めることがわかっています。すなわち、腎臓病の末期症状である腎不全になる前に、ほかの病気で命を落としている可能性が高いのです。
■密かにあらゆる病気の死亡率を上げている
腎臓病があると死亡率は平均で4倍アップすることが、実際にわかっています。軽度の腎障害でも死亡率に影響し、腎臓病が重症になるほど数字は上がり、最大で5.9倍にまでなります。
また、腎臓病は、感染症のリスクも高めます。新型コロナウイルス感染症が流行したときに、高齢者と持病のある人は重症化しやすいことが指摘されました。持病のなかでも、最も憂慮すべきは腎臓病でした。
とくに、透析者で死亡率が高く、日本透析医学会が示したデータによれば、一般的な死亡率が1.9パーセントだった時点で、透析者では14.2パーセントにも上りました。
このように、腎臓病は健康寿命を損なう最悪の疾患といえるのですが、がんや心疾患などと比較して“地味”なため、危機感を抱かないままに放置されているのが現状なのです。
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牧田 善二(まきた・ぜんじ)
AGE牧田クリニック院長
1979年、北海道大学医学部卒業。地域医療に従事した後、ニューヨークのロックフェラー大学医生化学講座などで、糖尿病合併症の原因として注目されているAGEの研究を約5年間行う。この間、血中AGEの測定法を世界で初めて開発し、「The New England Journal of Medicine」「Science」「THE LANCET」等のトップジャーナルにAGEに関する論文を筆頭著者として発表。1996年より北海道大学医学部講師、2000年より久留米大学医学部教授を歴任。
2003年より、糖尿病をはじめとする生活習慣病、肥満治療のための「AGE牧田クリニック」を東京・銀座で開業。世界アンチエイジング学会に所属し、エイジングケアやダイエットの分野でも活躍、これまでに延べ20万人以上の患者を診ている。
著書に『医者が教える食事術 最強の教科書』(ダイヤモンド社)、『糖質オフのやせる作おき』(新星出版社)、『糖尿病専門医にまかせなさい』(文春文庫)、『日本人の9割が誤解している糖質制限』(ベスト新書)、『人間ドックの9割は間違い』(幻冬舎新書)他、多数。
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(AGE牧田クリニック院長 牧田 善二)

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