腎臓病から身を守るための医者選びはどうすればいいか。医師の牧田善二さんは「腎機能が落ちていることがわかったら、透析を避けられる医師を選ばなければならない。
『いずれ透析になるかもしれないけど、いつかはわからない』などと答える医師は、あなたの腎臓を治す技術を持っていない」という――。
※本稿は、牧田善二『腎臓 人工透析にさせない最強の医療・食べ方』(三笠書房)の一部を再編集したものです。
■治療できない、こんな医療からは逃げなさい
同業者である私がこんなことを言うのもなんですが、医師選びは本当に大事です。とくに、腎臓病から自分を守るためには、2つの側面で医師選びが必須になります。
まず、あなたの腎臓の状態を正確に知るための医師を選ばなければなりません。
基本的に、腎臓の検査としてよく用いられる、血清クレアチニンや尿タンパクは、早期発見に適していません。大事なのは尿アルブミン検査です。
とくに、糖尿病性腎症(糖尿病の合併症としての腎臓病)では早くから尿アルブミン値に異常が出ます。だから、糖尿病がある人はもちろん、その危険因子である高血圧、肥満などの生活習慣病があれば、なおさら早くから尿アルブミン検査を受ける必要があります。しかし、おそらく、受けていない患者さんが多いでしょう。
その場合、主治医に「尿アルブミン検査をしてほしい」と訴えてください。それに対して、「そんな検査は必要ないですよ」「血清クレアチニンが正常だから大丈夫ですよ」などと否定的な態度を示すなら、その医師は腎臓病の正しい知識を持ち合わせていません。

たとえ、知識がなかったとしても、謙虚に学ぶ気持ちがあれば、患者さんからリクエストされたことに対して自ら急いで調べ、尿アルブミン検査の重要性に気づくはずです。
しかし、それをせず端から否定してきたなら、医療機関を変えましょう。なぜなら、その医師のもとで、あなたは早期に腎臓病を発見することはできないからです。
■「いずれ透析になるかも……」は要注意
次に、腎機能が落ちていることがわかったら、透析を避けられる医師を選ばなければなりません。ここで腎臓のことをよく知らない内科医にかかっていたら、いずれ透析は避けられません。
腎機能が落ちていても、最初のうちは自覚症状がありません。自覚症状がない状態で、医師から「検査をしながら様子を見ましょう」と言われたら、それで大丈夫だと思ってしまうでしょう。
しかし、様子を見るということは「悪化していく様子を見る」ということであって、快方に向かう可能性はありません。
このとき、あなたが医師に強く問わなければならないのは、「私を透析にならないように救えるか」です。
その問いに対して、「いずれ透析になるかもしれないけど、いつかはわからない」などと答えたならば、その医師は、あなたの腎臓を治す技術を持っていません。
とはいえ、腎臓病専門医でなければ、それが正直な答えでもあります。一般的な内科医に、腎臓病の治療は無理です。
だから、腎機能が低下しているとわかったら、頼りになる腎臓病専門医を探さなければならないのです。
もちろん、今かかっている病院で、腎臓病専門医に紹介状を書いてもらえたらベストです。しかし、それがなくても大丈夫。インターネットで調べ、腎臓病専門医のいる病院を訪ねましょう。
■造影剤を軽い気持ちで使わない
CTやMRIなどで画像撮影を行なうときに、より確実に診断を下すために造影剤を使うことがあります。ただし、医療機関が勝手に造影剤を用いることはできず、患者さんの承諾を得なければなりません。
というのも、造影剤にはリスクがあるからです。なかでも、「造影剤腎症」という言葉があるくらい、腎臓に悪い影響を与えるタイプのものがあります。
ただ、造影剤自体は優れた薬剤で、使用することでがんの早期発見率も高まります。とくに、膵臓がんのような見つかりにくいがんには有効です。
また、普通はCTやMRIの撮影で使用する量は少しですから、腎臓が悪くない人に対して、医師が注意して使う分には問題はありません。
一方で、腎臓が弱っている患者さんが使うとかなり悪影響を受けるため、そうした患者さんには、造影剤の使用前と使用後に大量の点滴をして造影剤を速やかに洗い流すという方法が取られます。

このときも、患者さん自身が「自分の腎臓が悪いかどうかわかっていること」が非常に重要であり、同時に医師の側にも知識と技術が求められます。
画像診断医としては、病気を見逃したくないから、造影剤を使うことを望みます。患者さんとしても、「どうせ検査を受けるなら、より正確にわかるほうがいい」と、使用を迷うことなく承諾しがちです。
しかし、腎臓が心配な人は、安易に受けないよう注意が必要です。もし、どうしても受けなければならない場合、前後に必ず尿アルブミンの検査をし、腎機能に変化がないか確認してください。
■心臓カテーテルは名医に限る
造影剤の使用に関して、CTやMRIの撮影よりも心配なのが、心臓カテーテルなどの医療処置です。
心臓カテーテルでは、細い管を太ももの付け根や腕などの血管に挿入し、造影剤を流して画面に映る様子を見ながら血管内の治療を行ないます。
腕のいい医師なら短時間ですむため、使う造影剤も少量ですみます。
しかし、ぐずぐずしていると、どうしても造影剤をたくさん使うことになり、腎臓にかなりの悪影響を与えます。
私のクリニックにも、ほかの医療機関で造影剤を使った治療を受けたとたん、それまで30くらいでとどまっていた尿アルブミン値が、一気に2000を超えた患者さんがいました。
早く気づいて薬で治療したため大事には至りませんでしたが、そのまま放置していたら大変なことになっていたはずです。
危ないことに、こうした造影剤の腎機能への影響は、すぐに目に見える形で現れません。
使用の前とあとに尿アルブミンを測定していなければ、わからないケースがほとんどです。
そのため、医師は自分の治療によって患者さんが腎臓を悪くしているとは夢にも思わず、それを続けてしまうのです。
■解熱鎮痛剤の服用、1週間以上は危険
「薬剤性腎障害」という言葉があるように、腎臓に悪影響を与える薬が多く存在します。なかでも、気づかずに服用してしまいがちなのが、ロキソニン、ボルタレン、インダシンなどの解熱鎮痛剤です。
これらは、「エヌセイズ(NSAIDs=Non-Steroidal-Anti Inflammatory Drugs)」と呼ばれ、高熱が出たときや、痛みが強いときに、よく処方されます。
非常に多くの種類の薬剤が出回っていて、ドラッグストアで手に入るものもあり、たいていの人が気軽に使っているはずです。
たしかに、エヌセイズは解熱鎮痛効果に優れているのですが、これらの薬は思いのほか腎臓を悪くします。
そして、そのことを知らない医療関係者が多いのです。
■腰痛、関節痛持ちはこの処方薬に注意
とくに、腰痛、関節痛などを治療する整形外科分野では、エヌセイズが長期間にわたって処方されます。しかし、「医師が処方してくれたのだから大丈夫」と、疑いなく飲み続けていると、大事な腎臓を守れません。
もちろん、本当に必要なときにレスキューとして飲むなら構いません。問題は、長引く痛みのために、1週間を超えて服用してしまうようなケースです。

長期にわたって解熱鎮痛剤が必要なときは、エヌセイズ以外の薬を処方してもらうように、医師に相談してください。
なお、血液を通さず、皮膚から薬効成分を取り込む貼り薬の場合、腎臓に影響は与えません。貼り薬で対応できるなら、そちらを選びましょう。
主なエヌセイズの一覧を以下に挙げておきます。

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牧田 善二(まきた・ぜんじ)

AGE牧田クリニック院長

1979年、北海道大学医学部卒業。地域医療に従事した後、ニューヨークのロックフェラー大学医生化学講座などで、糖尿病合併症の原因として注目されているAGEの研究を約5年間行う。この間、血中AGEの測定法を世界で初めて開発し、「The New England Journal of Medicine」「Science」「THE LANCET」等のトップジャーナルにAGEに関する論文を筆頭著者として発表。1996年より北海道大学医学部講師、2000年より久留米大学医学部教授を歴任。
2003年より、糖尿病をはじめとする生活習慣病、肥満治療のための「AGE牧田クリニック」を東京・銀座で開業。世界アンチエイジング学会に所属し、エイジングケアやダイエットの分野でも活躍、これまでに延べ20万人以上の患者を診ている。
著書に『医者が教える食事術 最強の教科書』(ダイヤモンド社)、『糖質オフのやせる作おき』(新星出版社)、『糖尿病専門医にまかせなさい』(文春文庫)、『日本人の9割が誤解している糖質制限』(ベスト新書)、『人間ドックの9割は間違い』(幻冬舎新書)他、多数。 雑誌、テレビにも出演多数。


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(AGE牧田クリニック院長 牧田 善二)
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