※本稿は、橘玲、大橋弘祐『難しいことはわかりませんが、1億円貯める方法を教えてください!』(文響社)の一部を再編集したものです。
■宝くじは「愚か者の税金」である
【橘】では、まず宝くじの話からしましょう。大橋さんは宝くじは買いますか?
【大橋】僕は買ってないですね。
なんか、宝くじを買うのって損なんですよね。僕もそこまで情弱じゃないんで!
【橘】大橋さんの言うとおり、宝くじの購入代金のうち賞金に使われるのは半分だけで、残りの半分が経費(手数料)です。つまり最初から経費として50%が引かれています。
インデックスファンドの手数料が年間0.1%未満なのを考えると、これがいかに高いかがわかります。
ちなみに、宝くじの経費分は地方自治体に分配され、防災対策や公園整備、社会福祉施設の建設や改修などに使われています(図表1)。そのため、宝くじは「愚か者の税金」と呼ばれています。
一方でラスベガスのルーレットの還元率は95%(経費率は5%)、カジノでもっとも人気のあるバカラは99%(経費率は1%)、競馬などの公営競技でも75%(経費率は25%)です。
世界的にバカラが人気があるのは経費率が低いという理由があり、宝くじの経費率(約50%)は世界トップレベルのぼったくりギャンブルなのです。
■1等が当たる確率は「交通事故死の1/400」
【大橋】ギャンブル別の経費率を聞くと、いかに宝くじの経費が高いかがわかりますね。
【橘】経費率が高い一方で、宝くじで1等が当たる確率は交通事故死の400分の1以下。ということは、宝くじを12万円分買って、ようやく1年以内に交通事故で死ぬ確率と同じです。
【大橋】12万円分買って、交通事故と一緒……。どう思っていいのかわかりません……。
【橘】余談ですが、宝くじの1等の当選金額は、かつては1億円でした。
しかし、2006年にBIG(サッカーくじ)が当せん金の最高額を6億円に引き上げると、宝くじは売り上げが頭打ちとなり、その対抗策として1等の当選額を7億円にあげたのです。
宝くじを運営する日本宝くじ協会は総務省所管の財団法人、それに対してサッカーくじを運営するのは文部科学省の外郭団体です。宝くじの賞金がどんどん高くなるのは、省庁間の利権争いの結果です。
【大橋】宝くじを売ろうとする側も必死なんですね……。
【橘】もちろん、賞金額が大きいからといって顧客が有利になるわけではありません。くじの購入代金の半分が最初に没収されてしまうことに変わりなく、当選確率が低くなるだけです。
■保険と宝くじは「同じ仕組み」
【橘】では保険の話に入りましょう。大橋さんは保険に入ってますか?
【大橋】がん保険に入ろうと思っています。父親ががんになったとき、交通費や個室代とかで、ものすごく金がかかったんですよ。
あと、子どもはいないのですが、僕が死んだら親がかわいそうなので、墓代と葬式代くらいになるように生命保険も見討しています。
【橘】がん保険と生命保険に入ろうとしているということですね。
少し考えたほうがいいでしょう。保険は宝くじと同じですから。
【大橋】保険が宝くじと同じとは、どういうことでしょう?
【橘】宝くじは、自分で買った宝くじの番号と、抽選会で決まる当選番号が一致していれば、当選となり、お金が入ってきますよね。
一方で保険の場合、死んでしまったり、病気になったり、車にはねられたり、家が火事で焼けたりなど、ひどい目にあったときに「当選」して、「賞金」がもらえます。
【大橋】家が火事になったら当選って……。
■大手生保が「保険の原価」を隠すワケ
【橘】ここで言いたいのは、宝くじも保険も同じ仕組みだということです(図表2)。
その仕組みをお金儲けに使えばギャンブルですし、リスクヘッジに使えば保険になる、という違いしかないのです。
さらに、保険と宝くじは仕組みが同じというだけでなく、経費率の高さも同じです。先ほど、宝くじの経費率が50%とお話ししましたが、期間10年の定期保険では手数料率が6割を超えると言われているものもあり、宝くじより割の悪い“ギャンブル”です。
しかも、日本の大手生命保険会社は、驚くべきことに、これまで保険の原価を企業秘密としていっさい公表していません(ライフネット生命がはじめて公開しました)。
隠さなければならない理由は、保険会社の手数料がものすごく高いからです。高い理由は、保険外交員を大量に雇って訪問営業する販売方法にコストがかかりすぎるからです。
【大橋】たしかに、僕の勤務先のオフィスにも外交員の方がよく来ていて、昼休みにエレベーターホールに立って営業していますね。
【橘】他にも、テレビなどで派手な宣伝をしていて、その分広告宣伝費が保険料に上乗せされるので割高になります。
そのため、多くの場合、損をするわけですから、どうしても加入しなければならないのか、十分検討するべきです。
もし保険に入るとしても、対面販売をしないネット保険や共済保険は、その分だけ保険料が安いので、その中から自分に適した商品を探すほうが良いでしょう。
■貯蓄型保険は「お得感」を演出しているだけ
【大橋】先生、保険の経費率の高さを否定してますが、貯蓄型保険ならいいんじゃないですか? 減らないで、さらに保険の機能がついてるんだから。
貯蓄型保険
保障を得ながら貯蓄もできる保険。万一のときに保障があるだけでなく、満期時や解約時には、お金が受け取れる。
【橘】「貯蓄型保険で資産形成を始めました」というのは、「宝くじで貯金しています」と言っているのと同じですね。貯蓄型保険であっても宝くじですから。
【大橋】どうして貯蓄型保険も宝くじなんですか? 何もなかったら、払った分が戻ってくるんですよ。宝くじとは違うじゃないですか?
【橘】貯蓄型保険とは、何かあったときに保障してもらう「保険」(=宝くじ)と、お金を増やす「投資商品」が組み合わさったものです。
「保険」の部分については、貯蓄型保険であっても、先ほども言ったとおり、経費率が非常に高いです(図表3)。
【大橋】でも、僕が加入を検討している貯蓄型保険は0.5%くらいの金利がつくらしいですよ。
銀行に預けているより金利が高いし、さらに保険の機能もついているのだから得じゃないですか?
■株式インデックス投資の方がよほど効果的
【橘】保険会社も自分のところの商品を魅力的に見せなければならないのでいろいろ努力しているでしょうが、いまでは元本保証の「個人向け国債」でも金利が1%を超えています。利回り0.5%がけっして有利というわけではありません。
そのうえ長期のデータでは、保険による貯蓄は株式のインデックス投資のパフォーマンスを大きく下回っていて、さらに途中解約できないので、何十年も資金を拘束されます。
※貯蓄型保険は、お金が必要になったときに、現金化するとペナルティが発生しますが、インデックスファンドならいつでも売れて現金にできます。
【橘】さらに、投資性の高いものだと「貯蓄」の部分からも、年間1.5~2%程度の手数料が徴収されています。
インデックスファンドの手数料が0.1%以下だったことを思い出してください。
このように保険会社は、「損をしたくない」という人間の心理を利用して、「お得感」を出し、ふたつの保険から手数料を徴収しているのです。
生命保険の加入者に医療保険やがん保険なども加入させて、一人の顧客からできるだけたくさんの保険料を受け取るのが保険ビジネスの基本です。
【大橋】貯蓄型保険より、掛け捨て保険のほうがいいんですか?
【橘】はい。掛け捨ての保険は損をするような気がしますが、貯蓄型保険にも掛け捨て部分はあり、それが見えにくくなって、商品の魅力が増したように感じます。
保険会社はお金を失いたくないという「直感」を利用しているのです。
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橘 玲(たちばな・あきら)
作家
1959年生まれ。早稲田大学卒業。2002年、国際金融小説『マネーロンダリング』でデビュー。同年、「新世紀の資本論」と評された『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)が30万部を超えるベストセラーに。05年の『永遠の旅行者』が第19回山本周五郎賞候補に。『言ってはいけない 残酷すぎる真実』で2017新書大賞受賞。著書に『「読まなくてもいい本」の読書案内』(ちくま文庫)、『テクノ・リバタリアン 世界を変える唯一の思想』(文春新書)、『スピリチュアルズ 「わたし」の謎』(幻冬舎文庫)、『DD(どっちもどっち)論 「解決できない問題」には理由がある』(集英社)など多数。
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大橋 弘祐(おおはし・こうすけ)
作家・編集者
立教大学理学部卒業後、大手通信会社の広報、マーケティング職を経て現職に転身。初小説『サバイバル・ウェディング』(文響社)が日本テレビの地上波ゴールデンタイムでテレビドラマ化。『難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!』(文響社、山崎元との共著)など「難しいことはわかりませんがシリーズ」が70万部を超えるベストセラーになる。『漫画 バビロン大富豪の教え』の企画・脚本も手掛ける。
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(作家 橘 玲、作家・編集者 大橋 弘祐)

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