■会社員が「手取りを増やす」3つの方法
コロナ禍以降、国や地方自治体からいろいろな給付金が支給されています。そのほとんどは、子育て世帯や住民税非課税世帯向けで、「自分は何ももらえない」と感じている人も多いのではないでしょうか。
でも、実は会社員でも、ちょっと工夫するだけで手取りを増やす方法があります。にもかかわらず、知らずに損をしているケースが多くあるのです。
今回は、誰でも今すぐ簡単に始められる、手取りを増やす裏ワザを「税金を取り戻す」「保険をフル活用する」「支出を減らす」の3つの視点から紹介します。
■裏ワザ①「税金を取り戻す」
まずやるべきなのは、あなたが払った税金を取り戻すこと。いわゆる「節税」です。会社員ができる節税の中でも、すぐに始められて効果的なものが「医療費控除」と「ふるさと納税」です。
医療費控除
「医療費控除」とは、医療費を支払った場合、確定申告をすると、税金が戻ってくる(還付または減額される)制度のことです。
病院や薬局などで支払った医療費が、年間で10万円(総所得金額200万円未満の場合は、総所得金額の5%)を超えた場合に、その超えた部分の一部の金額が戻ってきます。
たとえば、年収700万円で、配偶者と高校生の子ども2人を扶養している人であれば、20万円の医療費を支払った場合、所得税と住民税を合わせて2万円、税金が安くなります。
「10万円」という金額はハードルが高いように感じられますが、実は、医療費控除の対象は、かなり幅広いです。
病院や薬局の窓口で支払った医療費だけでなく、通院するための交通費も対象になります。インプラント、歯列矯正など保険適用外の自由診療でも、治療目的であれば医療費控除の対象です。
エピソード①「タクシー代4万円が戻ってきた」
Aさんの母親は、高齢で足腰が悪く電車・バスを利用することが困難であるため、毎回タクシーに乗って通院していました。タクシー代は、通常は医療費控除の対象外ですが、上記のようなやむを得ない理由があれば対象になります。
1回往復2000円のタクシー代だとしても、毎週2回利用すれば、年間で約20万円です。年収700万円で母親を扶養しているAさんが、上記の金額も追加して医療費控除を申告したところ、税金が約4万円も安くなりました。
ただし、タクシーを利用した際の領収書を捨てずに必ず保管しておくことが大切です。
■「領収書の提出」は不要に
また、生計を共にする(生計を一にする)家族の医療費も対象です。親元を離れて一人暮らをしている子どもの医療費も、親が生活費の一部を仕送りしているのであれば、親の医療費控除の対象になります。
これらのすべての医療費を足し合わせれば、年間で10万円を超えることも珍しくありません。
なお、医療費控除を利用するには、年末調整ではなく自分で「確定申告」をおこなう必要があります。「確定申告なんてやったことがないから難しそう……」と思うかもしれませんが、今はとても便利になっています。
まず、1年分の医療費の領収書や交通費のメモを手元に集め、「医療費控除の明細書」を作成します。以前のように領収書の原本を税務署へ提出する必要はありません(自宅で5年間保管しておけばOKです)。
そして、スマートフォンとマイナンバーカードがあれば、国税庁の「e-Tax(電子申告)」を使って、自宅から簡単に申告を済ませることができます。画面の指示に従って金額を入力していくだけで自動で計算してくれるので、初めての方でも迷わず申請できるはずです。
■ふるさと納税「オワコン説」はウソ
ふるさと納税
「ふるさと納税」とは、自分の好きな都道府県や市区町村に寄付(納税)をすることです。寄付をすると、年間の自己負担額は2000円だけで済み、それを超える分は戻ってきます(税金が減ります)。それだけでなく、多くの自治体では、寄付をすると「返礼品」をもらうことができます。
返礼品は自治体によって異なりますが、家電やお米など生活に必要なものが多く含まれているため、家計の節約が可能です。
返礼品の金額には上限があり、寄付額の3割以下です。
そのため、「ふるさと納税はもう終わりだ」という意見もあるのですが、そんなことはありません。仮に1万円の寄付をしたら、その1万円分、税金が減額され、さらに、最大3000円分の返礼品をもらえるのですから、十分お得です。
■裏ワザ②「保険をフル活用する」
次は、あなたが加入している保険をフル活用する方法です。保険には、民間の保険と、公的な保険がありますが、それぞれ紹介します。
火災保険
火災保険は、民間の保険で、一般的には、火災や水災などに補償されるものですが、たいていの場合、家の破損や汚れなど(破損・汚損)に対する補償も含まれています。これは、「不測かつ突発的な事故」、つまり、予測せずに突然起こった事故で、建物や家財が壊れたり汚れたりしたときに補償されるものです。
たとえば、以下のような場合に適用されます。
・部屋の模様替え中に家具をぶつけて壁に穴が空いた
・子どもが室内でボール遊びをしていて窓ガラスを割ってしまった
・パソコン(デスクトップ)に飲み物をこぼして故障した
・掃除中に誤ってテレビを倒して液晶が壊れた
メガネ、スマートフォン、ノートPCなどの携行品は一般的には補償の対象外ですが、「携行品損害特約」をつけることで補償されることもあります。
免責金額があり、一部は自己負担となりますが、その金額を超えた部分が補償されます。免責金額は保険契約によって異なりますが、1万~5万円に設定されるのが主流です。
エピソード②「浴室ドアの修理代10万円を補填」
Bさんは、あるとき、浴室内でふらついてドアに体が当たり、樹脂パネルの一部が割れてしまいました。
Bさんは、突然の出費に戸惑いましたが、ファイナンシャルプランナーから火災保険で補償されると聞き、保険会社に連絡しました。そして、保険会社からの指示に従って手続きを行い、業者からの見積書と浴室ドアの写真を送付したところ、約1カ月程度で、免責金額を差し引いた金額が振り込まれました。
■「証拠写真」を撮るのを忘れずに
近年、資材高騰や人手不足で、修理費も高騰しています。ちょっと壁を補修するだけで、5万円を超えることもあります。そんなとき、火災保険を利用して、保険金をもらうだけで、かなりお得になります。この保険金は非課税であり、社会保険料の計算の基礎となる所得にも含まれません。
たとえば、1回10万円の保険金をもらったとして、人生の中で、5回請求する機会があれば、合計で50万円になります。
火災保険は、何度利用しても、保険料が上がることはありません。賃貸でも、持ち家所有でも、通常、火災保険に加入しますので、使わないと損です(まれに、破損・汚損特約がついていない契約もありますので、保険証券・約款等をご確認ください)。
注意点ですが、保険請求の際には、証拠写真や、修理費用の見積書・領収書などが必要になります。また、保険金請求の期限は、事故発生日から3年以内です。
■スマホから簡単に手続きできる会社も
具体的には、以下の3つのステップで進めます。
①保険会社(または代理店)に連絡する
まずは契約している保険会社のサポートデスクに電話やウェブから連絡し、「いつ、どこで、何が起きたか」を伝えて、請求書類を取り寄せます。
②修理の見積書と証拠写真を用意する
修理業者に連絡をして修理にかかる「見積書」を作成してもらい、被害箇所がわかる「写真」をスマートフォンなどで撮影しておきます。
③書類を提出する
保険会社から届いた書類に必要事項を記入し、見積書や写真とともに返送します。最近は、書類の郵送を省き、スマートフォンから見積書や写真の画像をアップロードするだけで手続きが完了する保険会社も増えています。
■月20万円払った場合、12万円が戻ってくる
高額療養費
「高額療養費」とは、公的な健康保険で、高額な医療費を支払った場合に、上限額を超えた部分が戻ってくる制度のことです。
毎月の医療費の上限額は、年齢や年収によって異なります。たとえば、70歳未満で、年収が約370万~約770万円(※)の人であれば、上限額は約8万円です。
※あくまでも目安。年収や扶養家族の状況によって異なる。
病気やケガで入院して、1カ月に20万円の医療費を自己負担分として支払った場合、12万円が戻ってきます。
さらに、年4回以上、医療費が上限額を超えたときは、「多数該当」となり、自己負担の上限額が減額されます。
高額療養費制度では、原則としては、いったん自己負担分を病院の窓口で支払ったうえで、後日、申請すると払い戻されます。ただ、振り込まれるまでに少なくとも3カ月程度かかります。
そこで、事前に「限度額適用認定証」を入手しておくと、上限額を超えた分は窓口で払う必要がなくなります。
エピソード③「振り込め詐欺を撃退できたワケ」
少し変わった例になりますが、あるとき、高齢のCさんに、息子を名乗る人物から電話がかかってきました。突然、ガンを患って入院したので高額な医療費がかかるというのです。
電話の声が少し怪しいと感じたものの、病気で声が変になったのかもと思い、また、病気になった息子の気持ちを案じて詳しい状況を聞くことができませんでした。
Cさんは、指定された口座にお金を振り込もうとしましたが、なんとなく引っかかるものがあり、念のためファイナンシャルプランナーに相談しました。すると、「高額療養費制度」があり、上限額を超えた分は払う必要がないこと、また、そのお金すら払えないほど生活が苦しいときは、医療費が無料または低額になる制度があることを教えてもらいました。
Cさんは、これは詐欺ではないかと思い、警察に相談したところ、案の定、詐欺でした。高額療養費制度を知っていることで、医療費に関する振り込め詐欺を撃退した例でした。
■申請先は「加入している健保」によって異なる
同じ健康保険に加入していれば、家族で合算できるのもメリットです。たとえば、親元を離れて一人暮らしをしている子どもが、親の健康保険の扶養に入っている場合、親の医療費と子どもの医療費を合算できます。
1回あたり12万円戻ってきたとして、一生のうちに5回その機会があれば、60万円お得になります。
高額療養費の支給申請は、診療を受けてから2年以内ですので、忘れずに申請しましょう。
高額療養費の具体的な申請先は、加入している健康保険によって異なります。会社員の方で「健康保険組合」や「協会けんぽ」に加入している場合は、勤務先の人事・総務担当部署、または直接健康保険組合へ申請します。
記事内でも触れた「限度額適用認定証」を事前に入手したい場合は、入院や手術が決まった段階で、これらの窓口に申請書を提出して発行してもらいます。急な入院などで事前の手続きが間に合わなかった場合でも、後日、窓口に「高額療養費支給申請書」を提出すれば払い戻しを受けられます。
なお、健康保険組合によっては、自分で申請しなくても、病院からの請求データをもとに自動的に給与口座へ振り込んでくれるところもあります。まずは、ご自身の勤務先や組合に確認してみましょう。
■緊急時以外は「月初からの入院」がお得
高額療養費はとても便利な制度なのですが、いくつか注意点もあります。まず、月ごとに医療費を計算します。月をまたいでしまうと、別の計算になります。
たとえば、年収700万円の人が、5月下旬から6月上旬まで入院して5月に8万円、6月に8万円、合計で16万円の医療費を支払った場合、それぞれの月では、医療費は8万円で、上限の金額以内ですので、医療費は戻ってきません。
もし、5月初旬に入院して5月に16万円の医療費を支払ったのであれば、8万円が戻ってきます。
つまり、緊急でない限りは、入院は月初にするのがお得になります。
また、複数の医療機関で治療を受けた場合、69歳以下の方は、それぞれの医療費が2万1000円を超える場合のみ合算することができます。一方、同じ医療機関であれば、複数の診療科を受診しても、金額の制限はなく合算できます(医科/歯科、入院/通院の区別はあり)。
そのため、できるだけ同じ医療機関で受診したほうがお得になります。
■裏ワザ③「支出を減らす」
最後に、家計の支出を減らして、最終的に残る手取りを増やすための、簡単な方法を紹介します。
家計の節約のテーマになると、必ず登場するのが「家計簿」です。家計を改善するためには、まず、収入と支出をきちんと把握する必要があり、そのために家計簿をつけるのです。
ただ、家計簿をつけるのが苦手という人は多いのではないでしょうか。一度つけ始めたとしても、なかなか続かないかもしれません。
今回は、家計簿をつけなくても、月1回、レシートを見直すだけで節約できる方法を紹介します。
まず、買い物をしたら、レシート(領収証)を捨てずに、月ごとに、クリアファイルやお菓子の箱などに入れて保管してください。
そして、月末になったら、1カ月分のレシートをざっと眺めます。
このうち、特に金額が大きいものだけ抜き出してください。その金額と買ったものを見て、その買い物が本当に必要であったかどうかを見直してください。もしムダだったと思うなら、そのレシートに「×」を記入し、次回から買わないようにします。忘れないように、そのレシートを冷蔵庫など毎日見る場所に貼っておいても良いでしょう。
■家計のムダを見抜く「国税のテクニック」
また、レシートの枚数を数えてください。いつもの月より多いときは、コンビニなどでの買い物や外食が増えている可能性があります。水筒や軽食を持参するなど、工夫してみましょう。
もし余力があるなら、通常の月では見かけないような店舗のレシートがあるかどうかも確認して、それが適切な買い物であったかチェックしてください。
これだけの方法ですが、大まかな部分を改善して、節約することができます。
実は、これ、税務調査で調査官がやっている手法です。金額が大きいものと、いつもとは違うお金の動きをチェックして、不正を見抜くわけです。
家計管理でも同じ手法で、「ムダ」を見つけるのです。
いくら改善できると断言することはできませんが、仮に毎日コンビニで1本150円のペットボトルを買うのをやめたら、年間で約5万円の節約になります。
エピソード④「1カ月分のレシートから気付いたこと」
ムダ遣いと節約のポイントは人それぞれですが、ここでは、家族がいる40代男性のDさん夫婦のケースを見てみましょう。
1カ月分のレシートをざっと眺めてまず気づいたのが、ホームセンターで実演販売を見て「これは便利そう」と勢いで買ってしまった2万円の電気圧力鍋。確かに便利なのですが、購入した日に1回使っただけで、その後は一度も使っていません。レシートに「×」を記入。お店に行く前に「今日買う物リスト」にメモをし、それ以外の物は「一度帰宅してから考える」ことにしました。
また、レシートの枚数がいつもより増えていることに気づきました。よく見ると、コンビニのレシートだらけです。暑い季節になってきたので、通勤時や家族で出かけるとき、コンビニで飲み物を何度も購入していました。早速、家族それぞれの水筒を買い、外出時に持参することにしました。
節税、保険の活用、節約という3つの視点から、手取りを増やす方法を解説しました。会社員の方でも、今すぐ始められるものばかりです。
やるかやらないかで、一生涯で、手取りに約200万円もの差がつきます。
まずは、どれか一つを選び、少しずつ始めてみることをオススメします。
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服部 貞昭(はっとり・さだあき)
ファイナンシャル・プランナー、新宿・はっとりFP 事務所代表
長野県須坂市生まれ。東京大学工学部卒業後、KDDIにてシステムエンジニアとして勤務。2014年に独立し、現在はファイナンシャル・プランナーとして、お金に困っている人の相談にのりながら、身近なお金に関する情報発信に携わる。ライフマネー・税金・相続関連のオウンドメディアを複数運営、総合月間150万PV超。これまでに2000本以上の記事を執筆・監修。登録者10万人超のYouTubeチャンネル「お金のSOSチャンネル」をはじめ、「ZEIMO」など4つのマネー系チャンネルを運営し、累計再生回数2200万回を超える。著書に『東大卒のファイナンシャル・プランナーが教える 届け出だけでもらえる お金大全』(自由国民社)、『知れば知るほど得する年金の本』(知的生きかた文庫)。
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(ファイナンシャル・プランナー、新宿・はっとりFP 事務所代表 服部 貞昭)

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