かつて、ミニマム級(当時ストロー級)、ライトフライ級(当時ジュニアフライ級)で世界を制した井岡弘樹(井岡ジム会長)の甥で、WBC世界ミニマム級10位の井岡一翔(21=井岡)が、2月11日、兵庫・神戸ワールド記念ホールで同級王者のオーレドン・シッサマーチャイ(タイ)を5回1分7秒、TKOで破り同王座を奪取。日本ボクシング史上最速の7戦目での世界戴冠を果たした。
叔父の弘樹会長もかつては、具志堅用高と並ぶ9戦目での最速世界王座奪取記録を保持していたが、これを辰吉丈一郎、名城信男が8戦目で抜いた。その名城以来、4年7カ月ぶりに7戦目の一翔が記録を塗り替えた。
叔父・弘樹会長も最初に手にした世界王座はWBCミニマム級王座。叔父が手放した王座を実に22年3カ月の月日を経て、甥・一翔が取り戻す恰好となった。
歴史を変えた一翔の世界奪取に歓喜の井岡陣営だが、今後の防衛ロードには、“減量との闘い”というイバラの道が待ち受けている。一翔は本来、1階級上のライトフライ級の選手。同級での世界挑戦を模索したが、交渉が思うに任せず1階級下げてミニマム級でのチャレンジとなった。このため、一翔は通常体重から約10キロ落とす必要に迫られ、減量に苦しめられた。
試合後、一翔は4階級制覇を高らかに宣言。場合によっては、即王座返上し、ライトフライ級に戻すかとも思われたが、「死に物狂いで獲ったベルト。簡単には手放したくはない」(一翔)と、6月予定ともいわれる初防衛戦をにらむ。だが、対戦相手とともに、“減量”という強力な敵とも闘わねばならず、早い時期の2階級制覇も見据えている。
まだ1階級しか制していない一翔が、いきなり4階級制覇を口にしたのには理由がある。叔父・弘樹会長は、2階級を制した後、フライ級、スーパーフライ級で世界挑戦。王座奪取はならなかったが、4階級にわたって世界戦を闘った選手なのだ。叔父が果たせなかった夢に向け、一翔は大きな一歩をしるした。(ジャーナリスト/落合一郎)
井岡一翔 日本ボクシング史上最速世界王座奪取も、防衛ロードはイバラの道!
トピックス
もっと読む
-
ボクシング井岡一翔「プライベート優先」王座返上の背景
プロボクシングWBA世界フライ級王者の井岡一翔(井岡ジム)が、“プライベート優先”という前代未聞の理由で、11月9日付で王座を返上したことがさまざまな憶測を呼んでいる。井岡の妻で歌手の谷村奈南は9日に...
-
【ボクシング】井岡一翔は宣言通りのKO防衛 序盤ダウンも巻き返し
WBA世界フライ級王座統一戦が31日、京都・島津アリーナで行われ、WBA世界フライ級王者・井岡一翔(27=井岡)がWBA世界同級暫定王者スタンプ・キャットニワット(18=タイ)に7R2分51秒TKO勝...
-
【ボクシング】初防衛の井岡一翔「人生の中でかなり濃い一年になった」
大みそかに行われたボクシングのWBO世界スーパーフライ級タイトルマッチで初防衛に成功した井岡一翔(30=Reason大貴)が1日、都内で会見した。挑戦者で同級1位のジェイビエール・シントロン(24=プ...
「井岡一翔」に関する記事
-
田中恒成 井岡一翔との〝名勝負〟から1か月…練習再開「徐々に動かしていきます」
元3階級王者の田中恒成(25=畑中)が1日、名古屋市内の所属ジムで練習を再開した。2020年の「年間最高試合」に選出された、大みそかのWBO世界スーパーフライ級タイトルマッチで王者の井岡一翔(31=A...
-
井岡一翔が史上初?「年間最高試合&技能賞」と「厳重注意処分」の対極W通達
ボクシングの2020年度年間表彰の各賞の受賞者が28日に発表され、WBO世界スーパーフライ級王者の井岡一翔(31=Ambition)は大みそかに田中恒成(25=畑中)にTKO勝ちしたV2戦が「年間最高...
-
大みそかの田中恒成戦が「年間最高試合」に選出 井岡一翔「励みになります」
日本ボクシングコミッション(JBC)と東京運動記者クラブ・ボクシング分科会は28日、2020年度年間表彰の各賞の受賞者を発表。「年間最高試合」(世界戦)部門には、大みそかのWBO世界Sフライ級タイトル...
次に読みたい「井岡一翔」の記事
-
【ボクシング】井岡一翔 V1戦“普通の試合”は×
【ボクシング】井岡一翔 V1戦“普通の試合”は×。WBO世界スーパーフライ級王者の井岡一翔(30=Reason大貴)が、大みそかに東京・大田区総合体育館で同級1位のジェイビエール・シントロン(24=プエルトリコ)と対戦することが10日、発表された。国...
-
【井岡一翔が4階級制覇に挑む!】井岡一翔vsドニー・ニエテス WBO世界スーパーフライ級タイトルマッチ
12月31日(月)のWBO世界スーパーフライ級タイトルマッチ、マカオのウィンパレスで行われた井岡一翔vsドニー・ニエテスの速報ニュースはこちら
-
【井岡一翔×堀口恭司】世界王者が語る「メンタル」と「不安」とは
【井岡一翔×堀口恭司】世界王者が語る「メンタル」と「不安」とは。日本の格闘技界を引っ張るトップ選手の対談が実現した。ボクシング第33代日本ライトフライ級王者で、WBCやWBAなどで日本人男子初の世界4階級制覇を成し遂げた井岡一翔と、総合格闘家で、現RIZINバンタ...