2024年4月15日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは、ドイツのショルツ首相が中国を訪問した際、中国製電気自動車(EV)の欧州市場進出について「重要なのは公平な競争だ」と述べたことを報じた。

記事は、ショルツ首相が15日午前に上海市の同済大学を訪問し、気候変動や学術交流などについて語ったほか、欧州における中国製EV対策についても言及したと紹介。

欧州市場は中国車に対してオープンで公平だとの見解を示す一方で「重要なのは、公平な競争を行うことだ。言い換えれば、不当廉売も過剰生産も権利侵害もないことだ」と指摘し、企業が官僚主義な障害を受けることなく現地生産施設を設立できるようにすることが重要だと述べたことを伝えた。

また、ショルツ首相は安全保障の問題にも言及し、中国への名指しは避けつつも「小国は大国におびえて暮らすべきではない。各当事者は武力によって国境を変えるべきではない」と発言したことも紹介。ドイツ国内では、企業の間で台湾海峡における潜在的な紛争を警戒する声が出ているほか、台湾の謝志偉(シエ・ジーウエイ)駐ドイツ代表が先日「ショルツ氏は前回の訪中時に習近平(シー・ジンピン)氏に明確な警告を発したが、中国の台湾に対する脅威はなおも弱まっていない」と述べ、ショルツ首相が今回の訪中で「再び明確な言葉でこのことを言うことは、決して悪いことではない」と期待感を示したことを併せて伝えている。

その上で、ショルツ首相が16日に北京へ移動して習氏と会談し、ウクライナ戦争が行われている中で中国がロシアに経済支援を提供したことに疑問を呈する見込みだとしたほか、李強(リー・チアン)首相とも会談した後、両政府の高官が出席する「中独経済諮問委員会」に出席する予定になっていると紹介した。

記事は、ドイツ政府関係者が今回のショルツ首相の訪中について「意図が対中貿易の縮小にあると考えるのは大きな誤解。リスク回避と多様化の必要性を鑑み、対中貿易をさらに拡大することを望んでいる」と述べたことを紹介した上で、今回の訪中には環境、農業、運輸の3大臣に加え、シーメンス、BMW、メルセデス・ベンツなどドイツ大手企業の幹部からなる経済代表団も同行していることを伝えた。(翻訳・編集/川尻)