2025年6月11日、仏国際放送局RFI(ラジオ・フランス・アンテルナショナル)の中国語版サイトは、中国がレアアース以外にもさまざまな分野の物資や技術に輸出規制をかけているとする仏メディアの報道を紹介した。

記事が紹介したのは、仏紙ラ・トリビューンの9日付報道。

同紙は「中国による輸出規制という保護主義戦略は決して目新しいことではない。この10年、戦略的意義があると認識した製品の輸出に許可制を導入してきた。この制度は随時閉められる蛇口みたいなものだ」とし、その事例を挙げている。

最初に挙げたのは、宇宙飛行士のヘルメット用バイザーだ。同紙は放射線や微小隕石から顔面を守るためのバイザーが宇宙服設計の中でも特に複雑な部品であり、高い技術力が求められることから、中国も戦略的物資とみなしていると説明した。

次に、ソフトウェアや各種技術・サービスに言及し、特に航空宇宙分野に規制の対象が集中していると解説。昨年7月には航空宇宙構造部品やエンジン製造関連、ガスタービンエンジン設計用などのソフトウエアが輸出許可を義務付ける製品リストに組み入れられたとした。

続いて、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)繊維についても輸出許可制度を取っていると指摘。UHMWPEは1950年代に商用化された合成素材で、漁業やセーリングなどの民生用途に広く使われると同時に、優れた防弾性能を持つことから軍用ヘルメット、車両、防弾ベストにも使用されているため、1年ほど前から規制の対象になったと伝えている。

さらに、民生用ドローンについてもウクライナ戦争で軍事利用の可能性が明らかになったため、玩具型を含む全てのドローン本体、レーザー、通信、翼、動力機関といった部品の輸出を許可制にしたと紹介。一部の米国企業については、「台湾と軍事技術協力を行っている」として中国への輸出、中国からの輸入を禁止しているとした。

最後に挙げたのは、アセトアミノフェンやイブプロフェンといった医薬品だ。

中国は世界のアセトアミノフェン生産量の半分を占めており、新型コロナ感染拡大期には政府が国内需要を満たすために生産拠点を徴用したことで事実上の輸出停止状態になったとし、マスクや抗原検査キットでも同様の状況が見られたとした。

同紙は一方で、医療分野において中国製品の欧州市場流入が拡大する中、中国政府は国産品優先政策によりX線装置や杖、車いすなどあらゆる品目において欧州製品の輸入を制限する「逆規制」をかけており、欧州から非難の声が出ていることを合わせて紹介した。(編集・翻訳/川尻)

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